I want to touch, and(匠メイ) 右肩にすとんと落ちた心地好い重みと、首都高を軽快に駆け抜けていく外国車の独特な振動に身を委ねる。本来ならば達成感で高揚しているはずだった私は想定とは異なる緊張感でいっぱいだ。
「珍しいこともあったものね」
ドライブレコーダー機能がついているというルームミラー越しに、八乙女さんと目が合った。彼女は揶揄うような笑みをひとつ浮かべて前方へと向き直る。
追及の視線から逃れるようにそっと、右側に意識を向けてみた。ぱりっとした格好の上長、もとい火村さんは相変わらず、すやすやと寝息を立てながら直立不動の私へともたれかかっている。
「仕事は卒なく、こなしているように見えたのですが」
「メイちゃんの前だから気が抜けちゃったのよ、きっと」
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