影になり日向になり -最終章-ピイナは部屋の隅に座りこむと、目を閉じた。
あの日、副官の力を借りて、なんとか自分は逃げのびることができた。命からがら、やっとのことで自由同盟の地下アジトの一つにたどり着き、そこに身を寄せ、助けを得た。日々のピシアによる追跡の恐怖に怯えながらも、なんとか今日まで生きながらえることができた。
ギルモアが敷いた体制は、あまりにもひどいものだった。街中に監視装置が設置され、わずかでも自身への反逆ととらえられる言動は、徹底的に弾圧された。そのような言動をした者だけでなく、その家族さえもピシアにとっては拘束の対象だった。ギルモアの官邸の屋上から時おり聞こえる銃声に、ピリカの人々は恐怖した。
社会的な恐怖と不安は、さらに人々の心を蝕んでゆく。
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