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    #温寧

    wenNing

    @KeiKa_WR

    DONE
    温寧が現代まで生きている話②ふぅと、細く温情は息を吐いた。気づかないうちに息を詰めていたようた。今日は少しだけ宿題に手間取ってしまった。ようやく終わった課題の束をトントンと揃え、そそくさと提出用のファイルに仕舞う。宿題を終えてからパソコンを立ち上げて、メールサーバーの確認をするのがここのところ温情の日課になっていた。
    初級中学校への進学が決まってすぐ、男とメールのやり取りを始めた。きっかけは、李夫妻からの勧めだった。温情自身は早めに受験を終えて進学先が決まったものの、友人のほとんどは未だ受験活動の真っ最中で、自然と放課後の時間を持て余すことが多くなった。相変わらず日々膨大な量の宿題は出るし予習復習は欠かしていないが、余った時間に暇を持て余すのは寂しい。そんなことを李夫婦への手紙へしたためたところ、男とメールのやりとりをしてはどうかと提案されたのだ。今どき古めかしいE-mailでのやりとりになったのは、男が携帯を持っていなかったから。せっかくなので温情も男にあわせてスマートフォンでなくパソコンでメールのやり取りをすることにした。学校でITの授業も受けていたが、タイピングはそこまで練習していなかったのでいい機会だと思った。
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    chunyang_3

    MEMOCQL話数ワンドロワンライ5回目(41〜50話)。50話の思追と温寧です。番外編も含めて叔父さんって呼んでるの良いなぁと思っています。思い出さない方が良いと思っていた温寧が、二人で一緒に走って追いかけるんだなぁというところが改めて嬉しいなと思いました。
    焔つなぐ 少し前からもしかしたらと思うことは幾度もあった。己が一体どこの家に生まれ、父母亡き後に一体誰と一緒にいたのか。
     思追は幼き日のことを覚えていなかった。けれどそれは忘れていただけだったのだ。もう会うことは叶わないはずだった人に出会ってから、忘れ去られていた記憶は少しずつ断片的に焔が灯るように蘇っていた。真っ暗な夜空に散らばっていた小さな灯りは、輝く星が互いに繋がり星座を描くように、段々とその全容を理解することができるようになっていた。
     観音廟の外に出ると、思追は駆けつけた他の子弟達に囲まれ、無事を喜ばれながらも観音廟での事の顛末を聞かせてくれとせがまれた。温寧を追いかけて辿り着いてからのことだけでも、思追が説明することは難しい。ましてや金光瑶がどのような人物であったのかを語ることもできそうにない。十六年前に起きたことについても同様だ。それでも、この目で見たことや感じたことはしっかりと覚えておきたいと思った。だからこそ、今はまず不確かな己の過去と向き合いたかった。
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