つなぐ繋いでくれた手がずっとあたたかくて、ぼくは何故か泣きたくなった。
心があたたかい人は手が冷たいなんて良く言うけれどそんなの嘘だって思ってる。
彼と一度サヨナラした時も、彼の形見と一緒に彼として生きると決めた日も、時空の狭間で彼に再会出来た時も、あの時の彼の手のあたたかさを思い出したり、彼の命をリアルに感じたりしてぼくは生きてこれた。
ぼくはあの時とは違う、もう守られているだけの自分じゃない。彼の背中を追って、彼を兄として………少し成長してからは恋人として見ていた頃の可愛いぼくは……もう捨てた。
と思っていたのに………。
「ありがとう…シャドー………。」
あの頃より少し歳を取り、痩せた彼が呟く。
綺麗な瞳はあの頃とは変わりなく、だがどこかあの頃よりも優しさを含んでいてぼくは少しドキッとした。
1733