唐はじ導入一ヶ月前。おれは実の兄である青戸唐次とセックスをした。
先に言っておくが、おれたちに恋愛感情はない。兄と弟の禁断のラブロマンスの果てにそうなったわけじゃない。
……なんでそんなことになってしまったのか。そんなのおれが一番不思議に思ってる。
まずおれと唐次がどういう兄弟であるかを説明しなくちゃならない。
この世に生を受けて二十余年。それまで一人っ子だと思っていたおれに、とある夏の日、兄弟ができた。
失踪した父の行方を探しにいった村で偶然か必然か、同じ顔が六つ揃った。狐狸妖怪の類でも、ドッペルゲンガーでもない。おれたちは六つ子だったのだ。まぁそのあたりは説明するまでもないので割愛する。
その中に、唐次さんがいた。
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