画面越しの君へ(視点替え)
「……創、これ見えてる?」
「はい、ちゃんと見えますよ」
スマホに映る友也はホテルの室内を見渡したり、こちらを覗き込んだりと忙しない。ガタッと一度物音が聞こえて画面が揺れると、真っ白いシーツの敷かれたベッドに座る友也の姿が、安定して見えるようになった。
ディスプレイを挟んだ向こう側と同じように、創も目の前のテーブルにスマホを置く。こちらは普段通りの寝室で、ベッドの上のいつもの定位置に腰を下ろすと、小さな画面の中の友也を見つめた。
スプリングのきいたホテルのベッドはふわふわと揺れるようで、友也が腰掛けた部分が深く沈み込んでいる。時間もそれなりに遅い今、友也も創も寝支度まで済ませ、パジャマ姿になっていた。
文字では何度もやりとりしていたけれど、顔を見て話すのは久々で、創の心の中にほっと安心したような感情が広がる。それは友也も同じなようで、視線が絡むと脱力したような笑みを零した。
「創、お疲れ様」
「友也くんこそ、お疲れ様です。ふふ、なんだかちょっとお疲れですか? あ、日に焼けましたね?」
「うん……今日はずっと野外での撮影でさ。日焼け止めは塗ってるんだけど、結構スケジュールがカツカツで……」
創が相槌を打つと、友也は今参加している映画撮影の様子をぽろぽろと語り始めた。
映画の現場は今までやってきた舞台と勝手が違って、失敗したり落ち込んだりすることも多々あること。
撮影の期間も長く、体力的にも精神的にもハードで……けれど勉強になることも数えきれないあること。
彼の口調からは勿論疲れも感じられるが、それと同じくらい充実感を覚える日々であることも伝わってくる。
創はその見知らぬ土地での友也の活躍に、彼の言葉を受け止めながら想いを馳せた。
「それで……ってごめん、俺ばっか喋って」
「いえ、ぼくも友也くんの話聞きたかったですから」
「でも俺の話、愚痴ばっかりだろ。……創の方はどう? 俺がいなくて寂しかったりしないか?」
いつもは四人で回しているユニットの仕事も、友也が撮影に入っている今、三人で受け持っている。
真面目な彼のことだ。きっと、リーダーなのに他のメンバーに負担をかけてしまっている……なんて負い目を感じているのだろう。
そんな負い目、背負わなくてもいいのに。創は、敢えて声を明るくして朗らかに笑った。
「ユニットの方は大丈夫ですよ。光くんもに~ちゃんもいますから!」
「……そっかぁ、まぁそれぞれの仕事も増えてきてるし、こういうのにも慣れていかなきゃな」
(……ここからリモートでえっちな展開にしたい……)