青井青蓮
DONE一日の活動を終えた後当たり前のように壺に帰ってきて用意したベッドで寝てくれてるって考えただけで幸せすぎて胸が苦しい今日も一日お疲れ様 部屋の灯りを消し、何をするでもなく窓に見える夜空をただ眺める。
邸宅は最近になって旅人により大きく模様替えが行われ、新しくあてがわれた部屋から見える景色もまた新鮮で目を楽しませてくれる。
夢見の名を冠す稲妻の木、生い茂るその美しい桃色は月の光と夜の闇によく映え、この景色を肴に温めた一杯の酒を飲むのが日課になりつつあった。
静寂の中、ノックも無しに部屋のドアが開かれる。よく知った気配の持ち主がその特徴的な気配を微塵も消そうともせず部屋に入り、いつも着ている白い装束をソファに放ると無言で寝台に乗り上げる。
廊下を挟んだ向かいの部屋をあてがわれていた筈の彼は、そう言えば模様替え前はこちらの部屋を使っていた。どうやら寝惚けているのか部屋を間違えているようだったが、先に寝台で身を横たえている俺に一瞥もくれることなく布団に潜り込んだ重雲はそのまま寝息を立て始めてしまった。
996邸宅は最近になって旅人により大きく模様替えが行われ、新しくあてがわれた部屋から見える景色もまた新鮮で目を楽しませてくれる。
夢見の名を冠す稲妻の木、生い茂るその美しい桃色は月の光と夜の闇によく映え、この景色を肴に温めた一杯の酒を飲むのが日課になりつつあった。
静寂の中、ノックも無しに部屋のドアが開かれる。よく知った気配の持ち主がその特徴的な気配を微塵も消そうともせず部屋に入り、いつも着ている白い装束をソファに放ると無言で寝台に乗り上げる。
廊下を挟んだ向かいの部屋をあてがわれていた筈の彼は、そう言えば模様替え前はこちらの部屋を使っていた。どうやら寝惚けているのか部屋を間違えているようだったが、先に寝台で身を横たえている俺に一瞥もくれることなく布団に潜り込んだ重雲はそのまま寝息を立て始めてしまった。
青井青蓮
SPOILERキャラクターストーリーバレあり重雲と神の目。一部キャラのボイスを深読みして「元素を司る神が同属性の目を与える」のではなく「その者が属する国の神が相応しい元素の目を与えている」という考察がわたしの中で爆誕して出来上がったもの
鍾重ってかモラクス→重雲
あと「方士一門の門下生」とかいう捏造を含んでます。まあ全部捏造なんですが
見守る者 屋敷に帰宅した少年は、傍から見てもわかる程に気落ちしていた。
廊下ですれ違う門下の者への挨拶もそこそこに真っ直ぐ自室へと向かう。何かお持ちしましょうか、と心配そうにかけられる声にもただ一言、「何もいらない」とだけ返事をして部屋に篭もってしまう。
――方士であれば普通、剣や札を用いるものだろう。依頼人に言われたことが脳裏に蘇る。
提示された問題は解決できる。しかし、怪異は去ったとどれだけ口で説明しても、傍から見れば何もしていないのだ、実績も無い駆け出しの言葉を信じる人は多くない。
内に渦巻く何とも言えない感情、それらを鎮める為の瞑想も鍛錬も、今は何もする気が起きない。
悔しさに任せて声を上げ泣いてしまいたい衝動すらも堪え、机に突っ伏しぎゅっと目を閉じた。
1254廊下ですれ違う門下の者への挨拶もそこそこに真っ直ぐ自室へと向かう。何かお持ちしましょうか、と心配そうにかけられる声にもただ一言、「何もいらない」とだけ返事をして部屋に篭もってしまう。
――方士であれば普通、剣や札を用いるものだろう。依頼人に言われたことが脳裏に蘇る。
提示された問題は解決できる。しかし、怪異は去ったとどれだけ口で説明しても、傍から見れば何もしていないのだ、実績も無い駆け出しの言葉を信じる人は多くない。
内に渦巻く何とも言えない感情、それらを鎮める為の瞑想も鍛錬も、今は何もする気が起きない。
悔しさに任せて声を上げ泣いてしまいたい衝動すらも堪え、机に突っ伏しぎゅっと目を閉じた。
青井青蓮
DONEマグロソード()が実装された頃に書いたギャグのようなもの。鍾重だと言い張る重雲が純陽やや暴走気味ですが勿論捏造です
「お題ひねり出してみた」より
https://shindanmaker.com/392860
はいはい、可愛い可愛い「魈仙人!鍾離殿!見てください!」
先程旅人に呼ばれ、行秋と共に席を離れた重雲が戻ってきた。
声の様子から察するに、何か良い事があったようだ。珍しくはしゃいでいる姿を、後ろにいる行秋が愛しいものを見る目で見守っている。
「旅人が新しい武器を貸してくれたんです……!」
見てください、と言いながらどこからともなくその武器を取り出した。
隣で茶を啜る鍾離様の顔が僅かに歪んだが、嬉しそうに笑っている重雲は気付いていない。行秋は口を押さえて笑いを噛み殺しているように見える。
嬉々として構えたその武器の見てくれに、思わず重雲を問い質した。
「……なんだ、その魚は」
どこからどう見てもただの巨大な魚だ。何故これを剣と認識しているのか。
1412先程旅人に呼ばれ、行秋と共に席を離れた重雲が戻ってきた。
声の様子から察するに、何か良い事があったようだ。珍しくはしゃいでいる姿を、後ろにいる行秋が愛しいものを見る目で見守っている。
「旅人が新しい武器を貸してくれたんです……!」
見てください、と言いながらどこからともなくその武器を取り出した。
隣で茶を啜る鍾離様の顔が僅かに歪んだが、嬉しそうに笑っている重雲は気付いていない。行秋は口を押さえて笑いを噛み殺しているように見える。
嬉々として構えたその武器の見てくれに、思わず重雲を問い質した。
「……なんだ、その魚は」
どこからどう見てもただの巨大な魚だ。何故これを剣と認識しているのか。
青井青蓮
DONE重雲、先生の講義も真面目に聴き入るだろうし、先生もきっと教え甲斐あるんじゃないかな……なんて考えながら書いた鍾重知らずに聖地へ招かれる少年の話 雲海に覆われた静謐な山々は、嘗て仙道の試練に臨む者や仙人との縁を求める者が幾度と足を運んだ歴史ある場所である。かの送迎の儀式が執り行われる玉京台の広場中央に鎮座する大香炉――長きに渡り数多の来訪者の祈りを聞き、そして天へと旅立つ幾人かの英霊達を見送ってきたそれに良く似たものが、仙家に続く道の入り口に静かに佇んでいる。しかし玉京台に祀られているものよりも明らかに朽ちかけており、あちこちにあるひび割れや窪みを埋める程の苔が、長らく訪れる者がいないことを物語っている。
怪異に纏わる依頼や妖魔に関する目撃情報も無く、しかし漠然と時間を持て余す事を由としない重雲は、喧騒と活気溢れる璃月港から遠く離れたこの絶雲の間を訪れていた。仙人が御座す住処へ続く曲がりくねった坂を上り、黄金色に染まった却砂の木々立ち並ぶ道を、丸々とした蛙の小像達に見守られながら粛々と進む。
3003怪異に纏わる依頼や妖魔に関する目撃情報も無く、しかし漠然と時間を持て余す事を由としない重雲は、喧騒と活気溢れる璃月港から遠く離れたこの絶雲の間を訪れていた。仙人が御座す住処へ続く曲がりくねった坂を上り、黄金色に染まった却砂の木々立ち並ぶ道を、丸々とした蛙の小像達に見守られながら粛々と進む。