さかえ
MAIKINGらくがきでも上げた、ぎ将きょい✖にょたぜんさまのパラレルこの後きょいは悶々と日々を過ごすのですが、ある時中央に呼び寄せられてぜんさま付きになるように命ぜられます
ぎ将きょい✖にょたぜんさま 思えば、姜維は出会ったときからあの尊き存在に心を惹かれてやまなかったのである。
「我らは、ここに降伏する」
世の婦女というものの多くが敗戦に際して、大いに狼狽し、悲嘆に暮れ、泣きわめくものであることを考えると、その公主の態度ははなはだ型破りであった。――いいや、そんな言葉では、とうていその時の姜維の驚きを言い表すことなどできやしない。何せ彼女は先の通り、実に簡潔にして明瞭な一言でもってひとつの国家を終わらせたのだ。その瞬間、永遠に郷里を失ったはずの彼女の頬を飾っていたのは涙ではなく、うっすらとした微笑である。
「この暗愚めのことはいかようにでもしていただいて構いませんが、民にはなんの罪もありません。どうか優しく接してくださいますよう」
2325「我らは、ここに降伏する」
世の婦女というものの多くが敗戦に際して、大いに狼狽し、悲嘆に暮れ、泣きわめくものであることを考えると、その公主の態度ははなはだ型破りであった。――いいや、そんな言葉では、とうていその時の姜維の驚きを言い表すことなどできやしない。何せ彼女は先の通り、実に簡潔にして明瞭な一言でもってひとつの国家を終わらせたのだ。その瞬間、永遠に郷里を失ったはずの彼女の頬を飾っていたのは涙ではなく、うっすらとした微笑である。
「この暗愚めのことはいかようにでもしていただいて構いませんが、民にはなんの罪もありません。どうか優しく接してくださいますよう」
さかえ
MAIKING趙(→)←←←禅前提(過去)からの姜禅(現在)別名「ちょうんは見た」
花を摘むきょいと、摘まずに野で愛でるちょうんについてのお話です
今回は姜禅パート。次回は趙(→)←←←禅パートです。ちゃんと書き終わるといいなあ 6570
さかえ
MAIKING趙備、及び趙(→)←←禅前提の姜禅。ややこしい。わたしの男/あなたの眼「もう大丈夫のようですよ」
足音が完全に消えるまで待ち、念のために扉まで閉めると、姜維は書棚の陰に声をかけた。それですぐに姿を現すだろう。そう思っていたのに、予想は外れてかえりごとひとつない。訝しく思って棚の裏を覗き込むと、主は開け放った窓から吹き寄せる風に濡れ羽の御髪を揺らしながら、どこか遠くを眺めているようだった。
「劉禅様? いかがなさいましたか」
それでも近寄る間にこちらの存在に気がついたらしい。見上げてくる主の目は常の通り薄曇りの空のように静かで、感情が今どこにあるのかをおよそ気取らせない。
「ああ、姜維」
この目に見つめられ、ゆったりとした口調で名を呼ばれると、姜維はいつも己の矮小さを全て見透かされているような心持ちになる。魏に属していた頃には蜀の新帝は暗愚だという噂ばかりを耳にしていたが、実際にこの方の前に立てばそれがどれほど馬鹿げた戯言であったかが分かった。音に聞く、皆を導く太陽のようだったという先主のような目眩く光輝こそ無けれども、泰然と振る舞うそのたたずまいからは風格が香気のようにかぐわしく立ち上った。また天水にて姜維を諭し導いた声はいかなる時にも荒ぶることなく、凪いだ水面のように透明である。その在り方は先主とは違えども、この主は確かに生まれながらにしての王者であった。
2124足音が完全に消えるまで待ち、念のために扉まで閉めると、姜維は書棚の陰に声をかけた。それですぐに姿を現すだろう。そう思っていたのに、予想は外れてかえりごとひとつない。訝しく思って棚の裏を覗き込むと、主は開け放った窓から吹き寄せる風に濡れ羽の御髪を揺らしながら、どこか遠くを眺めているようだった。
「劉禅様? いかがなさいましたか」
それでも近寄る間にこちらの存在に気がついたらしい。見上げてくる主の目は常の通り薄曇りの空のように静かで、感情が今どこにあるのかをおよそ気取らせない。
「ああ、姜維」
この目に見つめられ、ゆったりとした口調で名を呼ばれると、姜維はいつも己の矮小さを全て見透かされているような心持ちになる。魏に属していた頃には蜀の新帝は暗愚だという噂ばかりを耳にしていたが、実際にこの方の前に立てばそれがどれほど馬鹿げた戯言であったかが分かった。音に聞く、皆を導く太陽のようだったという先主のような目眩く光輝こそ無けれども、泰然と振る舞うそのたたずまいからは風格が香気のようにかぐわしく立ち上った。また天水にて姜維を諭し導いた声はいかなる時にも荒ぶることなく、凪いだ水面のように透明である。その在り方は先主とは違えども、この主は確かに生まれながらにしての王者であった。