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    ラギレオ

    harurubaru

    MAIKINGラギレオ小説[※何でも許せる方向け。
    [あらすじ]
    恋人が目の前で砂になった日から毎日悪夢を見るラギーが、夢を見なくなるまでの物語。
    序章、起承転結の起。ハッピーエンド。
    夢の見方はアンタが教えた

     「悪い」という判定はおおよそ何かとの比較の上で成立するものであって、単純計算で1826回以上見た悪夢というのは、もはや普通の夢と呼ぶべきではないか。
     目覚めるたびに感じる新鮮な絶望。それさえなければ、夜ごと眼裏で上演される恋人との会話劇を悪夢と名付けたりはしない。累計出演料はいかほどか。むしろ勝手に夢に住み着いたのだから、賃料くらい貰いたいものだと、あくびをした。今日もまた、色濃い不在に彩られた憂鬱な日常が幕を開ける。
     恋人が砂と消え、5年。悪夢はいまだ、覚めない。

     ──これは、ラギー・ブッチが悪夢を見なくなるまでの物語。

    1.
     休日にわざわざ目覚ましをかけ、観光客向けの豪勢なホテルで目覚めるなんて。良く晴れた空とは裏腹、大きな薄曇りの瞳を瞼で半分以上覆いながら、ため息をついた。今しがた夢で別れた恋人に、届かない一言をつぶやく。
    「今日、アンタの葬式なんスよ」

     窓枠に腰を掛け、足まで上げて行儀悪く"パレード"を睥睨する。
    「思った通り、よく見えるなぁ」
     王都の中央通りは観光客向けのホテルが立ち並んでおり、中でも中央通りに面するここは、王宮 6970