俺様上司に今日も泣かされています!「はぁ……」
大きな溜息と共に壁に掛かった時計を見た。
終電はとっくに出てしまっている。来月の講演会の原稿を作り直していると結局、この時間になってしまった。
そう、講演会は来月なのだ。それなのに、どうして残業しているのだろうか。
『こんなくだらない話を私に壇上で話せと? そんなに私に恥を搔かせたいのか?』
仕上げた原稿を皆の前で投げて返された。
ぎっちりと印字された紙がスローモーションで舞い落ちる。
床に散らばったA4のコピー用紙を容赦なく踏みながら、踵の音をヒステリックに響かせながら彼は部屋を出て行った。
皆の視線が痛い。同情、哀憐、嘲弄……ネガティブな感情が原稿を拾う自分の背中に集まってくる。
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