『大人』の話同室の住人が不在の日だけに訪れる、特別な恋人との時間。
友也はベッドで上着を脱ぐ創を見つめながら、ぼんやりとあることを思い出していた。
でもそれはふいに思い浮かんだくだらない下世話な考えで、これから待っている目が眩むような時間を待つこの場には、全くそぐわない。
その想いを友也はすぐに捨て去り切り替えようとしたが、友也の表情の変化に目敏い創は、すぐにその心情の波に気付いた。
「何か考え事ですか?」
これから待ちに待った互いの熱だけに溺れるだけの時間が待っているのに……そう言わんばかりに頬を伝う指先に、友也はドキリと胸を高鳴らせる。
でもこんな大事な時に他所事を考えていた自分も悪い。友也は、正直に今思った事を声にした。
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