ラiイiドiウ「やあ元気そうじゃないか」
馴染みの商店の地下に降りると建人はゆったりと椅子に背を預けて座る人物に早速声を掛けられた。
「お世話になります。家入さん」
「元気だよー硝子」
「安心しろ。オマエには聞いていない」
毛がつくからやめてくれと何度も言っているが言う事を聞かずに建人の肩に乗る真っ白い猫のさとると軽口を言い合っているのは家入硝子、建人が世話になっている人の一人だ。肩にかかる髪を一つに結って常に白衣に手袋をしている。冥冥という女主人が経営している商店の地下を借りている研究者だ。この薄暗い日の光が差さない地下は研究所らしくガラス壜や緑色の液体が入った装置が見える。どういう用途で使われているのか建人には全く分からない。建人が部屋の中を見回しているとさとると話し終えたらしい家入が建人の方へ向く。
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