呆気ないものだ。
四肢は千切れ臓腑は飛び散り、枯渇した魔力に再生すらままならない。傍らには令呪を失った少女が一人、迫りくる死を前に呆然と佇んでいる。このまま救援が来なければ少女の命は尽き、世界は終わる。なんとも呆気ない最期である。
そんな終わりを前に彼女は護身用に持ち寄ったナイフを取り出した。立ち向かう…訳ではないのだろう。自身の非力さは彼女が一番よく理解しているはずだ。
では何か、恐らく自死。
今この場でナイフを構えて出来ることなどそれくらいなものだろう。それこそ呆気ない最期だ。人類最後のマスター、唯一白紙化を解決出来る彼女は自ら死を選ぼうとしている。
いくら周りが担ぎ上げようとも所詮は非力な少女だ、なんともつまらない最期である。そんな風に最期の灯火を散らす少女を見送るつもりだった。
少女は刃物を手にし、自身の軟肌へと突き立てる。そうして、自らの腕を傷付けた。致命を負うための傷ではなく、打開を齎すための傷を負う。
「まだ、終われない」
そう言って傷口から溢れる血液を私の口元へと滴らせる。少女の生命であり、内側から溢れる純正の魔力を惜しげも無く零していく。その瞳には、まだ光が灯っていた。
みっともなく死の恐怖に震え、まだ生きていたいのだと希望を失わずに爛々と輝いている。思わず笑いが込み上げるが、それは唇を満たす己の血と彼女の血で叶わなかった。なんとも不様、なんとも滑稽。
辛酸と苦汁を嘗め啜り、それでも尚生き汚く希望に縋り付く。それこそまさしく人間の性。他者の命を踏み躙り、そこに罪悪感を抱きながらも終わりを拒み続けるその意志は惨めでこそ美しい。
「立って」
闘え、そう瞳が訴える。彼女が生きる為にはそれしか無い、であるならばやるしかあるまいと身体を無理矢理再生させる。腕と脚さえあれば良い、闘う術さえあれば良かった。臓腑に回すだけの魔力は全て温存する、文字通り伽藍堂の出来上がり。腹の中は空っぽなどと一体誰が言い出したのだろうか。死に体の男がこれから大立ち回りを演ずる様はまさしく詐欺であろうとも。
「紳士淑女諸君ご静聴あれ」
声を張り上げる、少女の遠ざかる足音が背後から聞こえる。お互いに振り返るなど未練がましい事はしない。ただこの身はこの場に立ち続けるのみだ。それだけの事で少女の命が繋がる、これ程有用に使い潰される事などあるだろうか。
「ここに秩序は終わりを迎える」
聖杯による秩序を崩す為に少女は奔走するのだろう。その先駆けてとして、我が混沌を贈ろうとも。
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伯爵、人間と言うか人間社会好きだって言うし、革命も好きみたいだし、平穏よりは必死に足掻く人間の方が好きそうだな、と。
多分カルデアに退去した後、椅子に踏ん反り返ってマスターの帰りを待ってる、まぁ帰ってくるだろうなくらいに思ってそう。
「おかえりなさい女王陛下」(椅子に座ったまま)
「ん、さっきはありがとう」(軽く手を振る)
くらいの関係性。弊デアのぐだ♀はぐだ♂より強い子なので騙しにくい、ので伯爵は機会を伺うか別の所へアプローチしてる。
もし、マシュに手を出そうものなら問答無用でガンドが飛んで来る。
僕はね強い女の子が好きなんだ。
逆にぐだ♂はめっちゃ騙され安いので、寧ろ目茶苦茶恭しくお辞儀したりする。貴方の忠臣ですとも、みたいな面してる。
強い攻も好きだけど、ナヨナヨした攻も好き。
弊デアぐだ♀は1サーヴァントくらいの認識。騙したければやればいい、貴方の手で終わるつもりは無い。
弊デアぐだ♂は惚れてる。エッチなお姉さんだと思ってる。