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    zawa

    廃棄孔
    ぐだの事は基本♂♀両方攻めでしか見てないです。
    元々ぐだ♂エレ、ぐだ♀マシュの人間。カリオストロは右寄り。柳生さん単推しの人間。

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    zawa

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    モブ生徒×教頭

    マジか、真っ先に口をついて出てきたのはそんな言葉だった。マジか俺、嘘だろ俺、と自分自身に言い聞かせる様に否定を繰り返すものの、混乱しきった脳みそにまともな回答を得ようだなんてのは無理な話で。百々の詰まり、そういうことなんだと認める以外の答えが返って来なかった。

    今日の昼、俺は盛大にすっ転んだ。
    それは誰の所為でもなく自分の不注意から起きた事故で、自業自得。まぁ、それだけなら自分が怪我をして、ついでに恥もかいてそれで終わる筈だった。
    ただ悪かったのはその時の状況、俺は階段の上で段差を踏み外し姿勢を整えようと失敗して前のめりに倒れた。そしてそんな俺の目の前に現れたのは誰であろう、教頭先生だった。成長期の男子生徒が階段踏み外すだけでも大事なのに、目下にいるのが自分の学校の教頭。怪我をさせようもんなら多方面から批難を浴びるだろう、先生達からも生徒達からも慕われているあの教頭だ。俺は教頭を視界に捉えたその1秒2秒の間に人生の終わりを覚悟した。
    あ、説教で済むかな、なんて呑気に考えながら。けれど、思いの外俺の考えていた最悪の事態にはならなかった。それもその筈だ、なにせ俺の目の前にいるのは教頭だ、"あの"教頭だ。
    教頭は俺を見据えると、微動だにする事なく俺をその身体で受け止めた。階段の上から覆い被さってくる成長期真っ只中の男子生徒を、だ。体格は俺の方が小さいとは言え凄い体幹だな、なんて感心しながら、けれど俺はその時失態を冒した。倒れた俺の顔面が飛び込んだのは教頭の胸元、慌てて縋る様に抱き付いた手の行く先はくびれた腰と引き締まった尻。お互い男同士、それがなんだと言われればその通りだが、状況が状況だった。俺が転けたのは学校の階段、生徒や先生、教頭に惚れ込んだ女生徒なんかも通る場所。そして、俺が抱き付いているのは教頭だ、さっきも言ったが学校の誰からも慕われている、何なら良い意味でも悪い意味でも慕われ過ぎているあの教頭。
    分かるか、学校そのものを敵にしたような周りからの圧、向けられる視線の痛々しさ。説教云々言って場合じゃなかった、何なら周りの奴等に殺されるかもしれない。何よりそんな状況下で、満更でもない自分自身が別の意味で一番恐ろしかった。
    だって凄い良い匂いがしたんだぞ、男なのに、俺よりデカいってのに。曲線を描く腰の抱き心地の良さとか、引き締まった尻の手に馴染むあの感じ。硬そうな胸板の、存外柔らかな弾力に包まれた時の興奮。あ、俺男でもイケるんだと気付いてしまった時の、顔を覆いたくなるような絶望感。全部引っ括めて教頭だから仕方ない、で説明がついちまうんだぜ、本当色んな意味で恐ろしい人だと思う。
    そう言えば、以前こんな噂を耳にしたことがあった、教頭の個人授業を受けると皆魅了される。当時の俺は何の事だと思ったが、今なら正直分からないでも無い。勿論教頭が生徒を誑している訳じゃない、ましてやゲームの中でもなしに魅了なんて状態異常は現実には存在しない、そもそも個人授業ってなんだ?そんな漫画みたいな事してるなんて聞いたこともない。
    つまり、教頭の所作一つ一つにみーんな魅了されていると言う事。
    俺はどちらかと言えば教頭の事を怖いと思っていた。何せ身体はデカいし、声に圧があるし、明らかに日本の学校の教頭らしからぬ見た目をしてる。絶対前世真っ当な人間じゃ無かっただろうとそんな風にさえ思っていた。それがまさか、男相手に、いや教頭相手に欲情する日が来るなんて。嗚呼考えたくなかったさ、今でも自分が信じられないくらいだ。悪い夢なら覚めてほしい、それでも思い出すのは嗅いだ事の無い甘やかな香水の香り、硬くそれでも弾力のある身体、顔を上げれば柔らかい視線に思わず見惚れた。大丈夫ですかと問い掛ける声はこっちを心配しての物なのに、何故か特別な物のように思えて。
    それが何故なんだと言われれば、詰まる所俺も他の奴ら同様教頭に惚れちまったんだと気付いた。俺だけをみつめる目、俺の名前を呼ぶ声、周りの視線なんてお構い無しで。こんな些細な事故が俺にとってはラッキースケベ以外の何者でも無いと気付いた瞬間、俺は思わず呟いていた。

    「好きです付き合って下さい」

    「はい?」

    恋って唐突に始まる物なんだな、と周りの生徒に引き剥がされながら俺は思った。




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    zawa

    MAIKINGいやあった、書きかけの奴。花吐きパロで、花吐くんじゃ無くてヒビから花が発芽する謎の話。どんどん花が咲き誇って伯爵を彩っていくんだけど、それが全部青い薔薇とか黒い百合とか、造花とか伯爵の心を現すかの様に偽物の花ばっかり咲かせる話。
    マリーオルタに「あら、いい気味ね」とか言われたり、「恋をすると人は美しくなると言うけれど、貴方のそれは悍ましいわね」って煽られる話。
    多分もう書かないので全部言う。
    ※芽生えたものが本物か偽物かなんて誰にも分からない



    ポカンと見詰めたその先に、明らかな異常が鎮座していた。
    自分よりも幾分大きな背丈を見上げた先にあるのはカリオストロの相貌で、その額、ひび割れた亀裂から何かが角のように生えている。それは確かに"芽"の様な何かで、思わず口にした疑問に伯爵は事も無げにさらりと告げた。

    「なに…コレ?」
    「蕾、でしょうかね」

    まるで他人事の様に諦観する男は、自身の顔、ひび割れた溝に指先を滑らせる。赤い瞳から額にまで伸びた大きな溝を辿れば、そこには本来あるはずの無いものが顔を覗かせていた。
    伯爵の言う、花の蕾。何故そんな物が生えているのか、疑問に顔を曇らせるが当の本人も答えを得てはいないのか困りました、と曖昧に微笑むばかりだ。あまりにも素っ気無い回答に、もしかして揶揄われているのかとカリオストロの顔をまじまじと観察する。しかしひび割れたその隙間、細かな溝にさえツタのような物がびっしりと覆っているのを見てしまっては素気無く返す事も出来なかった。
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