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MOURNING日常推理モノが書きたいと頑張ったけど、面白くないのでここで供養「呪いって信じるか?」
深夜午前二時。明かりを消して怪談話をするにはもってこいの時間だが、同じベッドに眠る刑部は興味の欠片もないようで欠伸をしている。桐ケ谷だって別段、怖い話をしようと考えたわけではない。ただ単に、ふと思い出しただけだ。
「お前の口からそんな単語が出てくるなんてね。どうした、夜中のトイレに行くのが怖くなったか」
「そんなんじゃねぇよ。ただこないだ大学の先輩に変なこと言われてさ」
興味を持ったのか、枕に預けていた頭を腕に乗せてこちらを見てきた。
「詳しく話してみろ」
まだサブスクにも上がっていない話題の映画があった。興行収入何百億だかで、大学でも見に行ったと話題で持ちきりだった。あいにく桐ケ谷は見てなかったが、同じ学部の先輩が興味あるならDVDを貸してくれると言う。その先輩は二年に上がってから同じキャンパスで通う内に仲良くなり、来年は大学院に進むらしい。スタオケの練習と授業の兼ね合いが難しく、提出物に困っていると声をかけてくれたり、過去テストの情報をくれたりと工業部では珍しい部類の穏やかで気配りができる人で世話になっている。そんな先輩から、興味があるならと借りることができた。家に帰り早速観ようとパッケージを開けると、中は何の印字もされていないDVDが一枚。普通はタイトルが印刷されているのにおかしいなと思いつつデッキに入れようとしたところで、その先輩から電話がかかってきた。
2883深夜午前二時。明かりを消して怪談話をするにはもってこいの時間だが、同じベッドに眠る刑部は興味の欠片もないようで欠伸をしている。桐ケ谷だって別段、怖い話をしようと考えたわけではない。ただ単に、ふと思い出しただけだ。
「お前の口からそんな単語が出てくるなんてね。どうした、夜中のトイレに行くのが怖くなったか」
「そんなんじゃねぇよ。ただこないだ大学の先輩に変なこと言われてさ」
興味を持ったのか、枕に預けていた頭を腕に乗せてこちらを見てきた。
「詳しく話してみろ」
まだサブスクにも上がっていない話題の映画があった。興行収入何百億だかで、大学でも見に行ったと話題で持ちきりだった。あいにく桐ケ谷は見てなかったが、同じ学部の先輩が興味あるならDVDを貸してくれると言う。その先輩は二年に上がってから同じキャンパスで通う内に仲良くなり、来年は大学院に進むらしい。スタオケの練習と授業の兼ね合いが難しく、提出物に困っていると声をかけてくれたり、過去テストの情報をくれたりと工業部では珍しい部類の穏やかで気配りができる人で世話になっている。そんな先輩から、興味があるならと借りることができた。家に帰り早速観ようとパッケージを開けると、中は何の印字もされていないDVDが一枚。普通はタイトルが印刷されているのにおかしいなと思いつつデッキに入れようとしたところで、その先輩から電話がかかってきた。
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DOODLE前に書いた蓄光ゴムの続きのようなもの。短いらくがき
「三日月藻」
「みかづきも?」
刑部が口にした単語を、そのまま復唱する。三日月藻。確かアレだ、昔理科の授業で習った。あと古い映画で観た気がする。カタツムリのなんちゃらで人を操るホラー映画。
「パラサイド・イブだな。あとそれに出てくるのはミトコンドリアだ」
そう、それ。それを見てから暫くは、カタツムリを捕食する鳥を見て背筋が凍えた。
「で、その三日月藻がどうしたんだよ」
今、この時にする話だろうか。小休止となったが自分たちは今まさに裸で抱き合い、いざ挿入となっていたはずだ。それが寸止めされて荒かった息も整ってきた。訝しんで見上げると、刑部の視線は桐ケ谷の股間を向いている。釣られて見ると、自分の猛りたったものが緑色に発光している。前に貰った、蓄光ゴムだ。使用期限が近いので最近はよく使っている。
782「みかづきも?」
刑部が口にした単語を、そのまま復唱する。三日月藻。確かアレだ、昔理科の授業で習った。あと古い映画で観た気がする。カタツムリのなんちゃらで人を操るホラー映画。
「パラサイド・イブだな。あとそれに出てくるのはミトコンドリアだ」
そう、それ。それを見てから暫くは、カタツムリを捕食する鳥を見て背筋が凍えた。
「で、その三日月藻がどうしたんだよ」
今、この時にする話だろうか。小休止となったが自分たちは今まさに裸で抱き合い、いざ挿入となっていたはずだ。それが寸止めされて荒かった息も整ってきた。訝しんで見上げると、刑部の視線は桐ケ谷の股間を向いている。釣られて見ると、自分の猛りたったものが緑色に発光している。前に貰った、蓄光ゴムだ。使用期限が近いので最近はよく使っている。
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SPUR ME去年に書いたけど、放置してる話続き書きたい気もするので、尻を叩いてくれ
Loop1巡目
晴れた日の、高校の卒業式。
「桐ケ谷さん、マジ卒業するんっスね!」
「バカ、泣いてんじゃねぇよ」
ヤスやウロボロスのメンバーが涙を流しながら、おめでとうございますと祝ってくれる。それを笑いながら受け取って三年間通った校舎を、慕ってくれた後輩を、肩を並べた同輩に手を振り後にする。
これからの常工に心配がないと言えば嘘になるが、ヤスや生徒会の連中が上手くやっていくだろう。
心残りがあるとすれば、一つだけ。
もう会わないであろう後ろ姿を思い起こして、頭を振る。この道筋は、あらかじめ分かっていたことだ。お互い納得して、事を始めたのだから。
寂しくはないさと心の中で呟いて、それでも見納めに振り返って校舎を見上げる。いつものように嫌味にとっつきかかってくる姿が見えないのに安堵して、期待して、諦めて。
9231晴れた日の、高校の卒業式。
「桐ケ谷さん、マジ卒業するんっスね!」
「バカ、泣いてんじゃねぇよ」
ヤスやウロボロスのメンバーが涙を流しながら、おめでとうございますと祝ってくれる。それを笑いながら受け取って三年間通った校舎を、慕ってくれた後輩を、肩を並べた同輩に手を振り後にする。
これからの常工に心配がないと言えば嘘になるが、ヤスや生徒会の連中が上手くやっていくだろう。
心残りがあるとすれば、一つだけ。
もう会わないであろう後ろ姿を思い起こして、頭を振る。この道筋は、あらかじめ分かっていたことだ。お互い納得して、事を始めたのだから。
寂しくはないさと心の中で呟いて、それでも見納めに振り返って校舎を見上げる。いつものように嫌味にとっつきかかってくる姿が見えないのに安堵して、期待して、諦めて。
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DOODLE以前書いた花を贈る話の花屋のお話花屋は季節に敏感だ。
各シーズンを更に細かく分け、都度一番盛りの花を用意しなければならない。細かく、それでいて重労働だが、それでも楽しいのは花が好きだからだ。そんな花を、色々なお客様が買っていかれる。
プレゼント、返礼、謝罪、サプライズ等様々だが、大体にしてそうそう定期的に購入されていかれるお客様はあまりいない。
だが珍しく、月に二、三度訪れては必ず花を買われていくお客様がいる。
例えるなら、ヌルデの花。その人は男性の私から見ても目を惹くような容貌をしており、知的な眼鏡越しにお勧めの花を聞かれるとついつい余計なお喋りをしてしまう。だが彼は嫌そうに顔色一つ変えずに、花の由来や花言葉の意味を尋ねて吟味を重ねる。購入する花は幸せな意味が多いから、きっと家族や恋人に贈るのだろう。
1336各シーズンを更に細かく分け、都度一番盛りの花を用意しなければならない。細かく、それでいて重労働だが、それでも楽しいのは花が好きだからだ。そんな花を、色々なお客様が買っていかれる。
プレゼント、返礼、謝罪、サプライズ等様々だが、大体にしてそうそう定期的に購入されていかれるお客様はあまりいない。
だが珍しく、月に二、三度訪れては必ず花を買われていくお客様がいる。
例えるなら、ヌルデの花。その人は男性の私から見ても目を惹くような容貌をしており、知的な眼鏡越しにお勧めの花を聞かれるとついつい余計なお喋りをしてしまう。だが彼は嫌そうに顔色一つ変えずに、花の由来や花言葉の意味を尋ねて吟味を重ねる。購入する花は幸せな意味が多いから、きっと家族や恋人に贈るのだろう。
asaki
MOURNING★かるーい気持ちでお読みください。ヤマもオチもないです★笹仁の仁科と、刑桐の桐ケ谷のあけすけトークが聞こえてしまって気まずい拓蒼の三上の話
三上はまだ〝セッ〇ス〟という単語を心の中でも発するのが恥ずかしいので回りくどい言い方をしています。
隠す気がない内緒話は他所でやってください! 天気予報では来週から寒波が襲来し、気温が十度ほど下がると伝えている。
「寒波の初日、日本海側は雪が降り、太平洋側は冷たい雨が降ります。急激な寒さで風邪をひかないようしっかりと対策してくださいね」
お天気お姉さんはそう締めくくった。
日中は日差しが強く、コートなども不要の日々を過ごしているのでイマイチ実感が沸かない。
「寒くなるんですねぇ。じゃぁ、みんなで最後に秋の味覚バーベキューしましょう!」
朝日奈がそう言うのには理由がある。
先日スターライトオーケストラがコンサートを行った際に、主催者側からたくさんの野菜をもらったのだ。産地直送の瑞々しいそれらを日々消化してはいるものの、すべてを食べきるには至っていない。そろそろ葉物もしなび始めており、早く食べないと食材を無駄にしてしまうことになる。
3972「寒波の初日、日本海側は雪が降り、太平洋側は冷たい雨が降ります。急激な寒さで風邪をひかないようしっかりと対策してくださいね」
お天気お姉さんはそう締めくくった。
日中は日差しが強く、コートなども不要の日々を過ごしているのでイマイチ実感が沸かない。
「寒くなるんですねぇ。じゃぁ、みんなで最後に秋の味覚バーベキューしましょう!」
朝日奈がそう言うのには理由がある。
先日スターライトオーケストラがコンサートを行った際に、主催者側からたくさんの野菜をもらったのだ。産地直送の瑞々しいそれらを日々消化してはいるものの、すべてを食べきるには至っていない。そろそろ葉物もしなび始めており、早く食べないと食材を無駄にしてしまうことになる。
azukibar36
DOODLE刑桐桐ヶ谷くんは年相応に興味があって使ってみたいけど、刑部さんは興味がなくはないけどおもちゃで喘いでる桐ヶ谷くん想像したらなんか腹が立ったので使いたくない。
未使用おもちゃはたまたまいた三上くんにあげた。 3
asaki
PAST2022.12.18[星々が紡ぐ旋律2]にて展示していた作品。卒業式後、気持ちに見て見ぬふりをする桐ケ谷と落ちてくるのを待つ刑部の話
※多分、今後続きます。
【刑桐】Irresistibile/春 すうすうと無防備に寝息を立てる男の姿を、初めて見たかもしれない。
二人掛けのソファに窮屈そうに脚を投げ出し、胸元には読みかけの参考書らしきものが伏せられている。
ベランダの窓は開け放たれ、生成りのシアーカーテンが揺れるたびに影が揺らめく。甘い匂いを乗せた風がはらりはらりと桜を誘い込んでくるのか、室内に桜の花弁が散っていた。
(絵になる男――)
まるで映画かドラマのワンシーンのようで、桐ケ谷は思わず舌打ちしたくなった。
高校を卒業したら進路は分かたれる。今までのようにつるんではいられない。
地元の専門学校に進んだ桐ケ谷と、都内の大学に進学した刑部――どうしたって、共有する時間は減る。中学と高校時代、小学校の時よりも一緒にいた時間は少なかったが濃度が違った。ぎゅっと凝縮されていて、いつでも桐ケ谷の後ろには刑部がいるような気がしていた。事実、スターライトオーケストラとして活動している間は刑部とほぼ一緒にいたと言っても過言ではない。菩提樹寮へ通う際も、一緒にツーリングしているような気になった。
4975二人掛けのソファに窮屈そうに脚を投げ出し、胸元には読みかけの参考書らしきものが伏せられている。
ベランダの窓は開け放たれ、生成りのシアーカーテンが揺れるたびに影が揺らめく。甘い匂いを乗せた風がはらりはらりと桜を誘い込んでくるのか、室内に桜の花弁が散っていた。
(絵になる男――)
まるで映画かドラマのワンシーンのようで、桐ケ谷は思わず舌打ちしたくなった。
高校を卒業したら進路は分かたれる。今までのようにつるんではいられない。
地元の専門学校に進んだ桐ケ谷と、都内の大学に進学した刑部――どうしたって、共有する時間は減る。中学と高校時代、小学校の時よりも一緒にいた時間は少なかったが濃度が違った。ぎゅっと凝縮されていて、いつでも桐ケ谷の後ろには刑部がいるような気がしていた。事実、スターライトオーケストラとして活動している間は刑部とほぼ一緒にいたと言っても過言ではない。菩提樹寮へ通う際も、一緒にツーリングしているような気になった。
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TRAINING🐇の後日談。ほんの仕返しのつもりだった。
先日着用するようにねだられたバニー服。
あんなものを用意する桐ケ谷の気が知れないし、刑部に着せようとするのも理解し難い。
結局着ずに突き返したので、どうなったのかは知らない。ただ、やられっぱなしは面白くない。
どうせなら桐ケ谷も驚くような仕返しをしてやろうと、似たような服を用意した。
見た瞬間顔を顰める桐ケ谷を見られれば溜飲は下がったのに、どうしてこうなったのだろう。
「どうよ」
我が姿を見ろとばかりに仁王立ちしている桐ケ谷を視界に入れて、刑部は絶句した。
所謂逆バニー服と呼ばれるそれは、長い手足を黒く光沢のある布で纏ってはいるが、大事な部分が隠せていない。辛うじて尻は覆われているが、背中と、なにより鎖骨から股下まで全開となっている。
876先日着用するようにねだられたバニー服。
あんなものを用意する桐ケ谷の気が知れないし、刑部に着せようとするのも理解し難い。
結局着ずに突き返したので、どうなったのかは知らない。ただ、やられっぱなしは面白くない。
どうせなら桐ケ谷も驚くような仕返しをしてやろうと、似たような服を用意した。
見た瞬間顔を顰める桐ケ谷を見られれば溜飲は下がったのに、どうしてこうなったのだろう。
「どうよ」
我が姿を見ろとばかりに仁王立ちしている桐ケ谷を視界に入れて、刑部は絶句した。
所謂逆バニー服と呼ばれるそれは、長い手足を黒く光沢のある布で纏ってはいるが、大事な部分が隠せていない。辛うじて尻は覆われているが、背中と、なにより鎖骨から股下まで全開となっている。
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TRAINING以前呟いた刑桐離島で暮らすの簡易版。ここから色々継ぎ足していく…予定。
桐ケ谷と刑部が三十路を過ぎる頃、とある離島の古民家を安く購入した。もう誰も住んでいないそこは朽ち果てる一歩手前だったが、休みの日に訪れては少しずつ改築をしていき心地の良い住まいとなった。
そしてある日、それまで積み重ねてきた全てを捨てて、二人でやってきた。
ここから一緒に、新しい暮らしを始めるために。
「斉士ー、先行ってるぞー」
サンダルを引っ掛け、桐ケ谷はサーフボードを片手に坂を下る。
家の前の坂の下には、蒼い海が煌めいている。雲もなく風が吹いている。
こんな日は良い波が立つ。
砂浜には時折訪れる観光客の他には、犬を散歩させている影しか見当たらない。プライベートビーチさながらの様相に、桐ケ谷の頬が緩む。
さっそく柔軟体操をして、裸足になり海に飛び込む。暖かい日差しに比べて、冷たい海水が気持ちいい。
1138そしてある日、それまで積み重ねてきた全てを捨てて、二人でやってきた。
ここから一緒に、新しい暮らしを始めるために。
「斉士ー、先行ってるぞー」
サンダルを引っ掛け、桐ケ谷はサーフボードを片手に坂を下る。
家の前の坂の下には、蒼い海が煌めいている。雲もなく風が吹いている。
こんな日は良い波が立つ。
砂浜には時折訪れる観光客の他には、犬を散歩させている影しか見当たらない。プライベートビーチさながらの様相に、桐ケ谷の頬が緩む。
さっそく柔軟体操をして、裸足になり海に飛び込む。暖かい日差しに比べて、冷たい海水が気持ちいい。
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MOURNING🌌イベ後日談。甘くならない。刑の幸せを考えると桐がいることに帰結するんだけど、桐はもっといっぱいの幸せを刑に掴んでほしいから二人の着地点はずれる。
話の着地点もどっかいった。
「で、何があったんだ?」
祭りを終えて寮に戻り、汗を流してさっぱりしたところを刑部に捕まった。
「んー、聞いても多分信じないと思うぜ」
星の中を列車で走った美しさは伝えたいが、話が突飛すぎる。さすがに言い淀むと、インド体験、と口にしてきた。
あれも三上の夢に入るという不思議な体験だった。そうすると、受け入れる土台は出来ているのかもしれない。
「なぁ刑部、お前逆上がりっていつできた?」
だったら少し懐かしい思い出を、聞いてもらうとしよう。
「…ってことがあってさ」
時間にするとあっという間だった、それでも懐かしくて大切な思い出に触れて、センチメンタルな気分になったのかもしれない。隣に座る刑部の肩に、額を乗せる。そっと髪を撫でてくる感触に、笑みがこぼれた。
885祭りを終えて寮に戻り、汗を流してさっぱりしたところを刑部に捕まった。
「んー、聞いても多分信じないと思うぜ」
星の中を列車で走った美しさは伝えたいが、話が突飛すぎる。さすがに言い淀むと、インド体験、と口にしてきた。
あれも三上の夢に入るという不思議な体験だった。そうすると、受け入れる土台は出来ているのかもしれない。
「なぁ刑部、お前逆上がりっていつできた?」
だったら少し懐かしい思い出を、聞いてもらうとしよう。
「…ってことがあってさ」
時間にするとあっという間だった、それでも懐かしくて大切な思い出に触れて、センチメンタルな気分になったのかもしれない。隣に座る刑部の肩に、額を乗せる。そっと髪を撫でてくる感触に、笑みがこぼれた。
ukiistok
DONE高2の時の刑桐幻覚。刑部さんが旧スタオケに加入して横浜へ通うことで桐ケ谷くんと会う時間が減ってそうだな。たまに会えたときは甘い時間を過ごしていたらいいなという妄想。寛容にご覧ください。ブランク――桐ケ谷?全く、久しぶりに学校へ来たかと思えばこれか。
名前を呼ぶ声と、嫌味たらしい小言が不思議と懐かしい。机に伏したまま、桐ケ谷は近づく足音に耳を澄ませた。
こいつと二人だけの時間というのは久しぶりな気がした。別に喧嘩をしたわけでもないし、疎遠になったわけでもない。ただ、お互いそれなりに多忙だったのだろう。
特に刑部は、生徒会や家の事で駆り出されているにも関わらず、近頃は横浜まで足繁く通っていた。刑部にスターライトオーケストラという学生オケから声がかかったのはこの春のことだ。学校経由での誘いだったこともあり、優等生の面を被る刑部は断れなかったのだろう。「せいぜい楽しんでくるさ」と自嘲気味に笑う横顔を見た夜から三ヶ月ほどが経つ。そのオケは界隈でも名が知られていて、週末などはホールで演奏会なども行っているそうだ。どこにそんな時間があるのか全く理解できないが、忙しくしている方が性に合っているのだろう。
1857名前を呼ぶ声と、嫌味たらしい小言が不思議と懐かしい。机に伏したまま、桐ケ谷は近づく足音に耳を澄ませた。
こいつと二人だけの時間というのは久しぶりな気がした。別に喧嘩をしたわけでもないし、疎遠になったわけでもない。ただ、お互いそれなりに多忙だったのだろう。
特に刑部は、生徒会や家の事で駆り出されているにも関わらず、近頃は横浜まで足繁く通っていた。刑部にスターライトオーケストラという学生オケから声がかかったのはこの春のことだ。学校経由での誘いだったこともあり、優等生の面を被る刑部は断れなかったのだろう。「せいぜい楽しんでくるさ」と自嘲気味に笑う横顔を見た夜から三ヶ月ほどが経つ。そのオケは界隈でも名が知られていて、週末などはホールで演奏会なども行っているそうだ。どこにそんな時間があるのか全く理解できないが、忙しくしている方が性に合っているのだろう。
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INFO【追記】クロスワード、横⑨の回答、マスは4マスになっているんですが、正しくは3文字です。
大変申し訳ありません〜!
☆☆☆
しょーもないクロスワードになります。笑
ゲームをプレイしていればほぼ頭を使わずに解ける内容になっています。
解けたキーワードを入力すると、おまけ程度の一枚絵が見れるようになっています~。
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DONE中学生な刑桐。これは中学時代に既にできてる世界線。
夏になると、校舎脇のプールに水が張られる。体育の授業に入る機会しかないそれは、日差しを浴びてゆらゆらと煌めいている。刑部からしてみれば風呂とは違う、泳ぐための施設と教えられても、何が楽しいのか今一つ理解できなかった。
海も市民プールも、カタギの人を驚かせてはいけないからと山浦や祖父から行けないのだと昔から教えられていた。
たがら余計に、自分とは縁のないものと思っていたのかもしれない。
「晃、本当に行くのか?」
夏とはいえど、八時も過ぎれば夜の帳が降りてくる。その暗闇に便乗して、桐ケ谷とともに夜の学校に潜入した。
「当たり前だろ。なんだよ、怖気ついたのか」
「そんなことないさ。先生に見つかったら、俺は桐ケ谷を止めに来たと言うからね」
2506海も市民プールも、カタギの人を驚かせてはいけないからと山浦や祖父から行けないのだと昔から教えられていた。
たがら余計に、自分とは縁のないものと思っていたのかもしれない。
「晃、本当に行くのか?」
夏とはいえど、八時も過ぎれば夜の帳が降りてくる。その暗闇に便乗して、桐ケ谷とともに夜の学校に潜入した。
「当たり前だろ。なんだよ、怖気ついたのか」
「そんなことないさ。先生に見つかったら、俺は桐ケ谷を止めに来たと言うからね」
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CAN’T MAKE夜明けと海のその後。煙草とキスの話。オチは知らぬ。
「待たせたな」
店を閉めて、外で待ってた刑部に声をかける。昼間は汗をかく陽気でも、零時を過ぎればさすがに空気が冷たい。
今日は週に一度、刑部が来る日だからバイクでは来ず、このままどちらかの部屋に行く予定だ。
「いや…」
言葉を濁した刑部が、直前まで見ていたスマートフォンの画面を切った。画面の光に照らされていた煙草の煙が、途端に姿を消した。
「んだよ、よくない知らせか」
「晃は知らなくていいことだよ」
咥えていた煙草の灰を落としながら、刑部が笑顔で蓋をする。それに少しばかりカチンときて、つい棘のある言葉がでる。
「そーかよ。急ぎの用なら別に、今日来なくても良かったんだぞ」
心とは正反対の声が出るか止まらない。刑部はそんな桐ケ谷を見つめると、煙草を吸って煙を顔面に吹きかけてきた。
1037店を閉めて、外で待ってた刑部に声をかける。昼間は汗をかく陽気でも、零時を過ぎればさすがに空気が冷たい。
今日は週に一度、刑部が来る日だからバイクでは来ず、このままどちらかの部屋に行く予定だ。
「いや…」
言葉を濁した刑部が、直前まで見ていたスマートフォンの画面を切った。画面の光に照らされていた煙草の煙が、途端に姿を消した。
「んだよ、よくない知らせか」
「晃は知らなくていいことだよ」
咥えていた煙草の灰を落としながら、刑部が笑顔で蓋をする。それに少しばかりカチンときて、つい棘のある言葉がでる。
「そーかよ。急ぎの用なら別に、今日来なくても良かったんだぞ」
心とは正反対の声が出るか止まらない。刑部はそんな桐ケ谷を見つめると、煙草を吸って煙を顔面に吹きかけてきた。
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TRAINING中学生刑桐。ヒサイシジョウさんのsummerを聞いてたら、夏のセンチメルタルな話を書きたくなった。
多分桐の片思い。
青い夏刑部が漕ぐ自転車の荷台に乗って、空を仰ぐ。
ウロボロスのステージに上がって演奏させて貰えるようになったのは、ついこの間。夏休みにも時間をもらって演奏している。
それでもなんだか吹きたりなくて、二人で近くの河原を目指す。
夏の昼時なんて、暑くて誰も出たがらない。
陽炎が揺れるアスファルトに影を映すのは、俺と刑部と、遠くに流れる雲だけ。人っ子一人いなくて、この暑さならそれもそうかと納得する。
頸に張り付く髪に汗が伝う。前を向いて漕ぐ刑部の背中も、シャツが汗で張り付いている。
後輪の軸に引っかけていた足が弾みで落ち、踵を潰した靴が脱げそうになった。
一瞬、五月蝿かった蝉の声が途絶えた。
通りには誰もいない。
静かで、どこか異質めいている。
529ウロボロスのステージに上がって演奏させて貰えるようになったのは、ついこの間。夏休みにも時間をもらって演奏している。
それでもなんだか吹きたりなくて、二人で近くの河原を目指す。
夏の昼時なんて、暑くて誰も出たがらない。
陽炎が揺れるアスファルトに影を映すのは、俺と刑部と、遠くに流れる雲だけ。人っ子一人いなくて、この暑さならそれもそうかと納得する。
頸に張り付く髪に汗が伝う。前を向いて漕ぐ刑部の背中も、シャツが汗で張り付いている。
後輪の軸に引っかけていた足が弾みで落ち、踵を潰した靴が脱げそうになった。
一瞬、五月蝿かった蝉の声が途絶えた。
通りには誰もいない。
静かで、どこか異質めいている。
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MOURNING56の日ネタエロを書こうと思って本番までいきつかなかった。
そんな光景、エイリアン映画で見た。ベッドに座る二人の間には、ビニールに包まれた掌ほどの箱がある。表面には、軽妙し難いキャラクターが描かれている。
それを刑部はさっきからじっと見つめている。読みたくはないが、目に入る文字は“光る”とある。なにが光るって、ナニがだ。
「………晃」
「んだよ」
重々しい呼びかけに桐ケ谷は飄々としている。この箱を出した時からそうだった。
「色々言いたいことがあるが、まずこれはどこで手に入れた」
「ヤス…はいなかったな、ウロボロスのメンバーに貰った」
チームのリーダーになにしてるんだ、あいつらは。
眉間に皺が寄るのを自覚しながら、刑部は更に尋ねていく。
「で、なんでこれを今出すんだ」
「おもしろそうじゃん?てか今出さなくていつ出すんだよ」
1105それを刑部はさっきからじっと見つめている。読みたくはないが、目に入る文字は“光る”とある。なにが光るって、ナニがだ。
「………晃」
「んだよ」
重々しい呼びかけに桐ケ谷は飄々としている。この箱を出した時からそうだった。
「色々言いたいことがあるが、まずこれはどこで手に入れた」
「ヤス…はいなかったな、ウロボロスのメンバーに貰った」
チームのリーダーになにしてるんだ、あいつらは。
眉間に皺が寄るのを自覚しながら、刑部は更に尋ねていく。
「で、なんでこれを今出すんだ」
「おもしろそうじゃん?てか今出さなくていつ出すんだよ」
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CAN’T MAKE「すげー…」
「首が痛くならないのかい?」
仰け反り見上げる桐ケ谷を心配するように、刑部は首を傾げる。屋根より高いと歌われるが、おそらく地元で一番高い空を泳いでいるのは、刑部の家の鯉のぼりだ。若い衆が飾りつけたのを、さっそく学校帰りに見に来た。
「風吹くとすげーな。ほんと泳いでるみたいだ」
目をキラキラと輝かせて興奮する姿に、刑部は少しの照れと、申し訳なさが立った。彼のようにはしゃいで見せれば、お祖父様たちにも喜んでもらえただろうかと思うが、冷静に検分するのは性分だ。
「兜も出しているよ」
「マジで?見たい!」
いわゆる格好いいものが好きな桐ケ谷は、予想していた通りに飾ってある兜に興奮した。おやつに出された柏餅もたくさん食べて、お腹いっぱいになったのか縁側で眠ってしまっている。側には、新聞紙で作った兜と刀が転がっている。
633「首が痛くならないのかい?」
仰け反り見上げる桐ケ谷を心配するように、刑部は首を傾げる。屋根より高いと歌われるが、おそらく地元で一番高い空を泳いでいるのは、刑部の家の鯉のぼりだ。若い衆が飾りつけたのを、さっそく学校帰りに見に来た。
「風吹くとすげーな。ほんと泳いでるみたいだ」
目をキラキラと輝かせて興奮する姿に、刑部は少しの照れと、申し訳なさが立った。彼のようにはしゃいで見せれば、お祖父様たちにも喜んでもらえただろうかと思うが、冷静に検分するのは性分だ。
「兜も出しているよ」
「マジで?見たい!」
いわゆる格好いいものが好きな桐ケ谷は、予想していた通りに飾ってある兜に興奮した。おやつに出された柏餅もたくさん食べて、お腹いっぱいになったのか縁側で眠ってしまっている。側には、新聞紙で作った兜と刀が転がっている。
ashn__k
DONE10年後に集まったスタオケメンバーの話(成視点、刑桐)いかにもといった感じの黒塗りの高級車が居酒屋の前に止まった。一瞬何事かと身構えるが、降りてきたのは見覚えのある懐かしい顔だった。「うちの晃が世話になったようだね」
「……刑部さん!お久しぶりです。変わりませんね」
「お前も変わらないな、成宮」
青春を共にしたオケメンバーたちと久々に飲みに行った。あの頃のことを思い出すと今でも胸が熱くなる。メンバーを集めるために全国を巡り、色んな土地で演奏した。その思い出の一つ一つが、夜空に瞬く星々のように今も俺の胸の中で輝いている。
『スターライトオーケストラ』
その名に相応しい日々だった。
「今回も楽しかったですよ」
「それは良かった」
こうやって今でも顔を合わせる俺たちと一線を引いた彼。正直、姿を見ることはもう無いと思っていたから今日この場に現れたのは心底意外だ。
「……それだけ大切なんですね」
居酒屋の看板にもたれかかるようにして座る彼の相方を見る。あの頃よりも伸びた髪の毛が顔を覆っていてよく見えないが、きっとすやすやと寝息を立てているのだろう。
喧嘩は強いがアルコールには滅法弱いみたいだ。まあそれを分かって、自分 1201
ashn__k
DONE刑桐が死体を埋めに行く話二次創作始めてなので何もかも許されたいです
支部に加筆修正したものをあげました🙋「ヒマか?」
数年ぶりの電話にも関わらず、淡々と待ち合わせ場所を決めるアイツの声を聞いてようやく手の震えが止まった。
人間をはねた
いや、正確に言うと人間の方から当たってきたの方が正しい。
ここ数ヶ月、誰かにつけられている気がしていた。昔買った恨みか、最近の仕事絡みか。心当たりは幾つかあったが、こちらから動く程でも無い。相手の出方を待てばいい。どっしりと構えていたつもりが、まさかこんなことになるとは。
仲間が出てきて警察を呼ばれるんじゃないかと思ったがその様子も無い、俺は仕方なく肉の塊と化したそれを引きずってトランクへと押し込んだ。
「で、ムショに世話になる前に俺に一言挨拶ってことか」
最後に会ったときと比べて幾分か目つきが鋭くなっているものの、やっぱりアイツは変わっていなかった。メガネを指で押し上げる仕草も懐かしい。
「ちげぇよ、処理したいんだよ」
「死体をか?」
流石生まれも育ちも悪いやつ、話が早い。
「あるだろ山、こういうときの為に」
俺の幼なじみ、兼元恋人の刑部斉士はヤクザの血筋だ。今は鬼龍会の息がかかった会社で社長をしているがゆくゆくは継ぐだろ 2597