聡狂【会いに(愛に)来た男】「おはよ」
「……………」
開けかけたドアを閉めてしっかりと鍵をかけ、聡実は部屋の中に戻った。外からはのんきな声が自分の名前を呼んでいる、時折控えめなノックの音も添えられて。背負ったリュックをテーブルの前に下ろすと、その隣に腰を落ち着けてスマホを取り出しトークルームを開き、無表情のまま画面をタップした。
【急になんの用ですか】
【えー、つれないやん】
【顔、見たくて】
いつもの絵文字が語尾に添えられていて、それに苛立ちを覚えた聡実は、一言だけ返すとスマホをテーブルの上に投げ出してその場に寝転んだ。
【外出られんから、はよ消えて】
間髪入れずにブブ、と振動音が聞こえた。どうせわざとらしくしおらしい言葉が並んでいるのだろう、と画面を見て、予期せぬ文面に眉を顰める。
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