浴衣の魔法 【エスターシ】が京都で行われる企業イベントに参加することになりその当日。何故か、京都っぽいからという大江さんの鶴の一声で決まり私そして奈波さんは着物…浴衣を着ることとなったのだった。まあ、イベントごとではあるし楽しんだもの勝ちであることはそうなので大江さんと色違いの浴衣を着た私は皆の前に姿を現した。
「……ーーー、」
一番初めに目に入ったのは康平くんの驚いた顔だった。それが印象的で見ていると五月女さんが褒めてくれ思わずそっちに顔を向ける。
「康ちゃんもそう思わねえ!?」
「あの…彼氏よりも先に褒めないでもらえます?」
「あはは、そんなん言わない康ちゃんが悪いんじゃねえの?なあ?」
意見を求められ狼狽ているとはあ、と康平くんはため息を吐く。そして顔が近づいたかと思えば耳打ちされる。
「…似合ってる。似合いすぎて驚いたくらい」
その言葉が嬉しくて、驚いて口をぱくぱくさせる私を見ておかしそうに康平くんは笑う。
「どう?満足した?」
こくこくと頷けば「そ」と言って私の片頬を突く。私は心の底から大江さんに感謝するのだったーー。
-Fin-