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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック④
    23日目
    両片思いのむざこく

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    両片思いのむざこく<説明マロ>
    両片思いのむざこく。ただし秘書は墓まで自分の気持ちを持って行くつもり。
    無惨様はわりとわかりやすく秋波を送っているのに、秘書の自己評価が低過ぎて全く届かず、アンジャッシュ難攻不落状態に陥っている。アプローチをことごとく流され、さすがの無惨様も「こいつは本気で私に興味がないのでは?」と不安になってきたときに、偶然秘書の気持ちを知る。
    無惨様が顔面偏差値の暴力を駆使し、逃げようがない状況に持ち込んで、ド直球で秘書を口説き落とす。晴れて秘書からも告白するが、その後も無惨様はキレ気味(八つ当たり気味)に口説き続ける。秘書が赤面+涙目で「わかりました。よくわかりましたから。もう許してください。」と言ってもやめない。

    ************************

     人の気も知らないで。そんな女々しい言葉を恨めしげにぼやく日が来るなど思いもしなかった。
    「なぁ、黒死牟」
    「はい」
     名前を呼んだら振り返りますよ、いちいち手なんて握らなくても。
     さらりとした冷たい手に握られる度に、動揺している自分は手汗がびっしょりで不快な思いをさせているのではないかと不安になる。なので返事をした瞬間、手を引っ込めて距離を置く。それをすると距離を詰めて来られるが、悪質な悪戯だと思って、一定距離を開けるように動き回ってしまう。
     無惨様にとって私の反応は相当面白いのだろう。だから、揶揄い甲斐があると面白がって、こちらの反応を見ているのだろう。本当、人の気も知らないで。
     出会った瞬間から好きだった。それは一目惚れに近い、いや、そう認めるべきである。
     秘書として「鬼舞辻無惨」の魅力を多く語ってきたが、そんなもの、あの驚異の顔面偏差値の前では大した話ではない。非常に申し訳ないが、自分の中で無惨様の魅力はあの容姿だった。次に声だが、どうにもこうにも顔が良すぎて、密かに心の中で「尊い」と拝んでいたのだが、こちらの胸の内を読んでいるのか、無意味に顔を近付けては、上目遣いで覗き込んでくるので心臓に悪くてたまらない。
     初めは「ご褒美有難うございます!」と認知されたファンの気分で喜んでいたが、次第にそれが苦痛に思えてきた。理由はひとつ。この感情が恋だと気付いてしまったのだ。
     恋が楽しいなんて、本当の恋を知らない人間の戯言だと思った。
     恋は互いに心通わせないと愛とは呼べず、最も情熱的だが最も不確かな感情で、その上、終わりが訪れる。
     自分が最も怖いものが「終わり」であった。恋の終焉も怖いが、この感情を無惨様に知られ、拒絶されることが最も怖いのだ。
     私は鬼舞辻無惨の優秀な秘書でいい。一生、その立場で無惨様をお支えできれば良いのだ。この気持ちは墓場まで持って行こう。そう思っているのに。
    「……人の気も知らないで……っ!」
     思わず持っていたボールペンを片手でへし折った。
     何が「ホテルの部屋、取り間違えてしまった!」だ! てへぺろの表情が可愛かったので、つい許したが、何でダブルの部屋を取っているのだ!
    「急いで取り直します」
     冷静なふりをしてホテルの空室状況を見るが、見事に周辺ホテルの含め全て満室。
     たまたま仕事が立て込んでいる時に「ホテルくらいなら私が取っておくぞ」と言ってくれた言葉に甘えた自分が馬鹿だった。
     キングサイズのベッドの前で項垂れていると、無惨様は何も気にせずベッドに寝転がっている。
    「これだけ広いと、私たちが二人並んで寝ても、全然平気だぞ?」
    「並んで寝るぅ!?」
     思わず声が裏返った。すると、上体を起こして、にっこりと笑うのだ。
    「私はお前と並んで寝て、一晩中色々語り合いたいと思っているのだが」
     その瞬間、部屋の隅まで後ずさりして逃げた。ある意味光栄だが、そんなことをされて正気を保てる自信がない。だが、断っては角が立つ。しかし、これは断ったも同然の行動だと見做され、無惨様の機嫌がみるみる悪くなる。
    「そんなに私のことが嫌いなのか?」
    「いえ、そんなつもりは……」
    「だって、そうだろう。毎回毎回、私から逃げようとして」
    「それは……」
     ベッドから下りて、こちらに近付いて来る。嫌っているわけではないと返事した手前、もう逃げられないが、その国宝級の顔を近付けないで、良い声で囁かないで、甘い香水の匂いを巻き散らさないで!
    「人の気も知らないで、そんな可愛い表情で私の傍をうろつくな」
    「……え?」
     最近の自分の口癖が無惨様の口から出てきて驚いた。
    「お前、私がお前のことが好きだって気付いてなかったのか?」
    「好き……?」
     多分、私は今、宇宙猫のような顔になっていると思う。「すき」「スキ」「SUKI」音は理解出来ても意味が理解出来ず、思考は惑星の中を漂っている。
     そうか、「好き」か。意味が理解出来た自分の口から出た言葉は何ともお粗末だった。
    「私もです」
     その瞬間、不機嫌だった無惨様の顔が一気に明るくなる。どんな宝石より光り輝いていて、網膜が焼けるかと思った。
    「へぇ、お前も私のことが好きなのか」
     しまった……!
     と思ったが、時すでに遅し。
     茹でた蛸のように自分が真っ赤になっていることは解る。なので両手で顔を隠したが、無惨様は理不尽にも「何故隠す!」とキレ散らかしてくる。
    「その可愛い顔をもっと見せろ、愛しい黒死牟よ」
    「もう、勘弁して下さい……解りましたから……」
    「いいや、まだ足りない。私はずっとお前に愛を囁いていたつもりだったのに、鈍いお前には届いていなかったようだからな」
    「いえ、そんなことは……」
     無惨様はこちらの手を優しく掴んで、唇が触れそうな距離に顔を近付けてきた。
    「私の想いを言葉以外で伝えたいのだが、覚悟は出来ているか?」
    「……はい……」
     震える声で伝えると、それ以上の言葉が紡げないように柔らかい唇が押し付けられた。
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    TRAININGむざこく30本ノック④延長戦
    7日目
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
     職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。

     そうなると納得いかないのが無惨である。
    「わざわざ公表してやったのに!」
     自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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