tsucikure
MAIKINGif魔フィア 闇医者×金庫番セフレから始まる関係
if魔フィア 闇医者×金庫番 けぶるような細い雨が視界を遮る。
手を伸ばせば触れられる距離なのに、君の表情も、声も、音のない霧雨に消されていく。
かすかに動いた唇が何と言ったのか、僕にはわからなかった。
ジャバジャバとうるさい水の音に目が覚める。
しめきった窓越しでもわかるほどの雨音にズキリとこめかみが痛んだ。
「ぅ、ぅんん……」
頭が重い。胃の中に残る不快感と、異様な喉の渇き。うつ伏せに寝ていたせいで余計に症状がひどくなったみたい。
酸素不足と許容量を超えたアセトアルデヒドのせいで不調を訴える体をどうにか転がすと、安物のパイプベッドはギシリと悲鳴を上げた。
昨日、彼が訪ねてきた事は覚えている。
寝返りを打った時に鼻を掠めた、僕のじゃない煙草の匂いも夢じゃなく現実だと証明している。
6058手を伸ばせば触れられる距離なのに、君の表情も、声も、音のない霧雨に消されていく。
かすかに動いた唇が何と言ったのか、僕にはわからなかった。
ジャバジャバとうるさい水の音に目が覚める。
しめきった窓越しでもわかるほどの雨音にズキリとこめかみが痛んだ。
「ぅ、ぅんん……」
頭が重い。胃の中に残る不快感と、異様な喉の渇き。うつ伏せに寝ていたせいで余計に症状がひどくなったみたい。
酸素不足と許容量を超えたアセトアルデヒドのせいで不調を訴える体をどうにか転がすと、安物のパイプベッドはギシリと悲鳴を上げた。
昨日、彼が訪ねてきた事は覚えている。
寝返りを打った時に鼻を掠めた、僕のじゃない煙草の匂いも夢じゃなく現実だと証明している。
あごだし
DONEハッピーバースデー啓護くん2024七啓のしゅけべ目前話。なので、全年齢です。
2024Happybirthday KEIGO 啓護くんは、甘いものが大好きだ。
ハロウィンのときは、海外のお菓子を食べる日だと言って、ジャック・オ・ランタンを模したオレンジ色のバケツを抱えていた。
なにか悪戯したいんだろうなというのは、長年の恋人だ。その目を見たら、察することはできた。
『Trick night or Treat night 』
耳元で囁かれた言葉は発音がよすぎて、さして英語が得意じゃない僕には、すべてを聞き取ることはできなかった。だけど、「トリック オア トリート」というハロウィンの常套文句は知っている。
『トリートで』
そういって、猫の舌という名を持つチョコレートを一枚バケツからもらい、食べたのも覚えている、
『俺のお菓子を盗ったな』
3800ハロウィンのときは、海外のお菓子を食べる日だと言って、ジャック・オ・ランタンを模したオレンジ色のバケツを抱えていた。
なにか悪戯したいんだろうなというのは、長年の恋人だ。その目を見たら、察することはできた。
『Trick night or Treat night 』
耳元で囁かれた言葉は発音がよすぎて、さして英語が得意じゃない僕には、すべてを聞き取ることはできなかった。だけど、「トリック オア トリート」というハロウィンの常套文句は知っている。
『トリートで』
そういって、猫の舌という名を持つチョコレートを一枚バケツからもらい、食べたのも覚えている、
『俺のお菓子を盗ったな』
tsucikure
DONEエゴ誕おめでとうございます!!かいそさんと共同お誕生日おめでとう企画!!!
たまには乗ってみてもいい 2月14日はナベリウス・カルエゴの誕生日だ。
祝日でもなんでもないこの日はカルエゴやナベリウス家の悪魔、腐れ縁と苦手な先輩ぐらいにしか意味がない。
だというのに。
「くだらない」
街にあふれたピンク色の装飾と甘い香りにカルエゴは眉をしかめた。
なんでもない、穏やかな日常が特別扱いされるのは、バレンタインデーなるイベントのせいだ。
買出しに寄ったマジカル・ストリートはチョコレートや花束、小洒落たアクセサリーの煌めきでいつにも増してカラフルだ。
「すっかり定着したよね、バレンタイン」
隣を歩いていたバラムは、賑わう露店をきょろきょろと見回している。
あっ、と小さく声をあげるとノシノシと足早にショーケースに近づいて、ニコニコと手招きをした。
2718祝日でもなんでもないこの日はカルエゴやナベリウス家の悪魔、腐れ縁と苦手な先輩ぐらいにしか意味がない。
だというのに。
「くだらない」
街にあふれたピンク色の装飾と甘い香りにカルエゴは眉をしかめた。
なんでもない、穏やかな日常が特別扱いされるのは、バレンタインデーなるイベントのせいだ。
買出しに寄ったマジカル・ストリートはチョコレートや花束、小洒落たアクセサリーの煌めきでいつにも増してカラフルだ。
「すっかり定着したよね、バレンタイン」
隣を歩いていたバラムは、賑わう露店をきょろきょろと見回している。
あっ、と小さく声をあげるとノシノシと足早にショーケースに近づいて、ニコニコと手招きをした。
tsucikure
SPUR MEパスワードはお品書きに記載あります。8/27悪魔学校にて発行予定の新刊準備号です。
出せますように…!!
二人はどこまでも友人だと思っているけど、周りからは見えていない。 8168
touka10477
MOURNINGふと思ったお話。アメリちゃんがアンリさんから聞いて知ってたように
🍲も実は昔から人間界や人間の存在を空想では無いって知っていたらどうしようと。
🌹が嬉々として語る度に居るって言ってあげたくなるのに言えなくて。
ただ苦しくて辛い時間を過ごしていたとしたらどうしようと……
🌹🍲未満
知るモノ「ねぇカルエゴくん知ってる?」
散る事の無い花を見上げながらバラムは僅か後ろに居るカルエゴを振り返る。
「人間界の花はほんの数日咲き誇って散ってしまうんだって」
「数日だけ?」
「うん。儚いよね」
どこか寂しげに笑ったバラムに、カルエゴはそんな短い時間しか咲かないものに想いを馳せる意味が解らんと息をついた。
「でも……儚いからこそ綺麗なのかもしれないね」
そう微笑んだバラムにカルエゴは口を出ようとした言葉を飲み込んだ。
「いつか見てみたいな」
「……見られるといいな」
お前の望んでいる物はあると伝えてやりたいと思えど、口にすることは許されていなかった。バラムの探求心も願望も知っている。しかし一族が知っている事実は口に出来なかった。
508散る事の無い花を見上げながらバラムは僅か後ろに居るカルエゴを振り返る。
「人間界の花はほんの数日咲き誇って散ってしまうんだって」
「数日だけ?」
「うん。儚いよね」
どこか寂しげに笑ったバラムに、カルエゴはそんな短い時間しか咲かないものに想いを馳せる意味が解らんと息をついた。
「でも……儚いからこそ綺麗なのかもしれないね」
そう微笑んだバラムにカルエゴは口を出ようとした言葉を飲み込んだ。
「いつか見てみたいな」
「……見られるといいな」
お前の望んでいる物はあると伝えてやりたいと思えど、口にすることは許されていなかった。バラムの探求心も願望も知っている。しかし一族が知っている事実は口に出来なかった。
96910iiy
PROGRESS8/5シチカルオンリーで全文公開したいです。前半のみ
シチカルが大人になってから出会う、if設定です。
アンフィスバエナの罠(前編)「もしも、また世界を見ることが叶うなら、できるだけたくさん美しいものを見たい。今度こそ忘れないように」
その言葉を聞いて、僕は思わず自分の頬を撫でた。
肉がえぐれ、凶暴な牙が剥き出しになった、美しさと対極にある頬を。
彼が訪ねてきたのは数か月前、突然のことだった。
「僕には何もできません。ごめんなさい」
そう言って僕は深く頭を下げてから、この行動が彼には分からないのだと気づいて、もう一度「ごめんなさい」と言葉にして伝えた。行動だけではなく言葉で。
深い森の奥に一人で暮らす僕。ここまで来てくれた訪問者をこんなふうに追い返すのはとても冷たいと思う。実際、彼の黒い瞳は一瞬波打ったように揺らめいて見えた。
5853その言葉を聞いて、僕は思わず自分の頬を撫でた。
肉がえぐれ、凶暴な牙が剥き出しになった、美しさと対極にある頬を。
彼が訪ねてきたのは数か月前、突然のことだった。
「僕には何もできません。ごめんなさい」
そう言って僕は深く頭を下げてから、この行動が彼には分からないのだと気づいて、もう一度「ごめんなさい」と言葉にして伝えた。行動だけではなく言葉で。
深い森の奥に一人で暮らす僕。ここまで来てくれた訪問者をこんなふうに追い返すのはとても冷たいと思う。実際、彼の黒い瞳は一瞬波打ったように揺らめいて見えた。
あごだし
DONE七朗×啓護 ほのぼのSS練〇区にある美術館がモデルですが、私は練〇区に行ったこともこともありません。
「この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。」
を、めっちゃ強調しておきます。
美術館を歩く 夏至は過ぎたが、夏の本番はこれからだ。夕の入り口だと、まだまだ空は明るい。最寄りの駅から目的地である美術館は、徒歩3分だと書いてあった。俺と七朗の足であれば、そう乖離があるはずはない。だが、この暑さだ。体感では、もう10分以上歩いているように思える。
顎を伝う汗を、ハンカチで拭った。ハンディーファンで顎下を煽るが、その風の生ぬるさが怨めしい。横を見上げると、灰色のフードを汗で濃い灰色に変色させた七朗が、真っ直ぐと目を輝かせていた。
宝箱を目指す探検家の目だ。
そこまで楽しみにしてくれるなら、誘い甲斐もあったというものだ。たかだか一枚千円のチケットだが、俺から奢られることを嫌がる彼のために、ツテを頼って招待券を手に入れてよかった。今度、古村に寿司でも奢ってやるか。
4127顎を伝う汗を、ハンカチで拭った。ハンディーファンで顎下を煽るが、その風の生ぬるさが怨めしい。横を見上げると、灰色のフードを汗で濃い灰色に変色させた七朗が、真っ直ぐと目を輝かせていた。
宝箱を目指す探検家の目だ。
そこまで楽しみにしてくれるなら、誘い甲斐もあったというものだ。たかだか一枚千円のチケットだが、俺から奢られることを嫌がる彼のために、ツテを頼って招待券を手に入れてよかった。今度、古村に寿司でも奢ってやるか。
まめおす
DONEシチ誕小説アディショナルタイム 辺りは闇。
「遅い」
「これでも、飛ばして来たんだけど」
カルエゴ邸に息を切らしたシチロウが飛び込んできたのは、夜も更けた正子を過ぎた刻のことである。
「予定では昨日だったはずだが」
「ごめん、急ぎの件が入っちゃって」
「連絡も寄越せない程急ぎだったようだな」
まずい。予想以上に怒っている。
カルエゴの深夜らしい静かな口調は、台詞以上の怒気を孕んでいることにシチロウは気づいていた。
「本当にごめんなさい…」
「お前が主役の日は終わった。だから今日は俺の好きにさせてもらう」
「どこ行くの?」
「寝るんだ馬鹿、何時だと思ってる」
日付が変わった今、お前は用済みだとでも言われた気がしてシチロウはしょんもりと耳を垂れた。
昨日はバラム・シチロウの誕生日であった。
2185「遅い」
「これでも、飛ばして来たんだけど」
カルエゴ邸に息を切らしたシチロウが飛び込んできたのは、夜も更けた正子を過ぎた刻のことである。
「予定では昨日だったはずだが」
「ごめん、急ぎの件が入っちゃって」
「連絡も寄越せない程急ぎだったようだな」
まずい。予想以上に怒っている。
カルエゴの深夜らしい静かな口調は、台詞以上の怒気を孕んでいることにシチロウは気づいていた。
「本当にごめんなさい…」
「お前が主役の日は終わった。だから今日は俺の好きにさせてもらう」
「どこ行くの?」
「寝るんだ馬鹿、何時だと思ってる」
日付が変わった今、お前は用済みだとでも言われた気がしてシチロウはしょんもりと耳を垂れた。
昨日はバラム・シチロウの誕生日であった。
touka10477
DOODLE🍲の牙がお気に入りの🌹がただ🍲の口の中を触ってチューして唾液飲むだけ←この出来事から口内性感帯に開発されてキスイキ覚えちゃえば良いんだよ?(付き合ってない)
触れるまでの一秒すら惜しい食堂で食事をとっている最中、カルエゴの口元をバラムはじっと見つめていた。反れる事の無い視線に堪えきれなくなったのか、カルエゴは食事を摂る手を止める。
「何か言いたい事あるのか?」
「え?」
「さっきから見すぎだろ。何だ」
「えっと……後で話しても良い?」
言い辛そうに視線を反らしたバラムに、カルエゴは解ったと頷いた。
食事を終え校舎裏の生徒があまり入り込まない木の下に腰を下ろしカルエゴはで?と前触れ無く理由を訊ねる。
「あーえっと……カルエゴくんの牙綺麗だなぁって」
「牙?」
首を傾げたカルエゴにバラムはこくこくと何度も頷く。
「もっと見てみたいんだけど……ダメ?」
「見るって……や、良いけど」
「ほんと?じゃあ口開けて?」
1073「何か言いたい事あるのか?」
「え?」
「さっきから見すぎだろ。何だ」
「えっと……後で話しても良い?」
言い辛そうに視線を反らしたバラムに、カルエゴは解ったと頷いた。
食事を終え校舎裏の生徒があまり入り込まない木の下に腰を下ろしカルエゴはで?と前触れ無く理由を訊ねる。
「あーえっと……カルエゴくんの牙綺麗だなぁって」
「牙?」
首を傾げたカルエゴにバラムはこくこくと何度も頷く。
「もっと見てみたいんだけど……ダメ?」
「見るって……や、良いけど」
「ほんと?じゃあ口開けて?」