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    いなご

    @175cos

    グラブル・ワンピ中心に文字をポイポイしてます。
    考察、お話、書き途中…等わりと雑多です。
    CP⇒アルユリ/グラシエ/ゾサなど…

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    いなご

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    かきかけ注意

    タイトル通り、シエテが急に抜け殻みたいになっちゃう話。
    涯の力とか個人的解釈多め。
    もちょっと肉付けしたら支部にあげます。

    #グラブル
    Granblue
    #シエテ
    siete
    #アナシエ
    #アナシエシエ

    シエテが急に抜け殻みたいになる話。シエテが急に抜け殻みたいになる話。
    アナシエ→→→シエ

    絶対の存在が崩壊する様って
    めちゃ恐怖だな…と。



    今日は久しぶりにシエテと一緒にモンスターの討伐に行く。嬉しい気持ちと不安な気持ちが混ざり合い、無意識にシエテを避けてしまい、いざ討伐となるまで、ろくに会話ができなかった。というか、あちらも何処かこちらを避けているようだった。

    なぜ不安かというと、最近シエテの様子がおかしいと、十天衆から相談を受けていたからだ。
    今までは、定期的に…なんなら定期外でもお節介なくらいに十天衆みんなに声をかけてまわっていたのに、六龍とオロロジャイアの一件があってから、シエテからの連絡が急に減ったのだという。
    たしかに、グランサイファーに顔を見せるのもこれがあれ以来初めてだった。
    また、時折、余程疲れているのか、人前で寝言をするほどの居眠りをするようになったと聞く。あの普段から隙を見せないシエテが、だ。

    彼が何か隠しているのは確かだった。
    だから、それを確かめる為に今日は討伐に呼んだのだ。のらりくらり話題をすり替えられて断られると思ったが、あっさり1つ返事で来てくれた。
    妙に素直でそれも何だかいつも通りでない気がした。

    正直なところ、シエテに何があったのかを知るのは怖い。ひとたびその真実に触れれば、全てが喪われてしまうような気がするのだ。

    「おはよう団長ちゃん!今日はよろしくね」
    「うん、よろしくシエテ」

    ぽん、と肩を叩かれる。
    見たところいつもの調子ではあるようだ。

    不安な気持ちとは裏腹に、空は雲ひとつない晴天だった。眩しさに目を細めた先、目の前を歩くシエテがその白い外套も相俟って、陽の光の中に消えていく様に見え、消えるなと急いで追いかける。
    追いつくと、シエテがいつもの様に愛おしげに微笑みをくれる。それは、いつにも増してとても眩しくて、儚くて、胸が苦しくなった。


    なんて僕は無力なんだろう…
    シエテが安心して身を任せられるくらいの強さが欲しい




    ※※※


    討伐対象の大型モンスターが雄叫びを上げ、一気にあたりの空気が変わる。大技の予兆だろう。
    「ここは俺に任せて!」と、シエテが前に出る。
    恐らく星の海にアクセスしているのだろう、シエテの髪が次第に蒼く染まっていき、周りに星が煌めき始めた。
    このままでは、彼の技の巻き添えになるかもしれない、と、下がろうとしたその時だった。
    ガランッという、金属音。続けて砂利が滑る音。
    「!?」
    振り向きざま目の前に広がる受け入れ難い光景…時が止まったようだった。
    シエテの手から滑り落ちてゆく七星剣。
    そして糸の切れた人形のように、彼はその場に崩れ落ち膝をつくと、天を仰ぎみるようにして静止してしまった。
    「シエテ…?」
    一瞬何が起きたかわからなかった。さあっと血の気が引いていく。頭が空っぽになり、熱を失っていく。手が震える。上手く息ができない。
    何かの間違い?冗談か何かだろう?そうであってくれ…そう願いながら覚束無い足取りで駆け寄り、身体を揺さぶるも反応がない。抜け殻の様にガクガクとされるがままだ。仕舞いには、だらりとこちらに崩れるように倒れてきて、思わず抱きとめる。
    こんなに近くで彼の顔を見るのは初めてで、不謹慎にも少し心臓が跳ねた。だが今はそんな場合じゃない…見たくない、見るのが怖い…でも、何が起こっているのか確かめないと…恐る恐るシエテの身体を起こし、改めて様子を確認する。
    「…っ、…」
    僕の大好きな澄んだ空色の瞳は曇り空のように濁り、瞬きすることもなく薄く開かれたままだった。ぼぅと表情の無い顔をして力なく開かれた口は時折微かに動き、何やらブツブツ呟いている。
    明らかな異常な事態に叫び出したくなる。
    「ねぇ…どうしちゃったの?シエテ?冗談やめてよ…ねぇってば…!!!」
    嫌だ…嫌だ…嫌だ…
    全空一の剣の使い手で、最強で、僕の保護者で、頼れるお兄さんで、…大切な人が、こんな、ありえない…こんな姿見たくない…信じたくない…怖い怖い怖い…嫌な汗が出る。

    いつか、彼に何かあるだろう予感はあった。
    託すだの、殺されてもいいだの、いつも遺言じみた事を言ってくるし、得体の知れない絶大な力は、彼がいれば絶対に大丈夫という安心と同時に、人の身で何故そんな膨大な力を扱えるのか?本当に大丈夫なのか、という不安もあった。

    ついに、その時が来てしまったのだ。


    「城廓の構えっ!」
    止まっていた時が乱暴にも動き出す。
    どうやらモンスターの攻撃はウーノが止めてくれたらしかった。続けて他の団員もこちらの退路を確保するために駆け寄ってくる。
    「団長!しっかりするんだ!」
    攻撃を防ぎきったウーノが僕を叱咤するが、声が震えて言葉が上手く出てこない。あぐあぐと口を戦慄かせる僕を見て、「まずはこの場から離れよう、私は援護に徹するから、君はシエテを頼む。任せたよ?」と優しい声音に切り替えて指示をくれる。僕はそれに頷くことしか出来なかった。


    シエテを引きずるようにしてグランサイファーへ運ぶ。しっかりしないと…と分かってはいても、緊張と恐怖から汗なのか涙なのか分からないものが頬を伝っていく。

    シエテから体温を感じない。
    暖かくも冷たくもない。まるで人形のようだった。



    ※※※

    「ちょっとー!これから皆にいい所見せるところだったのに!」
    「死ぬ気なの?君…」

    標神によって現実世界から引き上げられたのは満天の星々が見守る水面だった。

    眼前に広がるは星空。
    天も地にも広がる星の海。
    正しくは地に広がる星々は、星空を水面に映したものだったが、天と地の境が溶け合い、まるで中空にいるかのようだった。

    俺に瓜二つの標神と名乗る男の言う通り、どうやら限界がきたらしい。そろそろ身体が持たないとは思っていたが、カッコがつかない最期となってしまった。
    まぁやる事はやってきたつもりだから後悔はない。現に標神は眉間にシワを寄せている。さぞ悔しいだろう、もどかしいだろう。標神がこちらの腕を掴む手にも力が篭っているのがわかる。
    それもそのはずだ。俺の身体を使いたくとも身体のエネルギーが空っぽなのだから手出しができないのだ。まぁ、ギリギリの所でコッチに引っ張られてきたから多少は動かせるかもしれないが、歩行がやっとくらいだろう。

    「お前、もしかしてあの子に力を渡したの?」
    「そうだよ、すべて託すって決めてたからね」

    オロロジャイアの一件の際、団長ちゃんが高熱で倒れてしまったのは、涯へと繋がる力を俺が分け与えた影響だ。あまりの膨大な力の流入に耐えられず、団長ちゃんには辛い思いをさせてしまったけど、結果的に上手く馴染んだようでよかった。しかも標神が出現する前にだ。こいつが出てきた後ではおそらく妨害されていただろう。まぁ、それも折り込み済みだったわけだけど。

    涯てとの繋がりをなくした俺は、ただの人に戻るかと思いきや、どうやら涯ての力はこの器を保つ為にも使われていたらしく、日に日に体内に蓄積していた力は消費され、存在を保てなくなっていった。
    カミサマは役目をおりた役者には手厳しいようだ。

    力の大半を託してしまった俺の身体は、動力源を失ったも同然で、再起不可能。つまり…

    「これでもう、お前が俺の身体でなにかしたくても出来ないでしょ?」

    標神はぐうの音も出ないのか、歯噛みし眉間の皺を深くさせた。暫くこちらを睨んでいたが、大きく溜息をすると俺の腕を乱暴に振り離す。
    余裕のない自分の顔を見るのは何だか不思議な心地だった。

    「確かに、これで『世界の脅威』はこの世界から取り除かれたわけだ」
    「まぁ、結果的にはそういうことかな~?」
    そう、この世界には力を正しく使える団長ちゃんがいる。彼には彼を支える強い仲間もいる。世界の均衡はたもたれる。

    「さぁ~て!もうこれで心残りはないかな!」
    濡れるのも構わずバシャッと思い切り星鏡の浅瀬に寝転がる。水面の冷たさに少し身構えたが、冷たくも温かくもない。心地の良い温度だった。

    「お前はこれからどうするの?まだ干渉するつもり?」
    「そうだね、目的のためなら諦めが悪い事くらい君も俺なら知ってるでしょ?」

    たしかに、コイツが俺なのだとしたらそうだろう。ましてや世界を再創生してまで目的を遂げようとしたのだ。
    だが、今の俺に出来ることはもうない。全て託して来たのだから。

    「この世界は俺がいなくてももう大丈夫…お前もあの子に会えばわかるよ」
    「特異点、か…」
    「お前が俺だというのなら、きっと気に入ると思うけどな」
    「…どういう意味?それ」
    どうもこうもない、だってこれから会いに行くんだろう?他意はない、つもり。
    「あ~あ、さすがに疲れちゃったな…少し眠ろ…」
    急に眠気が襲ってきたようだ。俺は目を閉じ、標神が立ち去るのを待った。

    これから世界は動く。
    特異点と呼ばれる彼がどんな決断を下すのか、この目で見れないのは残念だけれど、彼ならきっと大丈夫だろう。優しいあの子なら、きっと。

    俺の役目もこれで、おしまい。
    やり遂げた。全て…思い残すことはもうない。

    まぁ、でも…

    「団長ちゃんとイスタルシア、行ってみたかった、な…」

    優しく微笑むあの子の顔が浮かぶ。
    ひとりぼっちではなく、誰かと在るという事の尊さに少しだけ胸が苦しくなった。


    ※※※


    「やれやれ、後悔、ちゃんとあるじゃない…」

    どうやら『シエテ』は眠りについたようだった。
    こちらの気も知らないで、呑気に寝息をたてている。

    こうして客観的に自分を見ることで、初めて己の自身への無頓着さを実感する。
    この『シエテ』は、自分では救えなかった全てを救ってきた。それなのに、結局自分を救いの対象には勘定していない。

    常に誰かの為、世界の為に、
    疲労を疲労とも思わない。
    どんな困難も超えるべき命題になる。
    周りが悲しむ姿を見たくはないから、不安にさせたくないから、だから全ての善悪を引き受ける。
    我欲は許されない。
    それでは平等に世界を見られなくなるから。
    『正義の味方』の体現者。カミサマからの善なる御使いであり、贖罪の代行者。

    初めは、自分が生きてきた世界を否定したこの世界への復讐のつもりだった。
    否定されるのなら、こちらもこの世界を否定しようと。
    どうせ滅びの未来へ堕ちていくこの世界を嘲笑うつもりだった。だが…

    こうして『他者』になったからこそ、
    俺は、こいつを放っておけなくなってしまった。救いたい対象と捉えてしまった。
    結局は他者の為に生きている…そこはどの世界でも変わらないらしい。

    だからこそ、許せない。
    自分を諦めている『シエテ』を

    おそらく、俺が止めずにあのままモンスターを討伐していたら、完全に存在そのものが星の海に溶けて消えていただろう。

    『シエテ』の身体に意識を繋げる。
    人としての身体の損傷は無いものの、存在そのものが崩壊しかけている様だったが、干渉は出来そうだ。

    「せいぜい今はゆっくり休むんだね」

    シエテ以外との接触は実質これが初めてとなる。認知されれば、恐らく俺の存在は強固なものとなるだろう。それを利用すればおそらくシエテの壊れかけた存在の揺らぎは止められるはず。

    視界が次第に闇から光へと移ろぐ。
    今はとにかく、この存在をつなぎ止めなくては…



    ※※※


    「さて…と、行ったかな?」
    標神の気配が消えた事を確認し、身体を起こす。
    何やら呟いていたようだったが…まぁ、団長ちゃんの元へ行ったのならひとまず作戦通り…てことでとりあえず様子見かな。

    自分の世界を、役割を、否定される…それは、自身の存在を、守ってきた全てを、そして苦しみ嘆きながら散っていった全てを、懸命に生きていた人達全てを否定されたのと同義だ。怒りや憎しみを覚えても否定はできない。
    団長ちゃんの隣なら、そんな彼が新たな1歩を歩み出せる場になるだろう。

    さて、と…
    本当に眠くなってきちゃったな…
    こんなに安心して目を閉じるのはいつぶりだろう…

    「アイツのことよろしくね、団長ちゃん」



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    いなご

    DOODLEシエテ独白。若干ポエ厶
    シエ→団長気味

    シエテは未来が見えてる説的な話。
    世界の危機が来ても十天来ないのは、手を出さなくても解決することをシエテは知ってたからでは?という妄想。

    9周年イベ後、アナシエ発現後すぐくらい。
    捏造設定憶測もりだくさん
    シエテは自分の正体をあまりわかってない設定
    星々の唄星の海には星々の記憶が流れていた。
    過去、現在、未来…星の海には「時」がないから、それが既に起きた事象なのか、いつか来たる事象なのかはわからなかった。

    分かるのは結果だけ。

    星々の記憶は正確だった。抗っても抗っても…必ず観測した事象は訪れる。だから備えておく必要があった。いつこの結末を迎えてもいいように。

    最後まで抗ってみせる。せめて、大切なこの世界の人達が少しでも笑顔でいられるように。この手で、世界を壊してしまわぬように。

    なぜ、星の海が見えるのか
    なぜ、剣たちの声が聴こえるのか
    なぜ、剣聖たちが応えてくれるのか
    それは未だにわからない。

    けれど、ずっと孤独だった俺には、この美しい星の海が唯一の救いだった。星々だけが、いつも俺の側にいてくれた。眩しすぎる陽の光の中でも、暗く寂しい夜も、見上げれば星の海を見ることが出来た。ひとりじゃない、そう思えた。
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