授業が終わり、いつものように教室を出る。放課後の廊下を歩いていると、窓から校門の手前に小さな人だかりができているのが見えた。
そのほとんどは女子のようだが何があるのかはここからではよく見えない。ただ人が集まっているだけなら特段興味は無いので通り過ぎるところだったのだが。
「あ、来た!遊作ー!!」
もうすっかり耳馴染んだ声が俺の名前を呼ぶ。そして人だかりの中からは思い浮かべた通りの人物が出てきた。ここにいるはずのないその人物に思わず声を零す。
「Ai、どうして学校に…」
「買い物終わったら授業が終わる少し前だったから寄ったんだ。一緒に帰ろうぜ」
にこにことそう言いながら買い物袋を見せてくる。校門で生徒に囲まれていたのは今日は掃除をしたいからと家に残ったAiだった。真っ直ぐこっちに向かってきたものだからAiに集められていた視線が自然と俺の方に向けられる。校門付近にいる生徒全員に見られるのは居心地が悪い。
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