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    Satsuki

    短い話を書きます。
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    Satsuki

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    全然明記していなかったのですが当方が書いている捕虜フェリは全てざじさん(@zazi_333)の素敵な捕虜フェリのファンフィクです。
    また書きたいところだけ書きました。シルヴァンにおいたをする悪い捕虜フェリです。全裸だけどえっちではないです。多分この後えっちなお仕置きをされる。されてほしい。

    #捕虜フェリ
    powFeri

    ぼんやりと、冬の朝日が雪の上を照らし出すように意識を取り戻したのは幸運だった。フェリクスはその身を包んでいる温もりが、毛布ではなく湯によるものだと知覚したあとも、寝息を装い瞼を閉じたままでいる。ちゃぷ、と水面を揺らして、背後にいる誰かがフェリクスの肩に湯をかけている。その誰かの裸の胸板がフェリクスのぐったりと力の抜けた背を受け止めて、首を肩に凭れ掛からせている。小さく聞こえる機嫌のよさそうな鼻歌。フェリクスはまだぼんやりとする頭で薄っすらと目を開き、蝋燭の炎にちらちらと揺れる湯船を見た。
     そこから先は、ほぼ脊髄反射で体が動いたと言って良かった。
     まず最初に、背後の人間以外、周囲に人の気配が感じられなかったことがフェリクスをそうさせたと言える。それに、狭い浴槽の中に大の男が二人詰め込まれていたことで、足が不自由なフェリクスでも相手の足の間で体を支えることができた。なにより相手が油断しきっていたことが勝因だったが、彼も数時間にわたっての性交に疲労していたのだろう。だからフェリクスは、瞬時に身を翻して彼の濡れた赤い髪を掴み、渾身の力を込めて浴槽の縁に頭を叩きつけてやることができた。
     ガツン!!
     フェリクスの激情に紋章が応える。不意を突かれたシルヴァンはこめかみの辺りから血を流しながら、それでもフェリクスの手を掴み返そうとした。ブチブチ、髪の毛の抜ける嫌な感触。フェリクスは容赦なく、シルヴァンの頭が彼自身の一物に挨拶できるようそのまま両手で思いきり湯の中に沈めてやった。がぼ、ごぼ、慌てたように抵抗する素振りがあったが、浴槽の中に座った格好では力が入るまい。フェリクスは全体重をかけて、彼が息絶えるのを待った。待とうとした。
     ふと蝋燭の火が遮られ、フェリクスは顔を上げた。カラスの濡れ羽色の彼の髪を、先ほど自分がシルヴァンにやったのと同じように掴まれたのだ。ゾッと背筋が凍り付くほどの殺気を身に受けても、フェリクスはシルヴァンを押さえつける腕の力を抜くことは無かった。しかしフェリクスの長い黒髪を片手で鷲掴みにした人物―――ディミトリは、口元に僅かに微笑みを浮かべて無造作に腕を振った。
     ゴッ!!
     浴室の壁に鈍い音が響いた。ディミトリが手を離すと、ぐらり、フェリクスは頭から血を流しながら湯の中に落ちてゆく。
     ディミトリは一つため息を吐いてシルヴァンとフェリクスを湯船から引き上げると、まずシルヴァンの頬を軽く叩いた。酷い出血だ。
    「シルヴァン、起きろ」
    「……ッウ!ゴホッ!ゲッホ……!!あッ……へ、へーか、俺……すみません」
     何度か胸を押してやると、シルヴァンはすぐに息を吹き返した。緩慢に体を起こそうとしてもがく腕を、ディミトリが掴んで引き寄せてやる。
    「油断したな。血が出ているぞ」
    「くっそ、フェリクスの奴……」
     体を拭くために用意していた布は、一先ず血止めに使われることとなった。シルヴァンは自分の頭に適当にそれを巻き付けると、直ぐにフェリクスに治癒魔法をかける。
    「しばらく放っておいてもいいんじゃないか?」
    「確かにお灸を据えてやらなきゃならないですけど、頭が割れちまってますよ……」
    「そうか……少し力が入りすぎたかな。だがお前が風呂で死ぬのは見たくない」
    「今更、お互いの裸なんて見慣れたでしょ。……けどほんと、助かりました」
     ディミトリはシルヴァンの礼に笑みを返すと、フェリクスをひょいと抱き上げた。ついでにふらついているシルヴァンを支えてやりながら浴室を後にする。
    「寝ている方が大人しくて良いが、次から風呂に入れるときは起こすことにしよう」
    「ですね」
     気を失っているフェリクスの顔は、皮肉なほどに穏やかで無垢に見える。ベッドに下ろしてやると、傷に響くのか、眉間に皺が寄ってしまった。さて、大切な仲間を、愛すべき幼馴染を傷つけた代償をどう支払ってもらおうか。重い鎖を足に取り付けてやりながら、ディミトリ愛しいフェリクスの寝顔を見つめた。シルヴァンはフェリクスの濡れた黒髪の下に布を敷いてやると、額にこびり付いていた血を舐めとるように口付けを落とす。
    「ったく、あとで覚えてろよ……」
    「シルヴァン、お前の手当てが先だ」
    「ええ……すみませんけど、医務室まで肩貸してもらってもいいですか?」
    「ああ。担いでやってもいいぞ」
    「いえ、肩だけで……」
     あーあ、なんて言い訳にしましょうかね。シルヴァンはディミトリにほとんど全体重を支えられながら、フェリクスの冷たい部屋を出た。頑丈な錠が下ろされ、あとに残されたフェリクスの指先がピクリと動く。布に滲む血は止まりかけだ。しかし、意識が戻るまでにはまだ時間がかかるだろう。忘れられた浴室で残された血の痕跡もやがて乾き、いつしか蝋燭の炎は音もなくふ、と、消えてしまっていた。
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    Satsuki

    PROGRESS脱走フェリをお散歩させる。フリートしてた話の進捗です。そのうち続きを書くと思います。
    シルヴァンはしゃがみ込み、床に倒れ伏したまだ歳若い男の首に手をやった。まだ温かなその体は、昼までは食堂で勤勉に動き回っていたものだ。
    「どうだ?」
    ディミトリが静かにそう聞くと、シルヴァン首を横に振った。
    「だめですね。首を折られてます」
    「あいつ、やるな」
    「腕の力は、弱ってなかったですもんね」
    「ああ……さて、それじゃあ追いかけるか」
     どこか楽しそうに言うディミトリに、シルヴァンは立ち上がって暗い廊下を見つめた。所々に燭台があるが、この冷たく寂しい道を、フェリクスはどこまで進んでいったのだろう。

     ハァハァと荒い呼吸を吐きながら、フェリクスは床に爪を立てる。辺りの様子を確かめるために首を大きく動かさなければならなくて、体中の筋肉が悲鳴をあげていた。簡素な服はまくれ上がり、硬い石造りの床に擦れた膝や腕には無数の細かな傷ができ血を滲ませ始めている。ここはどこだ?目線の高さが変わってしまったせいで、距離感が全く掴めない。おまけに、さっきから同じような場所を延々と巡っているような錯覚に陥っている。いや、それが錯覚なのか、本当に同じ場所から動くことができていないのか、それすら分からない。
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    Satsuki

    BLANK全然明記していなかったのですが当方が書いている捕虜フェリは全てざじさん(@zazi_333)の素敵な捕虜フェリのファンフィクです。
    また書きたいところだけ書きました。シルヴァンにおいたをする悪い捕虜フェリです。全裸だけどえっちではないです。多分この後えっちなお仕置きをされる。されてほしい。
    ぼんやりと、冬の朝日が雪の上を照らし出すように意識を取り戻したのは幸運だった。フェリクスはその身を包んでいる温もりが、毛布ではなく湯によるものだと知覚したあとも、寝息を装い瞼を閉じたままでいる。ちゃぷ、と水面を揺らして、背後にいる誰かがフェリクスの肩に湯をかけている。その誰かの裸の胸板がフェリクスのぐったりと力の抜けた背を受け止めて、首を肩に凭れ掛からせている。小さく聞こえる機嫌のよさそうな鼻歌。フェリクスはまだぼんやりとする頭で薄っすらと目を開き、蝋燭の炎にちらちらと揺れる湯船を見た。
     そこから先は、ほぼ脊髄反射で体が動いたと言って良かった。
     まず最初に、背後の人間以外、周囲に人の気配が感じられなかったことがフェリクスをそうさせたと言える。それに、狭い浴槽の中に大の男が二人詰め込まれていたことで、足が不自由なフェリクスでも相手の足の間で体を支えることができた。なにより相手が油断しきっていたことが勝因だったが、彼も数時間にわたっての性交に疲労していたのだろう。だからフェリクスは、瞬時に身を翻して彼の濡れた赤い髪を掴み、渾身の力を込めて浴槽の縁に頭を叩きつけてやることができた。
    1988

    Satsuki

    DOODLE猫フェリクスは可愛いというだけの話。捕虜設定はざじさん(@zazi_333)の素敵な捕虜フェリ創作からお借りしております。そろそろお借りしすぎなので自重します。
    フェリクスは猫だった。耳から尻尾にかけては月夜の森の中のような柔らかい黒色で、喉やふわふわの腹側は雪のように真っ白い猫だった。いつだっていかにも猫らしくぴんと尻尾を立てて、キッと周りを睨みつけて歩いた。天気の良い日は池のほとりで魚を眺めたり、木箱の上で日に当たったりして過ごす。気が向くと青獅子の学級でディミトリと授業を聞き、訓練場で生徒たちが剣や槍を振るったり、弓を引いたりする様を眺めていた。
     孤高で、気難しい猫なのに、生徒たちはフェリクスのことを可愛がる。アッシュはフェリクスのために魚の骨と肉とを分けてやり、メルセデスは柔らかな膝をフェリクスに貸したがった。アネットは温室でこっそり歌を聞かせてやり、ドゥドゥーはフェリクスが歌を聞いたまま、柔らかく盛った土の上で眠っているのをそっとしておいてやる。イングリットは食堂の机の下で、そっと自分の肉をフェリクスに分けてやった。ディミトリが真似をして肉を分けてやろうとすると、フェリクスはつんとして絶対に手を付けない。彼はディミトリが自分の食事を無感情に飲み下すのを、いつも気に入らな気に見つめていた。
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    Satsuki

    CAN’T MAKEだいぶ冗長的な文章になってしまいうーんな出来になってしまった。脱走フェリの続きです。ひとまずぶち切って終わりにした感。
    捕虜設定はざじさん(@zazi_333)の素敵な捕虜フェリ創作からお借りしております。いつもありがとうございます。
    シルヴァンはしゃがみ込み、床に倒れ伏したまだ歳若い男の首に手をやった。まだ温かなその体は、昼までは食堂で勤勉に動き回っていたものだ。
    「どうだ?」
     ディミトリが静かにそう聞くと、シルヴァン首を横に振った。
    「だめですね。首を折られてます」
    「あいつ、やるな」
    「腕の力は、弱ってなかったですもんね」
    「ああ……さて、それじゃあ追いかけるか」
     どこか楽しそうに言うディミトリに、シルヴァンは立ち上がって暗い廊下を見つめた。所々に燭台があるが、この冷たく寂しい道を、フェリクスはどこまで進んでいったのだろう。

     ハァハァと荒い呼吸を吐きながら、フェリクスは床に爪を立てる。辺りの様子を確かめるために首を大きく動かさなければならなくて、体中の筋肉が悲鳴をあげていた。簡素な服はまくれ上がり、硬い石造りの床に擦れた膝や腕には無数の細かな傷ができ血を滲ませ始めている。ここはどこだ?目線の高さが変わってしまったせいで、距離感が全く掴めない。おまけに、さっきから同じような場所を延々と巡っているような錯覚に陥っている。いや、それが錯覚なのか、本当に同じ場所から動くことができていないのか、それすら分からない。
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    ※生命倫理がない
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    「あ」
    手から滑り落ちたそれは、床にぶつかって、あっけなく崩れてしまった。
     私の手には、一瞬前までシャーレが乗っていた。その中には、体細胞核を移植した卵子から発生した小さな小さな胚。ある程度育ったそれを、培養液に移すところだった。足を滑らせた訳でも、何かに驚いた訳でもない。するり、と手からいなくなっていたそれは、床で悲惨にも飛び散っていた。
    「あーあ、命、一個壊しちゃった…」
    「早く拭きなよ。その汚れ、乾くと落とすの大変だからさ」
    「分かってるよぉ」
    私はkimタオルを何枚か取って、飛び散った細胞を搔き集める。胚を浸していた羊水か、細胞から出た液か、どちらか分からない液体が白い生地に染みる。ペーパータオル越しに触れる細胞は柔らかく、粘液が伸びてベトベトしている。私が不注意で落とさなければ、こんな姿にならずに、立派な生命でいられたのに。せっかく形になっていたそれは、半分つぶれて、べたついた塊になってしまった。細かく飛び散ってしまった細胞を、一つも漏らさないように、丁寧に丁寧に床から救い出す。
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