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    あめつき

    @uduki_ugetsu

    留が右の話を書いたり、忍の.5の感想や派生妄想を書いたりする人
    たまに絵を描くかも

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    あめつき

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    彼らの時代の死生観ってどんなだろうって考えてたら暗い話になったやつ。卒業後どこかに勤めてる設定。
    俯瞰的な文章を書けるようになりたいのに一人称擬きを書いてしまった。
    実際の伊作くんはこんなうだうだ考えなさそうだし、そもそも忍者よりも町医者とかになってそこそこ平和に暮らしてそう。てかして欲しい。

    #善法寺伊作
    zenphajiIzaku

    memento mori人は死んだら何処へ行くのだろう。
    どこかの坊主の教えでは、仏となって浄土で往生すると言っていた。最近南蛮から渡来した信仰では、信じ祈れば神の身元へと導かれるらしい。

    伊作はどこか上の空になった頭でそんな聞き齧った程度のことを考える。手元は未だ血に塗れ、持っていた苦無を取り落としそうになる。こと切れる前の人間を前に物思いに耽る。
    どうして忍者になろうとしていたのか、初心なんて今はもう思い出せない。いや、そうではない。覚えているがあの頃の自分が思い描いていた未来と、今目の前にある現実は酷く乖離していてここまでの道程に対して疑心を抱く。

    忍びの術を学ぶ場所で、伊作は忍術だけでなく医術を学んだ。よっぽど向いていたのか六年間で十分すぎる知識を修めた。医術は人を生かすことを知ると同時に、どうすれば人は死ぬのかということを他の何よりも直接的に彼に知らしめた。これから戦乱へと身を投げる彼にとってはこの上無く有利になる知識であった。
    しかし同時に彼を苦しめるものでもあった。
    伊作は医術を保健委員という立場で学んでいく中で、ただ技術を研鑽するだけでなくその心得というものを得ていた。怪我をしている人を放っては置けないという“保健委員の心”を。そのおかげで学生時代は予想だにしなかった縁も得られた。だが学園を出てプロとなった今その精神は彼を蝕む病の原因にしかなり得なかった。
    人を助けることが出来る手で人を殺める。相手が完全なる悪であるならばよかった。しかし実際はただ立場の異なるもの同士の争いでしかない。今日は仲間だと思っていた人が明日には敵の間者だったとわかることも少なくはない。擦りむいた傷を治療したこの手で軽装では覆えていない頸を切る。仕方がない敵であったのだからと自分に言い聞かせ次から次に舞い込む仕事に没頭する。
    そうやって心を殺していくうちに相手など見なくなっていた。治療をする時も、いつかは敵になるやも知れない恐ろしさに、己の手が触れる相手を個として認識することは無くなった。

    伊作はそんな自分を唐突に自覚し、虚しく黒くなっていく手を呆然と眺めた。
    学園で過ごしていた頃は実習のついでに戦場で怪我人を治療することもあった。あの時は名前も知らない人達ではあったが一人一人声を掛けその存在を個として認識していた。現在はそのような勝手な事など出来ず、関わる人間なんて限られた状態であるのにその人達がどんな為人であるかなど全く知りもしないのに。
    今となっては遠い昔の記憶に想いを馳せていると、ふと未だに相手の呼気があることに気づく。そしてこの人はどんな人だったのだろうかと思い始める。特に相手から聞き出す必要のある情報などは無いが降って湧いた好奇心から頭巾へと手を伸ばす。致命傷を与えている為碌に抵抗できないだろうし、されたとてそこで終わるのも気にする事ではない。それよりも今、相手が何かを知ることによって失っていた本質を取り戻せる、この行為にそんな意味を見出し優先させるべきだと伊作は思ったのだ。
    そうして剥ぎ取った布から現れた顔に伊作は目を見開くことになる。どうして。音こそ漏れなかったもののその動揺は相手にも十分に伝わった。
    相手は伊作よりも随分と前から気づいていたようで彼の感情を理解し、それに応えるように微かに動く瞳を瞬かせる。よく知っているその動きに、意味に伊作は絶望する。
    伊作は下手な好奇心が為に、彼の心を守っていた砦を彼自身で壊してしまったという事実に気づいてしまった。
    生を失った躯を前に伊作はただ立ち尽くしその死を想った。
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    あめつき

    CAN’T MAKE彼らの時代の死生観ってどんなだろうって考えてたら暗い話になったやつ。卒業後どこかに勤めてる設定。
    俯瞰的な文章を書けるようになりたいのに一人称擬きを書いてしまった。
    実際の伊作くんはこんなうだうだ考えなさそうだし、そもそも忍者よりも町医者とかになってそこそこ平和に暮らしてそう。てかして欲しい。
    memento mori人は死んだら何処へ行くのだろう。
    どこかの坊主の教えでは、仏となって浄土で往生すると言っていた。最近南蛮から渡来した信仰では、信じ祈れば神の身元へと導かれるらしい。

    伊作はどこか上の空になった頭でそんな聞き齧った程度のことを考える。手元は未だ血に塗れ、持っていた苦無を取り落としそうになる。こと切れる前の人間を前に物思いに耽る。
    どうして忍者になろうとしていたのか、初心なんて今はもう思い出せない。いや、そうではない。覚えているがあの頃の自分が思い描いていた未来と、今目の前にある現実は酷く乖離していてここまでの道程に対して疑心を抱く。

    忍びの術を学ぶ場所で、伊作は忍術だけでなく医術を学んだ。よっぽど向いていたのか六年間で十分すぎる知識を修めた。医術は人を生かすことを知ると同時に、どうすれば人は死ぬのかということを他の何よりも直接的に彼に知らしめた。これから戦乱へと身を投げる彼にとってはこの上無く有利になる知識であった。
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    あめつき

    SPOILER忍ミュ10弾好きなだけどモヤモヤする部分があったのですが、10弾円盤に入っていた特典の春日井公演を観てこういう感じなら自分の解釈の六はに近いかなと思ったifを勝手に書きました。自分を納得させるためだけの文章です。(セリフは舞台ママではありません)
    伊作が六年生なのに周り(自分のチーム)のことを考えてない様に感じられるのが何だか、うーんって思っていたので。
    めんどくさい六はオタクが自分を納得させるためだけに書いた忍.ミュ10弾のif(補足)長次の叫び声が聞こえたシーンから始まります。


    昨夜の雨も止み、チームぴよこちゃんもきのこ岳へと再び進み始める。そんな中伊作の耳に誰かの叫び声が聞こえた。
    「今何か聞こえなかった…?」
    伊作は記憶の中にあるその声に同級生の一人だと思い至る。
    「あの声は…長次!」
    普段近くに寄らねば聞こえないほど静かに話す、あの中在家長次が大きな声を出すということに伊作は胸に一抹の不安を覚える。
    「長次たちに何かあったのかもしれない」
    「中在家先輩のいるチームに…、あのチームにはきり丸もいます。心配です…」
    伊作の発言に同じクラスでいつも一緒にいる乱太郎やしんべヱが顔を曇らせた。二人の心配を晴らすためと留三郎は安心させようとする。
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