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    小さな葉っぱ

    @happa_shumi08

    ↓活動場所
    https://profcard.info/u/KeSCw6Nd2DYriEq7xhk0cnUZqaF2

    ・くじらのひとの黒迷さん(BLは書けない)
    ・SB69の男女CPやバンド内のわちゃわちゃ
    ・マリオのワルイージ×ロゼッタ
    で文字書きをしています。絵は描けず、文章のみの投稿です。テキトーにお気楽に二次創作ライフを送ってます!
    黒迷さん関連にはパスワードを付けさせて頂きます、ご了承くださいm(*_ _)m
    【パスワードヒント】
    ・お二人の下の名前のイニシャルを誕生日が早い順番に
    ・お二人は漫才日本一の何代目チャンピオン?
    英字は全て小文字でお願いします。

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    小さな葉っぱ

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    ワルロゼ作品。
    真夜中のワンライ(十分オーバー)。診断メーカーでお題を頂きました。
    学パロでサボり魔生徒×保健室の先生。

    ↓頂いたお題
    【お題ひねり出してみた】
    ワルロゼへのお題は『もう忘れ物しちゃ駄目だよ?』です。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/392860

    ##ワルロゼ
    #ワルロゼ
    warroze
    #男女CP
    maleAndFemaleCp

    忘れ物(ワンライ)最近鳴き始めた夏の蝉時雨がそこら中に降り注ぐ。生徒たちが通う通学路の道路には朝から陽炎が見える事もある。
    暑い中通う生徒たちには期末テストが近づいている。
    一昔前とは違って教室にクーラーか付いているのが当たり前の現代。それは彼女が主を務める保健室も同様だった。

    デスクに向かって書き物をしていると、ガラガラと保健室の戸が開く。
    “いつも”の痩せ身の彼が来る合図。
    碧色のブラウスと黒いパンツの上に白衣をまとった彼女が、半袖カッターシャツの夏制服の生徒を迎える。
    「あらあら、また来たの?」
    「今日も休ませてくれるか?」
    「お休みではなくおサボりでしょ?」
    やんわり指摘すると、彼はばつの悪そうな顔をして『けっ』と短く言葉を吐き出した。
    「今日はどんな理由にしておく?」
    「熱っぽいって事にしといてくれ」
    「はいはい」
    会話を切り上げると、彼は早々にベッドが並ぶカーテンの向こうに消えて行った。
    彼女は学校へ提出する報告書に、彼が言った仮の体調不良を書いておいた。
    彼は授業をサボってよく此処を訪れる。この保健室に居ない時は大概屋上をサボり場としている。最近は炎天下が続くので保健室を利用する頻度が高い。
    そんな勉学に怠惰な彼なのに、成績は優秀だと聞く。家に帰ればきちんと勉強しているのだろうか。
    そんな彼とは、此処で顔を合わせる内にいつしか軽口を叩き合う仲になり、おサボりの共犯者のようになっていた。

    書き物を再開してしばらくが経つと、不意に視線を感じた。振り返ると彼がカーテンを少し指でずらし、こちらを見ていた。彼女が振り返った事に気づくと、はっと慌ててカーテンの奥に引っ込む。
    「あら、びっくりした。どうかしたの?」
    「い、いや……」
    閉じたカーテンの向こうから、訊きづらそうな声がする。
    「あ、あのさ」
    「なあに?」
    「最近、暑いだろ? 先生、髪が長いから……ポニテとかにしねえの?」
    「あー、そうね。この長い髪は大好きな私のママと似ているから、切りたくはないと思ってるの。髪をまとめるのは良いアイデアかも知れないわね」
    「そうか……」
    彼の短い返事には、何処か淡い期待があるようにも聞こえた。その正体は計りかねた。

    下校時間になり、彼は帰って行った。『明日はちゃんと教室でお勉強するのよ?』と言っておいたが、たぶん馬耳東風に終わるだろう。
    彼の寝ていたベッドを整理しようと、掛け布団を捲ってみる。
    「あら?」
    そこには一つの忘れ物があった。
    彼が最近身に付けているバラのワンポイントチャームのヘアゴム。数日前から彼がブレスレットのように手首にはめている。
    それを手に廊下に出て首を左右に動かすが、彼の姿はない。その後一応教室まで行ってみたが、彼は愚か生徒一人すらもう居なかった。
    仕方ない、明日も来るだろうからその時に渡そう。

    翌日。今日も暑い。
    彼はいつも通り保健室へ現れた。
    白衣のポケットからあのヘアゴムを取り出す。
    「はい、これ。もう忘れ物をしてはいけませんよ?」
    すると、彼は照れたように目線を横に反らし、受け取りを拒否するようにポケットへ両手を入れた。
    「どうしたの?」
    「……んたの、だよ」
    「え?」
    「あんたのだよ、それ。あんたにあげようと思って、ずっと、持ってたんだ……」
    言葉を紡ぐ度に彼の頬が赤くなって行く。
    「まあ、私へのプレゼント?」
    「うん……」
    「もしかして、ポニーテールにしたらって訊いたのも?」
    「本当は、その時に渡せたらと思ってた。でも、恥ずかしくなっちまって。だからなにも言わずに置いてった」
    彼女の口角が自然と上がり、とても柔和な笑みが出来る。彼は不器用だけど、優しい子だ。
    「ありがとう。さっそく付けてみても良いかしら?」
    「ああ」
    髪を後頭部の上の方でまとめて、ヘアゴムを通す。
    「どうかしら?」
    彼は見惚れるようにしばし言葉をなくしていた。
    あれ? 案外似合ってなかった?
    そう思った時、彼が我に返ってより顔を紅潮させる。
    「い、良いんじゃねえか? す、涼しそうで」
    「ええ、そうね。髪も切らなくて良いし、素敵なものを貰ったわ。どうもありがとう」
    心からの慈愛深い微笑みを向けると、彼は何故だかじりじりと後退して『きょ、今日は休まなくて良いや!』とバタバタしながら保健室から出て行った。
    「あらあら、今日のワルイージくんは変ね」
    不思議に思いながら首を傾ける彼女の束ねた髪の上では、窓から入る夏の日差しを受け、バラのチャームが恋の光を放っていた。


    (おわり)
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