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    makototakashiro

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    makototakashiro

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    親リWEBオンリー『3度の飯より君が好き‼︎』への参加作品として書いています。
    非常に不本意で恥じ入るばかりではありますが、当日の夜にしてここまでしか書けておりません……ですが、せっかくスペースを頂いたのに、まるっきり参加できないのでは悲しいので、書けた所まで公開させていただきます。
    完成したらpixivに改めて投稿しますので、機会があれば読んでやってください。

    #エルリ
    auricular
    #親リ3度メシ
    parentLi3TimesRice

    君と俺の過去と未来(仮題) 見る角度で色を変える宝石のような瞳が揺らいだのは一瞬だった。ゆっくりと瞬きをした後、黒々としたまつ毛の向こうから現れたグレーに動揺の色は、ない。
    「管理責任者のアッカーマンです。どんな些末なことでも言ってください。こちらからも必要なことはどんどん言わせてもらいます。いい仕事にしましょう」
     ごく自然に差し出された手を反射的に握り返しながら、私は自分の手が僅かに震えていることに気づいた。彼にも伝わってしまっただろうかと伺うが、視線の合わない表情からは何も読み取れなかった。
     こんな風に相手を観察しているとまるで冷静なようだが、今の私に冷静さなど欠片もない。動揺の色どころか動揺という概念そのものにでもなったようだ。正直に言えば、目の前の光景は夢なのではないかとすら思っていた。だって、あれほど会いたくて、しかし会えなくて、焦がれ続けた相手との再会がこんな風にやってくるなんて。都合の良い夢でなければなんだというんだ。
     そんな風に思う一方で、これほど胸が痛いのに夢であるわけがないとも感じる。
     そう、私の胸は目を逸らすこともできないほど強く痛み、その奥底に丁寧にしまったはずの気持ちが、未だ強く深く息づいていることを主張してくるのだった。
     およそ十三年。最後に彼と会ってからそれだけの時間が流れている。だというのに、私の心の中のそれは弱くなることも小さくなることもなく、ただ息を潜めていたらしい。歓喜の雄たけびを上げて暴れまわっている。その暴力的な動きのせいで入れ物である私が酷い痛みを感じていることなど、それにとっては大した問題ではないのだろう。
     十三年の時を経て私の前に現れた彼は、一見ほとんど変わっていないように見える。小柄な体躯に見合った少年のような顔立ちから三十三歳という実際の年齢を導き出すのは極めて難しいだろう。透けるような肌の白さも相変わらずで、滑らかなそれにシワやシミといった加齢を感じさせるものは見当たらない。
     それでもよくよく見れば、確かにそこには時間の経過を感じる。
     時々幼ささえ感じていた口許はキュッと引き結ばれてその表情を隙のないものに見せている。若干丸みの残っていた頬のラインが鋭角になって精悍さを感じさせる。まれにスーツを着ると七五三のように見えていたというのに、そんな様子はもう微塵もない。すっきりとした細身のスーツは引き締まっていながらも適度な厚みのある身体を魅力的に演出していた。恐らくオーダーなのだろう、生地からも細部からも仕立ての良さがにじみ出ていた。
     そして、何よりもその瞳だ。ゆったりと落ち着いたブルーグレーは様々な経験を飲み込んだ深みを持ち、自信と余裕を湛えている。それは数多くの職人たちと渡り合ってきた、優秀な施工管理者の眼だった。例えば私が彼のことを知らなかったとしても、この瞳を見れば安心して仕事をできる相手だと納得しただろう。
     十三年だ。
     リヴァイ・アッカーマンはその美しさと魅力を増して、今、私の目の前に立っている。そして私の中にひっそりとしまわれていた筈の愛情は、未だその向かう先は彼なのだと、あまりにも力強く高らかに宣言したのだ。

    *****

    「お願いします! ワンチャン、直接、話をさせてください! それでダメなら諦めますから」
     教務課窓口に立ち寄った私の耳にそんな声が聞こえて来たのは、五月のことだった。大型連休が終わり、さて、今年度に本腰を入れて向き合おうかという時期。
     カウンター越しに職員室を見ると教務課長を相手に拳を握りしめて何やら訴えている女性がいる。広報課の職員だ。彼女はぶんぶんと腕を上下させながら「お願いします」ともう一度言った。
    「リヴァイ・アッカーマンですよ! テコンドー世界一の! そんな学生がいるのに協力してもらわないなんてもったいなさすぎます!」
    「だけどなぁ、電話の感じでは取り付く島もなかったそうだよ。そもそも、世界選手権の優勝記録なんて有利な情報を敢えて調査書に書かなかったんだろう。それを考えれば答えは見えてるんじゃないか?」
    「だから! そこを! 口説かせてくださいって言ってるんです! 自分で直接頼まないで諦められる程度のカードじゃないんですよ!」
    「そんなに有名なの? 俺は名前聞いても特にピンとこないけど……」
    「課長はスポーツに興味がないからです。界隈では凄い盛り上がりだったんですから。高校生がシニアの大会に個人で出場するのも異例だし、初出場の選手がストレートで圧勝して優勝するのも異例だし、その上、凄いイケメンなんです!」
     今にもデスクに拳を叩きつけそうな勢いに圧倒されて、課長が「はあ」と口の中で呟いている。
    「クールなイケメンなんですけど、凄く、小さいんですよ、彼! そこがまたギャップがあって可愛いって有名なんです。とにかく、彼に協力してもらえれば、この先四年間、絶対的な広告塔になるんですから。人事を尽くさないなんてあり得ません!」
     凄い熱意だな、と感心しつつその場を離れる。教務課長は聞いたことがないと言っていたが、私は記憶に引っかかるものを感じていた。昨年の十一月頃だったろうか、この国の選手が件の競技で世界一になるのも、しかもそれが高校生だというのも歴史的な快挙だとして新聞に取り上げられていたのだ。
     そういえば、マイナー競技の割にはかなり大きな記事になっていたな……そうか、そんな凄い競技者がこの大学に入学したのか。
     その時はそんな風にボンヤリと思っただけで終わったのだが、私はその話題をすぐに思い出すことになった。
     学食に向かう途中、体育館を覗いたのはほんの気まぐれだった。なかなか活気のある声が聞こえてきたので何をやっているのかふと興味が湧いたのだ。時計を確認すると、まだ食券の券売機が込み合う時間まで余裕もあったので、開け放されたままの入り口に足を向けた。
     ネットで二つに仕切られた体育館では、片側でバレーボール、もう片側ではバスケットボールがプレイされていた。どちらも体育の授業だろうが、その雰囲気には随分と違いがあった。
     外にまで声が聞こえるほど盛り上がっているのはバスケットボールの方だ。どうしてそんなに盛り上がっているのかはすぐに理解することができた。
     私の丁度目の前で、彼はふわりと飛び上がった。軽やかな動きだというのに、自分よりも十センチは大きい相手の頭上からボールを奪う。そうしてそのまま力強いドリブルでゴールまで駆け出した。まるで磁石で引き寄せてでもいるように危なげなくボールを運ぶ彼に、敵チームは誰も追いつくことができない。ゴール下で待ち構えていたガードも踊るようなステップでかわして、彼は再び跳躍した。その姿はまるで、ゴールに向かって中空を駆ける様だった。一瞬、背中に翼が見えた気がして瞬きをしている間に、彼はボールをリングに叩き込んでいた。
     うおおおっという野太い歓声と、きゃああーっという黄色い悲鳴が同時にあがる。もう敵も味方も関係なく、その見事なプレイに体育館中が盛り上がっていた。
     確かめるまでもなく、私は彼が誰なのかを確信していた。そしてあの広報課の彼女があれほどの熱弁を振るっていたことにも納得していた。リヴァイ・アッカーマン。確かにこれは良い広告塔になるだろう。
     だが、何よりも私の心を占めていたのは「ようやく見つけた」という、安堵にも似た気持ちだった。それは涙が出そうなほどの胸苦しさであり、かつてないほどの充足感であり、同時にどうしようもないほどの渇望でもあった。
     彼こそが私がずっと求めていた相手に違いない。

     物心ついた時から誰かを探していた。
     それが誰なのかもその理由も全く分からない。それなのに私の胸には常に焦燥感があった。早くその人を見つけなければ、と。
     初恋はボーイスカウトの年長者だった。黒髪で小柄な男子中学生。私を含めた年少者の面倒をよく見てくれる、優しい少年だった。惹かれたのはその優しさだったが、ずっと年上の彼を守りたくて懸命だったことを覚えている。それ以来、惹かれるのはいつも似た雰囲気を持つ相手ばかり。繰り返すうちに、探しているのはきっと、彼らに共通する特徴を持った人物なのだろうと思うようになった。
     ふと惹かれて、もしかしたら今度こそ、そう思いながら近づいて、やはり違うとがっかりする……そんなことを幾度も幾度も繰り返してきた。
     だが今ならば分かる、あの感覚はあくまでも「似た人」だから好感を持っただけだったのだ。「本物」の持つ磁力には疑問を差し挟む余地もないし、抗う術もない。
     リヴァイを知ったその日から、私の世界はその色をすっかり変えてしまった。今の私は探し求めていた相手を見つめることができる。話しかけることだってできる。そう思うとそれまで感じていた焦燥が嘘のように消え、心に余裕が生まれた。すると不思議なことに、それまでは六色で認識していた世界が十二色、いや二十四色で彩られるようになったのだ。生まれて初めて、この世界の美しさに気づいたような気がした。
     そうだ、彼のいるこの世界は、こんなにも美しい。
     とは言え、私が彼について知っているのは名前と学年、テコンドーの世界チャンピオンでとんでもない身体能力の持ち主だということだけ。どこの学部なのか、部活やサークルには入っているのか(うちの大学にはテコンドー部はなかったはずだ)、一人暮らしなのか実家暮らしなのかどこに住んでいるのか、恋人はいるのか。
     私はすぐに人の伝手を頼って彼に関する情報を集めた。
     人が最も持つべきものは情報であり、早く正確に多くの情報を集めるためには人との繋がりがモノを言うという考えの元、コツコツと築いてきた人脈のおかげで、さほどの苦労もなく彼に関するいくつかの情報を手に入れることができた。
     例えば、彼は非常に生真面目な性質らしく、時間割に関わらず毎日同じ時間に登校し、まずは掲示板を見に行く、とか。

     本館二階、庶務課と学務課の窓口があるロビーには総合掲示板が設置されている。全学部共通の告知や一般教養科目に関することは基本的にここに掲示される。
    建築デザイン学科のボードの前に小さな黒い頭を認めた私は、思わず走り出しそうな足を𠮟りつけて、何気ない足取りでそちらに近づいた。すっと伸びた背筋、すっきりと刈り上げられた襟足、華美ではないけれどさりげなくセンスの良さが伺える服装。後ろ姿ですら目を引かれる。
    どうやら彼は掲示をスマホで撮影するのではなく手帳に書き留めているらしい。見上げたり、うつむいたりを繰り返してピョコピョコと上下する丸い後頭部に口元を緩めながら、私は彼の隣に並んだ。
    「やあ」
    声を掛けると彼は周囲を見回してから私を見上げた。切れ長で鋭い目はまるでこちらを睨みつけるかのようだが、軽く傾げた小首と薄っすら開いた唇から辛うじて戸惑いを読み取ることができた。
    グレーの瞳は瞬きの度にニュアンスの違う青が混じって見える。
    そのラブラドライトのような神秘的な眼差しに見つめられた途端、私は思いもかけない言葉を口にしていた。
    「君が好きだ」
    本当ならば共通の授業をネタにして取り入るつもりだった。一年の彼が履修している授業には私の学科と共通のものも多く、上の学年からの情報提供の有無で苦労する度合いがずいぶん変わる授業にいくつか心当たりがあったのだ。
    だというのに、実際に彼に相対してみたらそんな術策は吹き飛んでいた。彼を求めるのと同様に、源ははっきりしないながらも心の奥底から湧き上がる気持ちがある。それは、彼には嘘や建前や言い訳を使わず、素直で正直な気持ちを伝えなくてはならないと言うものだった。
    事前に想定した段取りを自らぶち壊すような真似をしてしまったが、私は不思議と落ち着いていた。むしろこれこそが正しい道だという確信すらあった。
    「誰だテメェ……」
    しかしながらリヴァイにしてみれば見知らぬ同性から突然好意をぶつけられたのだから、これはもう交通事故のようなものだろう。眉間に深いしわが刻まれ、小さな口からは不信に塗れた声が発せられた。
    想像していたよりも低い声だった。同時に想像通りの心地良い声だった。濁りのない発声と発音は、彼のまとう清廉さそのままのように感じる。
    思い切り引かれているというのに、気が付くと私は笑顔を浮かべていた。
    「俺は建築三年のエルヴィン・スミス。この前たまたま君を見かけて一目惚れしたんだ。まずは友だちからで構わないから一緒に居させてくれないか」
    「は?」
     あっけらかんと告げるとリヴァイは疑問符を吐息に乗せて吐き出した。そして私の発言がそれで全部だということに気づくと視線をうろうろと彷徨わせた。
    「俺は男、だぞ?」
    「はは、知ってるよ。建築学部建築デザイン学科一年、リヴァイ・アッカーマン。デザインの友人から君の話を聞いている」
    「アンタは……その、男が好き、なのか?」
    「うーん、どうかな。俺は君が好きである、君は男である、ということは俺は男が好きであるは言えるだろう。だが男は俺に好かれるは真とは言えないからな……」
     顎をこすりながら回答を検討していると、リヴァイは妙なものを呑み込みでもしたような表情になった。
    「ああ、もういい。アンタがおかしなヤツだってことはよく分かった」
    「そうか」
    「とりあえず、もうすぐ授業の時間だから行って良いか?」
    「もうそんな時間か。もちろん行ってくれ。明日は俺の申し出の答えを聞かせてくれると嬉しい」
    「――は、明日……!?」
     劉備ですら諸葛を三顧の礼をもって迎えたのだ、たった一度の邂逅で彼を口説けるとは思っていない。
     私はあっさりと彼に背を向けた。諦めの悪さは私の美点の一つだか、一度にあまりしつこくするのは逆効果だ。今日は初日としては悪くない滑り出しだった。続きは明日の楽しみにすることにしよう。
     のんびりと構えていた私は、翌日からも同じ時間に同じ場所へ足を運んだ。そして同じように彼と顔を合わせた。それはつまり、私が来ることが分かっていても彼が行動パターンを変えなかったということでもある。
     朝のひと時を共にするようになって一週間。リヴァイは「なあ、先輩」と私を呼ばわった。三日目の途中からリヴァイの私に対する呼びかけは「アンタ」と「先輩」の混合になっていた。
    「建築の奴から聞いたが、アンタ、建築じゃスゲェ優秀だって有名なんだな。学部生にして一般のコンペでも入賞してるとか、業界じゃ有名なプロの主催する勉強会に参加してるとか……」
    「ああ、まあ、そうだな」
    「そんな奴がなんだって俺なんかに構うんだ? 俺の近くに居たって先輩に役立つことなんて何も起こらないぞ」
    「リヴァイにそんなことは求めていない。求めるのはただ、俺のそばに居てくれることだけだ。言っただろう、一目惚れだって。バスケットをしている君を見かけたんだ。とても綺麗だった。君の背中には翼があるようだった。人を縛り付けるあらゆるものから解き放たれるようで……心が震えたよ。その時分かったんだ。俺はずっと君を探していたんだって」
    「…………」
    「こうして実際に傍に立ってみると良く分かる。君が横に居てくれると、感じたことのないような安堵を感じるんだ。君が傍に居れば、俺は俺のままで居られる気がする」
     リヴァイと話すようになってから自分の心がかつてないほど穏やかであることは自覚していた。それでいて、体の奥から突き上げるように湧き上がってくるのだ。彼を愛おしく思う気持ちが。
     じっと眼を見つめたまま言うと、彼は目元をわずかに赤くしてうつむいた。私にはそれが酷く可愛らしい仕草に見えて、思わず相好を崩す。この一週間で彼の人となりが大分分かって来た。彼は案外不器用で照れ屋だ。こんな風にそのままの愛情をぶつけられると、どうしたら良いか分からなくなるらしい。決して無口という訳ではないのに、自分の気持ちを整理して言葉にするのは苦手らしい。どうして良いか分からなくなると黙り込んでしまうようなところがあった。
     リヴァイは俯いたまま口をもごつかせた後、それをへの字に曲げて私を睨みつけた。
    「俺はとりあえず、先輩を友だちだと思えば良いのか?」
    「ああ! 君の友人の末席に加えてくれるか?」
    「末席なんて、らしくないこと言いやがる。アンタは躊躇いなく一番良い席に座るタイプだろ」
    「最初は末席で構わないよ。いずれは君に一番近い席に移動するから」
    「アンタならそうだろうな……なあ。俺は、先輩が物腰は柔らかくても実はめちゃくちゃ押しが強いって知ってる」
    「うん」
    「牛丼はネギとキムチ追加のツユダクギョク付きが好きだって知ってる」
    「うん」
    「最近の悩みは本棚に入りきらない本で部屋の床が埋まっちまってることだって知ってる」
    「うん」
    「……一週間も、毎日どうでも良いこと話して、そういうくだらないこと知ってる相手ってぇのを……普通は友だちって、言うんじゃないのか……」
     言いながら徐々に俯いてしまうので、私からは彼の顔が見えなくなってしまった。だが髪の間から見えている耳が赤くなっているのは分かる。
    「リヴァイ!」
     こみ上げた衝動のまま抱き着くと、リヴァイはギャーッと大袈裟な声を上げて私の腕から逃れた。照れて赤くなった顔のまま睨まれても可愛いだけだが、私はホールドアップして謝罪する。
    「すまない、今のは間違えた。ちょっとしたミスだ。俺は同じミスを二度はしないから、安心してくれて良い」
    「なんだ、そりゃ」
     私の言い分に彼は呆れた声を出した。そうしてそのまま表情を和らげる。困ったように下げられた眉尻。緩やかに弧を描く唇。少し分かりにくいものの、それは彼が初めて見せてくれた笑顔だった。
     呆れを多分に含んだ笑顔だというのに、私の胸は締め付けられた。涙が浮かんでしまうほど――嬉しい。その表情からはリヴァイが私を丸ごと受け入れてくれていることが伝わってくるからだ。
     ずっと彼を求めていたのは、もしかしたらこんな風に許されたかったからなのかも知れない。人から称賛されようもないダメなところを「仕方のない奴だな」と言いながら許容される。これ以上安らげることがあるだろうか。
     私が「改めてよろしく、リヴァイ」と手を差し出すと、彼はそれを力強く握り返してくれた。
    「お近づきのシルシに今日の晩飯は先輩がおごってくれよ」
    「ああ、喜んで。メガ盛り可。トッピングは三つまで可だ」
    「牛丼限定かよ!」
     とうとう彼は声を上げて笑い出した。

    *****


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    非常に不本意で恥じ入るばかりではありますが、当日の夜にしてここまでしか書けておりません……ですが、せっかくスペースを頂いたのに、まるっきり参加できないのでは悲しいので、書けた所まで公開させていただきます。
    完成したらpixivに改めて投稿しますので、機会があれば読んでやってください。
    君と俺の過去と未来(仮題) 見る角度で色を変える宝石のような瞳が揺らいだのは一瞬だった。ゆっくりと瞬きをした後、黒々としたまつ毛の向こうから現れたグレーに動揺の色は、ない。
    「管理責任者のアッカーマンです。どんな些末なことでも言ってください。こちらからも必要なことはどんどん言わせてもらいます。いい仕事にしましょう」
     ごく自然に差し出された手を反射的に握り返しながら、私は自分の手が僅かに震えていることに気づいた。彼にも伝わってしまっただろうかと伺うが、視線の合わない表情からは何も読み取れなかった。
     こんな風に相手を観察しているとまるで冷静なようだが、今の私に冷静さなど欠片もない。動揺の色どころか動揺という概念そのものにでもなったようだ。正直に言えば、目の前の光景は夢なのではないかとすら思っていた。だって、あれほど会いたくて、しかし会えなくて、焦がれ続けた相手との再会がこんな風にやってくるなんて。都合の良い夢でなければなんだというんだ。
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    君と俺の過去と未来(仮題) 見る角度で色を変える宝石のような瞳が揺らいだのは一瞬だった。ゆっくりと瞬きをした後、黒々としたまつ毛の向こうから現れたグレーに動揺の色は、ない。
    「管理責任者のアッカーマンです。どんな些末なことでも言ってください。こちらからも必要なことはどんどん言わせてもらいます。いい仕事にしましょう」
     ごく自然に差し出された手を反射的に握り返しながら、私は自分の手が僅かに震えていることに気づいた。彼にも伝わってしまっただろうかと伺うが、視線の合わない表情からは何も読み取れなかった。
     こんな風に相手を観察しているとまるで冷静なようだが、今の私に冷静さなど欠片もない。動揺の色どころか動揺という概念そのものにでもなったようだ。正直に言えば、目の前の光景は夢なのではないかとすら思っていた。だって、あれほど会いたくて、しかし会えなくて、焦がれ続けた相手との再会がこんな風にやってくるなんて。都合の良い夢でなければなんだというんだ。
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    君と俺の過去と未来(仮題) 見る角度で色を変える宝石のような瞳が揺らいだのは一瞬だった。ゆっくりと瞬きをした後、黒々としたまつ毛の向こうから現れたグレーに動揺の色は、ない。
    「管理責任者のアッカーマンです。どんな些末なことでも言ってください。こちらからも必要なことはどんどん言わせてもらいます。いい仕事にしましょう」
     ごく自然に差し出された手を反射的に握り返しながら、私は自分の手が僅かに震えていることに気づいた。彼にも伝わってしまっただろうかと伺うが、視線の合わない表情からは何も読み取れなかった。
     こんな風に相手を観察しているとまるで冷静なようだが、今の私に冷静さなど欠片もない。動揺の色どころか動揺という概念そのものにでもなったようだ。正直に言えば、目の前の光景は夢なのではないかとすら思っていた。だって、あれほど会いたくて、しかし会えなくて、焦がれ続けた相手との再会がこんな風にやってくるなんて。都合の良い夢でなければなんだというんだ。
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