霊の視える少女に打算込みで声を掛ける、ずっと前のこと。心から友人になれるかもしれないと思えた少女がいた。
堕魔死神高校に入学して、何をすれば良いのだろう、と疑問に思っていたのも数日の話。現世の高校に行って男子生徒の魂を集めるように指示が与えられるまで、そう長くはなかった。
命じられたのは、男子の魂を根こそぎ奪うだけの簡単な仕事。自分の顔が整っていることは紛うことなき事実であるし、それを利用するだけでタダで仕事がこなせて学習の機会も得られるのならば、それを断る理由なんてない。カンパニー本社に籠ってくだらない世間話に興じている同級生を横目に、単身現世に発った。
やり口がやり口であったので、当然女子には疎まれて、友人の一人もできやしなかったけれど、図書室も自習室も無料で好きなだけ使えるのだから、プラマイゼロどころか大幅にプラス寄りである。
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