甘いお菓子は罪の味「はぁ……やっぱり作る時間なかったなぁ」
自室でかくんと首を落としたのは他ならぬハーベスト、否、今はステージを降りたので春居か、である。人間界出身のアイドルともなれば、魔界の色々なバレンタイン番組に引っ張りだこになるのも仕方ない。実際アイドルがこの時期に自分の時間を取るなんて、土台無理な話ではあるのだが、地下アイドルをしていたころは来てくれる少しのお客さんにチョコレートを渡してお見送りするのが常だったので、なんだか物足りないものだ。
「今だったらお給料もあるから美味しいの買えたかもしれないのに……」
昨今の、というか、魔界のチョコレートの相場は知らないが、一つくらいは買えただろうと思う。でも一人で出歩くことも許されていなければ、マネージャーの目が外れることもないのだから、結局無理だったのかもしれないが。
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