Trick or Treat タイムライン上に流れる『ハロウィン』の文字。高校の時は「秋の大収穫祭や……!!」と目を輝かせて紙袋もっとたやつが傍におったなーなんて思い出しながら更衣室に向かっていると、前方にふわふわと揺れ動く黒髪が見えた。
「おーみくん」
「……。」
横からひょこりと顔を出すと、視線だけをよこして眉間にしわを寄せられる。まだ何もしとらんのに何でそんな面倒くさいと言わんばかりの顔しとんのん。正解やけども。と思いながら侑はにまりと口角を上げた。
「今日何の日か知っとるよな」
「……。」
「眉間のシワ深めて回答するんやめえて。てなわけで、trick or treat」
「はい」
「いやもっとんのかい」
口にした瞬間に差し出されたチロルチョコ。絶対何も持っていないだろうし、何なら無視されると思っていたのに差し出されたハロウィンパッケージに侑は驚きが隠せない。物珍し気に手のひらの中のチョコを見つめていると、差し出される手が目にはいる。
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