前世を想う前世で桜と離れる夢に見て不安になる十亀の話と、ずっと夢にみていた桜を発見し自分のモノにしたがる棪堂の話を詰めました。
視点がコロコロ変わります。
「自分は家の決めた許嫁のところに嫁がないといけないんだ……」
オレとオレに少し似ている癖のついた黒髪に青い瞳の青年の目の前には桜色の着物を着た女性が佇んでいた。
白と黒で分かれたロングヘアの女性、そう微笑んだ彼女の左右違う瞳は、十亀の憧れの相手である“桜遥”を想起させた。
「だから、お前らの気持ちには応えられない……ごめん、な……条、哉真斗」
そう言った彼女の双眸は微かに潤んでいた。
「「遥!!!?」」
そう言って踵を返し、オレと哉真斗と言われた青年の呼ぶ声に目をくれずに走り去っていく女性は、桜と同じ名前をしていたーーー。
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