壱 軸
DONE生還後水木総愛されなんです信じてください。呼ぶ声がする夜中、水木が目を覚ますと隣に寝かしつけたはずの鬼太郎が消えていた。
「また抜け出して…。」
墓から生まれ出て数えで3歳になる鬼太郎は夜の闇を恐れず、むしろ興味深そうに、赤子の頃から陽が落ちると灯りのない夜の闇を窓越しに見つめ、時折何かに話しかけるように口をぱくぱくさせたり、何かを掴むように手を動かしたりしていた。
歩き方がしっかりしてきたら、今度は夜中に布団を抜け出し、気が済むまで家の中をうろつくようになった。
ゆえに最近は寝る際には水木がガシッと抱え込んで布団に入っていた。鬼太郎はされるがままだが、幼い顔には不満があふれていたし、水木がぐっすりと眠り込んだらやっぱり抜け出してしまうのだった。
飽きたら布団に戻ってくれればいいものの、鬼太郎は夜闇で遊ぶのに満足すればそこらで寝落ちしてしまうから、起床した水木の母がそれを見つけると決まって朝から水木は説教されてしまう。
4371「また抜け出して…。」
墓から生まれ出て数えで3歳になる鬼太郎は夜の闇を恐れず、むしろ興味深そうに、赤子の頃から陽が落ちると灯りのない夜の闇を窓越しに見つめ、時折何かに話しかけるように口をぱくぱくさせたり、何かを掴むように手を動かしたりしていた。
歩き方がしっかりしてきたら、今度は夜中に布団を抜け出し、気が済むまで家の中をうろつくようになった。
ゆえに最近は寝る際には水木がガシッと抱え込んで布団に入っていた。鬼太郎はされるがままだが、幼い顔には不満があふれていたし、水木がぐっすりと眠り込んだらやっぱり抜け出してしまうのだった。
飽きたら布団に戻ってくれればいいものの、鬼太郎は夜闇で遊ぶのに満足すればそこらで寝落ちしてしまうから、起床した水木の母がそれを見つけると決まって朝から水木は説教されてしまう。
壱 軸
DONE※生還後の水木について、モブ視点テープ起こしより水木さんね、覚えてますよ。
すごい事件の生き残りでしたからね。
村一つ全滅ですから。
入院先にブン屋がなだれこむんじゃないかって思ってたんですが、全然でしたね。
いやほんとに。
記事だ取材だって来たのは今頃になってあんたぐらいなもんだ。
まあ書こうとしても書けなかったんだろうなあ。
口封じがあったんじゃないかな。
政治家に関わるようなでかい製薬会社が仕切ってる村だったらしいじゃないですか、燃えちまった村ってのは。
あのあたりが関わってるんでしょうね。
まぁ私みたいな小僧はその時そんな想像にも及びませんでしたね。
ただ私は何だか聞いたり見たりしたことをやたらも覚えちまうだけで。
あちこちの建物に掃除に入るでしょ?
そこで何となく見聞きしたことを勝手に覚えちまうのさ。
4788すごい事件の生き残りでしたからね。
村一つ全滅ですから。
入院先にブン屋がなだれこむんじゃないかって思ってたんですが、全然でしたね。
いやほんとに。
記事だ取材だって来たのは今頃になってあんたぐらいなもんだ。
まあ書こうとしても書けなかったんだろうなあ。
口封じがあったんじゃないかな。
政治家に関わるようなでかい製薬会社が仕切ってる村だったらしいじゃないですか、燃えちまった村ってのは。
あのあたりが関わってるんでしょうね。
まぁ私みたいな小僧はその時そんな想像にも及びませんでしたね。
ただ私は何だか聞いたり見たりしたことをやたらも覚えちまうだけで。
あちこちの建物に掃除に入るでしょ?
そこで何となく見聞きしたことを勝手に覚えちまうのさ。
はちれも
PROGRESS特典時空に繋がれ〜って気持ちを込めて書きました原作程度の残酷な表現を含みます
2万字に届きそうだなというところでひとまず出せそうなところまで出すことにしました
お隣さん夫婦から逃げなかった水木の話です
忘れじの行く末 弱いとは無力であるということだ。
ここしばらく方々に頭を下げ通しになってつくづくそう思わされた。
会社の仕事で向かった取引先社長の本家がある山奥の村。
その村が一夜にして炎に包まれ村人は全員死亡。
村を取り仕切っていた一族の遺体は次男の孝三のみが礫死体で発見され、その孝三を撥ねたのだろう入婿の克典も車の中で死んでいたという。
克典社長と呼びかけた覚えはあれど、しかしどうにも記憶が曖昧で、水木は村の火付の下手人ではないかと入院中に何度も警察からの聴取を受け、それが済めば今度は会社で本当に覚えていないのかと何度も社長に呼び出された。
曰く、水木が自分から志願して件の村に向かったらしいのだが、それについてもとんと覚えがない。
12123ここしばらく方々に頭を下げ通しになってつくづくそう思わされた。
会社の仕事で向かった取引先社長の本家がある山奥の村。
その村が一夜にして炎に包まれ村人は全員死亡。
村を取り仕切っていた一族の遺体は次男の孝三のみが礫死体で発見され、その孝三を撥ねたのだろう入婿の克典も車の中で死んでいたという。
克典社長と呼びかけた覚えはあれど、しかしどうにも記憶が曖昧で、水木は村の火付の下手人ではないかと入院中に何度も警察からの聴取を受け、それが済めば今度は会社で本当に覚えていないのかと何度も社長に呼び出された。
曰く、水木が自分から志願して件の村に向かったらしいのだが、それについてもとんと覚えがない。