夜明け空過ぎて、昼見上げ。「この本…なに??」
そう言いながらロナルドくんは、フォン・ナ・ドゥーブツから貰った吸血鬼資料の本の束のある一冊を、訝しげに摘み上げた。
「女性がやけに薄着の本だ」
『エロ本だね。そういえばフォンくんはエロ本大好きだったから混ざったのかも』
太陽が登らなくなったこの夜の世界ではレアな存在になったエロ本には、表紙に常夏の水着女性が飾られてた。
太陽の写真は吸血鬼の過激派がとことん燃やし尽くしており、こんな本でも太陽が拝めて少しありがたく感じる。
「この白いのが太陽」
『カメラで強い光源を撮るとこうなるんだ』
「暖かいから下着なのか?」
『水着という泳ぐのに最適な衣だよ』
ロナルドくんが生まれた時は既に太陽は隠されており、暑いと言う感覚が分からないほど、この世界は寒々しい世界となった。水着なんぞ等に廃れており、彼には火に焼かれていないのに暑いという発想がない。
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