献立ラブレター 風早巽は悩んでいた。
(マヨイさんがあまり食事を摂ってくれません)
日常的に巽が料理の腕を振るうことが多く、ユニットメンバーの舌は彼の腕で出来上がっていると言っても過言ではない。つまり、よっぽどのことがない限り、彼の食事が口に合わないことはないはずだ。とはいえ、一昨日から礼瀬マヨイの食が細っていっていることが、目下彼の悩みの種になっていた。
(元々一般男性よりも食が細い印象を受けますが、とはいえこうも食べる量が少なくなっているのはどうしてでしょう? 寒くなってきましたし、具合でも悪いのでしょうか)
昼食時に尋ねてはみたものの、マヨイはぶんぶんと首を振ると一目散に逃げだしてしまった。これでは解決の糸口も掴めない。彼はただでさえ体調を崩しやすい上、冬の気配が次第に濃くなっている。
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