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DONEクーデターの背景を考察した小説⑤・前作の続き
・めぐみさんを思わせる描写あり
語られなかった真実 -最終章-ここに、メディアを通して行われた、ある世論調査について掲載する。
①かつて北部山岳地帯に人々が隔離されていたことについて、あなたはどう思いますか?
とても問題である 52%
問題である 33%
あまり問題でない 7%
全く問題でない 4%
分からない 4%
②朝貢において、人間が献上品とされていたことについて、あなたはどう思いますか?
とても問題である 32%
問題である 45%
あまり問題でない 11%
全く問題でない 2%
分からない 10%
③大国への朝貢について、あなたはどう思いますか。
人間の献上を含め、続けるべきだ 1%
人間以外の献上は、今後も続けるべきだ 90%
朝貢自体、やめるべきだ 6%
分からない 3%
7020①かつて北部山岳地帯に人々が隔離されていたことについて、あなたはどう思いますか?
とても問題である 52%
問題である 33%
あまり問題でない 7%
全く問題でない 4%
分からない 4%
②朝貢において、人間が献上品とされていたことについて、あなたはどう思いますか?
とても問題である 32%
問題である 45%
あまり問題でない 11%
全く問題でない 2%
分からない 10%
③大国への朝貢について、あなたはどう思いますか。
人間の献上を含め、続けるべきだ 1%
人間以外の献上は、今後も続けるべきだ 90%
朝貢自体、やめるべきだ 6%
分からない 3%
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DONEクーデターの背景を考察した小説④・前作の続き
語られなかった真実 -第四章-男が語った衝撃の事実に、中尉はしばらく動くことができなかった。手のひらには嫌な汗がにじみ、口の中はひどく乾いている。
「……"保護区"だと?」
やっとの思いで、中尉は言葉をしぼり出した。
「そうだ。実にきれいな言葉だと思わないか?」
動揺する中尉に、男は語りかけた。
「元々その土地に住んでいた人間や、彼らが持っていた文化を守るために、彼ら専用の土地を用意した。ピリカ民族はとても優しい」
男は、皮肉たっぷりに続けた。
「……というのは、嘘だ。実際は、流星の落下で命を落としかねないこの危険な地に先住民を隔離し、彼らを誰の目にもふれないようにした。彼らに関する記録も、消し去られていて何も残っていない」
4273「……"保護区"だと?」
やっとの思いで、中尉は言葉をしぼり出した。
「そうだ。実にきれいな言葉だと思わないか?」
動揺する中尉に、男は語りかけた。
「元々その土地に住んでいた人間や、彼らが持っていた文化を守るために、彼ら専用の土地を用意した。ピリカ民族はとても優しい」
男は、皮肉たっぷりに続けた。
「……というのは、嘘だ。実際は、流星の落下で命を落としかねないこの危険な地に先住民を隔離し、彼らを誰の目にもふれないようにした。彼らに関する記録も、消し去られていて何も残っていない」
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DONEクーデターの背景を考察した小説③・前作の続き
語られなかった真実 -第三章-「献上品の準備は順調かね?」
男は、パピに問うた。ピリカの君主国である隣の惑星の新たな皇帝の即位式は10日後に迫っていた。即位式に向け、ピリカの政府関係者も、朝貢の準備に追われていた。
「なんとか明日までには整いそうです。あとは、道中の警備の問題だけなのですが……」
外務大臣の執務室にて、パピはソファに座るギルモアに、恐る恐る目を向けた。
「……面目ない」
ギルモアはバツが悪そうに目を伏せた。
「諜報部に目をかけている部下がいて、その男に任せているのだが……。返事がなかなか来ず」
「その男というのは、ドラコルルのことか?」
男がギルモアに問うた。
「若くして、北部諜報室の室長になったと聞いているが、実力は確かなのか?」
5878男は、パピに問うた。ピリカの君主国である隣の惑星の新たな皇帝の即位式は10日後に迫っていた。即位式に向け、ピリカの政府関係者も、朝貢の準備に追われていた。
「なんとか明日までには整いそうです。あとは、道中の警備の問題だけなのですが……」
外務大臣の執務室にて、パピはソファに座るギルモアに、恐る恐る目を向けた。
「……面目ない」
ギルモアはバツが悪そうに目を伏せた。
「諜報部に目をかけている部下がいて、その男に任せているのだが……。返事がなかなか来ず」
「その男というのは、ドラコルルのことか?」
男がギルモアに問うた。
「若くして、北部諜報室の室長になったと聞いているが、実力は確かなのか?」
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DONEクーデターの背景を考察した小説②・前作のつづき
・東アジアにおける朝貢関係の歴史を思わせる描写あり
・中尉=副官
語られなかった真実 -第二章-「外務大臣、先ほどの速報についてですが」
パピは執務室のドアを開け、気難しそうな顔で腕を組む上司に声をかけた。
「ああ、聞いている。……実に悲しい知らせだ」
男は執務机に置かれた紙を持ち上げた。
「あちらの国民には、何のなぐさめにもならんだろうが、せめてもの気持ちだ。弔意が伝わるかどうか、一度、君に読んでほしい」
そう言うと、男はパピに紙を手渡した。A4サイズの紙にはびっしりと文字が並んでいる。その一文一文には、昨日亡くなった隣の星の皇帝の人柄や業績、エピソードが細かく書かれていた。パピは目を通し終えると、紙を男に戻した。
「皇帝陛下の温かな人柄が伝わってくる弔文でした。言い回しに多少の手直しは必要かと思いましたが、内容は問題ないと思います」
4257パピは執務室のドアを開け、気難しそうな顔で腕を組む上司に声をかけた。
「ああ、聞いている。……実に悲しい知らせだ」
男は執務机に置かれた紙を持ち上げた。
「あちらの国民には、何のなぐさめにもならんだろうが、せめてもの気持ちだ。弔意が伝わるかどうか、一度、君に読んでほしい」
そう言うと、男はパピに紙を手渡した。A4サイズの紙にはびっしりと文字が並んでいる。その一文一文には、昨日亡くなった隣の星の皇帝の人柄や業績、エピソードが細かく書かれていた。パピは目を通し終えると、紙を男に戻した。
「皇帝陛下の温かな人柄が伝わってくる弔文でした。言い回しに多少の手直しは必要かと思いましたが、内容は問題ないと思います」
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DONEクーデターの背景を考察した小説①・全5話予定
・オカルト要素あり
語られなかった真実 -第一章-カーテンの隙間から差し込む白い光に女性は目を覚ました。肌に触れるシーツの柔らかな感触に、自分が何もまとわずに眠ってしまったことを思い出す。女性は気恥ずかしそうに、隣で眠る男に目をやった。
「ギルモアさん」
男から返事はない。穏やかな寝息を立て、気持ちよさそうに眠る男に、女性はもう一度声をかけた。
「ギルモアさん。朝よ。起きて」
「……ん……」
ギルモアがゆっくりと目を開ける。寝ぼけた目で自分を見つめる夫の姿に、女性は微笑んだ。
「珍しいわね。いつもはあなたの方が早起きなのに」
「……3日間、任務で家に帰れなかった夫に言う言葉とは思えんな。帰宅して早々、抱きついてきたのは誰だ」
「ふふ。ごめんなさいね」
女性はそう言うと、朝食の支度をするため、台所へ向かった。
5420「ギルモアさん」
男から返事はない。穏やかな寝息を立て、気持ちよさそうに眠る男に、女性はもう一度声をかけた。
「ギルモアさん。朝よ。起きて」
「……ん……」
ギルモアがゆっくりと目を開ける。寝ぼけた目で自分を見つめる夫の姿に、女性は微笑んだ。
「珍しいわね。いつもはあなたの方が早起きなのに」
「……3日間、任務で家に帰れなかった夫に言う言葉とは思えんな。帰宅して早々、抱きついてきたのは誰だ」
「ふふ。ごめんなさいね」
女性はそう言うと、朝食の支度をするため、台所へ向かった。