聡狂ハジメテ物語②「まって、ちょ、……もう、待っ、ま、ゃ、まてって言うてる!」
「え、なになに。 この流れやったらこのままエッチになだれ込むそれやで……まぁ、はい、なんでしょ」
部屋に入ったその途端、狂児は後ろ手でドアの鍵を締め、聡実の腰をだいて唇を重ねた。狭い玄関の三和土でもつれ合うようにして、そのまま上がり口に聡実を上にのせ倒れ込む。ぎゅ、と抱きしめて逃さないと唇を追いかけるが、難しい顔をした聡実は手で狂児の顔を押して拒否の言葉を投げかけた。お互い薄暗い室内で見つめ合って、狂児の手が緩んだ途端聡実は立ち上がり靴を脱いで床に座り込んだ男を跨いで部屋に上がる。パチン、とスイッチの音が響き、明るく照らし出された四畳半の部屋の真ん中、聡実が正座をし狂児を手招いた。
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