むつひぜ障子の隙間から指す朝焼けが照らす癖のある髪は、この世の何よりも美しいと思う。
その美しい髪に触れ指先で弄んでいると、ふと腕の中から視線を感じて俯けば、眠た気に此方を見つめる顔が向いていて、目が合うと眩しげに目を細めていた。
わしはその顔に吸い込まれるように唇を寄せると、肥前は目を閉じてそれを受け入れてくれる。
触れ合った唇は温かく柔らかくて、何度もただ触れ合うだけの口付けを重ねていると、寝巻きを握られ体を押され
「なあ……」
ふいに唇を離した肥前が小さく呟き聞き返すと、一度顔を俯かせた後どこか意を決した表情と視線を真直ぐに向け恥ずかしそうに
「好きだ、」と、呟いた。
その言葉を聞いて、嬉しくて嬉しくて堪らなくなり、胸いっぱいに広がる愛しい気持ちに暴れ出したい様な、笑ってしまいそうな、擽ったくて温かい気持ちに目頭が熱くなる。
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