ピーマンもたまには悪くない 「うわ、にが。何か食べてきた…?」
蒼くんの家を訪ねて、キスして早々顔を顰めて蒼くんはそう言った。ひどい、と思いつつ皆と一緒に食事をしてきたこと。そこで青椒肉絲を食べたことを明かす。
「あんた、ピーマン苦手なのに食べたの?」
信じられないと言った顔で言われ大人になった身で好き嫌いは出来ないから頑張って食べたと言うと苦そうな顔を蒼くんはさせた。
「…あんた、顔にすぐ出るのに何も言われなかったの?」
五月女さんに揶揄われたことを明かせば嫌そうな顔を蒼くんはさせた。
「………あんたって、なんでそう……」
ぶつぶつと何か呟いているのが見えて思わず首を傾げて名前を呼んだ。すると手を引かれてそのまま私は蒼くんの上に跨ってしまっていた。
「何驚いてんの」
そう言ってにやっと蒼くんは笑うとそのまま私の頬を手の甲で撫でた。
「前から思ってたけどさ…朱里ちゃんって無防備だよね。…あんたがピーマン嫌いなところか、あんな風な顔をするとかボクだけの特権だと思ってたのに…」
そう言って蒼くんは唇を尖らせる。
「…可愛いって、何さ。」
ヤキモチを妬いてくれたことが嬉しい、それにそういうところが可愛いと思った。と明かせばますます拗ねたように唇を尖らせてしまう。
「もう、【可愛い】は禁止!」
そう言うと蒼くんは唇を尖らせる。ピーマンの味が嫌なんじゃなかったの、と言えば「朱里ちゃんとのキスは別!」なんて言われてしまいこういうことなら頑張ってピーマンを食べた甲斐があったな…とその背に腕を伸ばすのだった。
-Fin-