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    michiru_wr110

    @michiru_wr110

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    michiru_wr110

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    anzr 初出2023.12.
    夏メイ
    イメソンは、山崎まs...さんの「One more time~」。

     今夜は流星群のピークらしい。
    (今更願い事なんて、柄じゃないしな……)

    #夏メイ
    #anzr男女CP
    anzrMaleAndFemaleCp

    それは本心(夏メイ) 大粒の雨と見間違いそうなほど落ちていくのは、ただの光の粒でしかないと思っていた。けれど、長年ファンとして活動を追っているとある歌手に言わせてみれば「星が落ちそうな夜は自分を偽れない」ものらしい。
     しゃがれた声で淡々と語りかけるように歌う様が脳裏を過ぎる中、現実の俺はと言えば。

    「どうせ仕事だからな……」

     無機質な警察署の屋上に一人きり。肌を刺すような冷たさの風に打たれ、そこかしこで瞬くネオンなどお構いなしに、吐く息が白くけぶる向こうで流れ落ちていく流星群を見つめる。小休憩を経て戻った後は、いつもより多少手強い厄介者への事情聴取が再開されるだろう。
     俺の仕事は時間が勝負で、事件もイレギュラーも、何もかも待ってはくれない。
     本来ならばこうして息抜きをする時間すらも惜しいのだけれど、お節介な後輩が「根詰めすぎですって!」と半ば強引に俺の背を押したものだから仕方がない。

     今夜は流星群のピークらしい。
     その現象はちっぽけな俺のぼやきになど構わず、唐突に姿を表しては儚い命を散らしていく。
     ともすれば虚しさを覚えそうな自然現象をどことなく親しみを込めて見つめてしまうのは、ひとえに俺が「流星」の名を持っているからに他ならない。
    (今更願い事なんて、柄じゃないしな……)
     独り言ちた刹那、表情の変化に乏しい彼女の姿が脳裏を過ぎる。

    「……いや、どうかしているだろ」

     あまりにも唐突だった。こんなタイミングで彼女を思い出す謂れなどなかったはずだ。関係ない……関係ない、はずだ。
     けれど頭の中から彼女を掻き消そうとしても上手くはいかなさそうだった。むしろ、一心不乱に目的を追う彼女の強い瞳の輝きが、今夜の流星群の光を思い起こさせるのだからある意味重症かもしれない。

     今の彼女ならきっと、まっさらな心で流れる星々の天体観測を楽しむのだろう。物珍しそうに天を仰ぎ、目一杯に首を反らして、ひたすらにこの現象を注視するに違いない。
     そう思うと何故だかたまらない気持ちになって、無意識のうちに取り出したスマホから、俺は反射的に彼女宛のコール音を鳴らした。

     半ば勢いの行動にそれらしい意味なんかないから、もしも彼女との通話が叶った時は言い訳に苦心してしまうことは目に見えていた。
     けれど相手が他でもない彼女なら、それでも良いのかもしれない。

     何しろ、星が落ちる夜は自分を偽れないものらしいから。
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    michiru_wr110

    PASTanzr
    初出2022.8.28.
    イベストバレ有(遊園地の怪人+ハイサマーロマンス)
    どうかしている。君も俺も(夏メイ) 夏井流星はけたたましい音を立てながらスマホを伏せた。
     液晶ディスプレイに表示された画像の正体に気づいたからである。

    (…………何なの)

     いつもより比較的静けさ漂う特対内。スマホを叩きつけた勢いで右手が僅かに痺れたまま、夏井は自席のデスクに勢いよく突っ伏す。一連の動作に、休日出勤中の他数名の課員たちは遠巻きに夏井の様子を伺うばかりだ。

     瞼の裏に過ぎるのは、後輩である秋元からFINEに送信された1枚の画像。青い空と透き通るほど眩しい海を背景に寛ぐ七篠メイの写真である。
     海の家らしいチープなつくりのテーブルの上には鮮やかな色味のスムージーが入ったグラスがいくつも乗っており、七篠はそのうちのひとつを口にしながら僅かに目を見開いていた。秋元は「個人的な用件」で春野と行動を共にしていたはずだったが、何がどうしてこうなったのか現時点では予想もつかない。それに、不意打ちの如く無防備な姿を撮られている七篠も七篠だ。身にまとう眩しい色味のチューブトップは七篠の肌の白さを殊更に強調している。しかもわき腹の辺りにはうっすらと不自然な翳りがあり、見方によっては影のようにも古傷や火傷の跡のようにも受け取れる。羽織るものを何も身につけていない点も相まって、夏井の平常心はすっかり隅に追いやられてしまっている最中だった。
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    michiru_wr110

    PASTanzr 初出2023.7.
    夏メイ
    イメソンは東京j...の初期曲。

    《七夕を迎える本日、都内は局所的に激しい豪雨に見舞われますがすぐに通り過ぎ、夜は織姫と彦星との再会に相応しい星空を観測できるでしょう》
    青く冷える七夕の暮れに(夏メイ) 新宿は豪雨。あなた何処へやら――イントロなしで歌いはじめる声が脳裏に蘇ってくる。いつの日かカラオケで夏井さんが歌った、昔のヒット曲のひとつだ。元々は女性ボーカルで、かなり癖のある声色が特徴らしい原曲。操作パネルであらかじめキーを変えて、あたかも自分のために書き下ろしされたかのように歌い上げてしまう夏井さんの声は、魔法のように渇きはじめた心に沁み渡っていく。

    《七夕を迎える本日、都内は局所的に激しい豪雨に見舞われますがすぐに通り過ぎ、夜は織姫と彦星との再会に相応しい星空を観測できるでしょう》

     情緒あふれる解説が無機質なラジオの音に乗せて、飾り気のない部屋に響く。私は自室の窓から外を見やった。俄かに薄暗く、厚みのある雲が折り重なっていく空模様。日中には抜けるような青空の下、新宿御苑の片隅で夏の日差しを感じたばかりだというのに。この時期の天候はどうにも移り気で変わり身がはやい。
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    michiru_wr110

    DONEanzr
    夏メイ(のつもり)(少し暗い)
    2023年3月20日、お彼岸の日の話。

    あの世とこの世が最も近づくというこの日にすら、青年は父の言葉を聞くことはできない。

    ※一部捏造・モブ有
    あの世とこの世の狭間に(夏メイ) 三月二十日、月曜日。日曜日と祝日の合間、申し訳程度に設けられた平日に仕事以外の予定があるのは幸運なことかもしれない。

     朝方の電車はがらんとしていて、下りの電車であることを差し引いても明らかに人が少ない。片手に真っ黒なトートバッグ、もう片手に菊の花束を携えた青年は無人の車両に一時間程度揺られた後、ある駅名に反応した青年は重い腰を上げた。目的の場所は、最寄り駅の改札を抜けて十分ほどを歩いた先にある。
     古き良き街並みに続く商店街の道。青年は年に数回ほど、決まって喪服を身にまとってこの地を訪れる。きびきびとした足取りの青年は、漆黒の装いに反した色素の薄い髪と肌の色を持ち、夜明けの空を彷彿とさせる澄んだ瞳は真っすぐ前だけを見据えていた。青年はこの日も背筋を伸ばし、やや早足で商店街のアーケードを通り抜けていく。さび付いたシャッターを開ける人々は腰を曲げながら、訳ありげな青年をひっそりと見送るのが恒例だ。商店街の老いた住民たちは誰ひとりとして青年に声をかけないが、誰もが孫を見守るかのような、温かな視線を向けている。
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