Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    tkoib

    @tkoib

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 10

    tkoib

    ☆quiet follow

    5/4の新刊の冒頭部分
    ブラックバニーから1年!ということで、創くんが記憶喪失になる話を書いてます~
    冒頭のちょこっとだけなんでかなり短いです

    #友創
    you-tron

    ワンダーランドのその先に△月×日
    に~ちゃんからのアドバイスで、今日から日記を書くことにした。と言っても毎日書くのは多分難しい……学年も変わって、Ra*bitsのリーダーにもなったばかりだし。
    でもに~ちゃんは書ける余裕がある日に、メモする程度でも構わないって言ってた。忙しい時期が続くようなら休んでもいい、と。
     それくらいの緩いペースなら続けられるかもしれない。インタビューとかではRa*bitsの活動を振り返って語る機会もあるし、そういうのにも役立つかも。
     自分なりのペースでこの日記は続けていこう。



    そんな文面から始まったノートを、机に向かう友也はぱらぱらとめくっていく。春、個人活動が増えてなかなかメンバー皆で会えなかった頃のMDMライブの時期、そして待望のに~ちゃん復帰ライブのポップンパーティー。間にあったドラマティカのレッスンや活動内容、そして先日のアンダーランドのライブ。光の記憶がなくなるという事件が起こり、バタバタと忙しなく準備をした日々は記憶に新しい。
    ようやくまっさらなページにたどり着いた友也は、椅子の背にもたれて寮の自室の壁を見上げた。夜も更けて静かな空間の中で、朝この部屋のベッドから起きた時からの記憶を順々に巡らせる。
    今日はまた、大事件が起きたのだ。その驚きと戸惑いに肉体も心も疲れきっていて、正直今すぐにでも寝てしまいたい。
    でも今日の事件は書かずにはいられない。誰かに、どこかに想いを吐き出したくてたまらないのだ。
    友也はシャープペンを持った。


    〇月1日
    今日、創の記憶が消えた。光と同じで中学までの記憶はあって、ここ数年のアイドルとしての記憶が全くない。
    記憶が消えたタイミングも同じで、夢ノ咲の校庭にいた創の頭にボールが飛んできてぶつかったらしい。その時光が一緒にいたみたいで「創ちゃんがオレのことわからなくなっちゃんだぜ! どうしようっ?」と連絡をもらった時は……もう頭が真っ白になった。
     でも一つだけ光のときとは違うこともある。それは創が俺のことは覚えていたことだ。中学までの記憶しかないようだけれど、他の人のことは誰も分からないのに、俺を見た瞬間「友也くん!」と名前を呼んで駆け寄ってきてくれたのは、単純に嬉しかった。
     でも忙しくなったのはここからだ。大学で授業を受けていたに~ちゃんにも連絡をとり、リズリンの事務所の人たちにも事情を説明。そこからホールハンズでEにいる人たち皆にも伝えた。
    創のことはとりあえず病院に連れて行ったけど診断はやっぱり光と同じ、一時的な記憶喪失。創の家族にも連絡を入れると、すぐに帰ってきてほしいと言われた。創の家族は仲がいいし、皆心配性だもんなぁ。
    でも光のときにもお医者さんには「記憶を戻すためにはこれまでと変わらない生活を過ごすといい」と言われて家には帰らなかったし……早く治すためには必要なことなのかもしれない。そのことをきちんと伝えると創の家族も理解してくれて、創は暫く寮に留まることになった。
    ……でも創はきっと、大好きな家族のところに本当は戻りたかったんだろうなぁ。すっかり昔の人見知りだった頃に戻ってしまった創は、俺の傍からずっと離れないし。
    元々人前に立つのも苦手だし、今アイドルをやってるんだ、と伝えても、創は全く信じられないみたいだ。
    創と俺の寮の同室の人たちには事情を説明して、しばらく創は俺の部屋で生活することになったけれど……創が不安に思っているのはひしひしと伝わってくる。俺以外誰も知る人のいない世界に迷い込んでしまったようなもんだもんなぁ。
    その不安を少しでも取り除くためにも、俺がもっとしっかりしなきゃいけない。がんばろう。


    ノートを閉じ自分のベッドの方を見ると、そこにはすやすやと寝息をたてる創がいる。
    記憶を失ってからの創は落ち着かず、とても心細そうだ。大切な友人のそんな様子に、心が痛まないはずもなく、先程もなかなか眠りにつけない創に「何か思うことがあったり、やってほしいこと、教えてほしいことがあったら何でも俺に言えよ」と伝えたばかりだ。
    そこでそっと言われたのが「不安なので一緒のベッドで寝てもいいですか?」という控えめなお願いなのがまた、創らしい。
     友也はお願いの通り同じベッドに入ると、創の隣に横たわる。柔らかいヘッドライトの光をオフにすると、部屋は真っ暗になった。
    カーテン越しの淡い光だけが残る、いつもの光景。創から香る優しい花の匂いを感じながら、友也は目を閉じた。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏💕❤😭💖❤❤💖💖💒💒💖💖💕💞💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works