お題『お月見』「暁人、明日は月見するぞ 」
KKからの提案でお月見をすることになった。七夕は小さい頃からやっていたが、お月見は初めてだった。お月見には何をするかと調べて、月見団子やススキを用意しちょっと良い酒も用意した。
「こうしてじっくり月を眺めるの、あの赤い月の観測以来かも」
「あー、そういえばあったな」
「覚えてる?KKだったら月がどう見えるかって聞いた事」
「覚えてる、月見そばの卵だって言ったな」
「それそれ、例え方が可愛いなぁって」
月見団子をひとくち食べ、暁人がKKに笑いかけた。
「…こうして、生きているKKと一緒に過ごせるとは思わなかったな」
「奇跡とやらに感謝しないとな」
酒を嗜みながらKKが笑う。
「もし、KKがかぐや姫みたいに月に帰っちゃっても僕が取り戻しに行くからね」
KKが酒を吹き出しかけて、何を言ってるんだと言いたげに僕を見る。
「だって、あの時何度も攫われてただろ?」
まるでお姫様みたいにさ、とニヤリと笑みを浮かべる。
「なんだよそれ……でもまぁ、わかんねぇぞ?オマエがあんまりうるさく言うようなら帰っちまうかもなぁ?」
「それは靴下を裏返しで洗濯に出すKKが悪いだろ」
「あ?知らねぇのか、その方が汚れが落ちやすいんだぞ」
「マジで?」
そんな何気ない会話を交わして笑い合う。お月見なんて言いながらあまり月を見ることはなく、2人で顔を見合せて幸せな時間を過ごす。
そんな変わらない幸せな日常をいつまでも。