幸せを感じられる日 誕生日なんてものは知らなかった。
自分は気づいたら裏路地にいて、それ以前の記憶などない。だから生まれたことを祝福するなんて縁がないものだった。
だからオリアスにネフィの誕生日とそれを祝う習慣というものを聞いた時は本当に衝撃的だったがそれと同時に納得もした。
――この世にネフィが生まれたことは己にとって何より祝福すべきことだからだ。
そんな愛しい嫁を祝おうと奮闘していたら、まさか逆に自分を祝ってもらえたのだから本当に驚いた。
初めての――少なくとも自身の記憶では――誕生日祝い。それは幸せを感じられるものだった。
まあ、そんな宴の席でもゴメリ達は通常というかいつも以上にはっちゃけて〝愛で力定例会〟なるものを開催しているけれど。
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