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    海音蒼依

    @aoiumine

    創作初心者、創作用ではない別名義があります。
    らくがきを置いたり、小説を書いたりします。
    絵はジャンルバラバラ、小説は現在ウィンブレのみ。

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    海音蒼依

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    #にれさく

    にれさくオンリー ドロライまとめ第一週
    お題:【恋の芽生え】

    オレのその見た目を見ても他のこの町のヤツらのように気色が悪いと言わない。
    そして、オレをてっぺんまで連れていくなんていう、荒唐無稽なヤツ。
    それがアイツの第一印象だった。

    でも、それが変わったのはKEELとの戦いの時にアイツがボロボロの姿になった時だろう。
    あの時から、オレはーーアイツのことを強く意識しだしたんだと思う。



    それからだ、それから段々とアイツのことから目を離せなくなってーー。
    でも、オレはこの感情の名前すら知らない。


    「桜さん、どうしたんですか?」
    名前を呼ばれ、ふと意識を戻せば……楡井に顔を覗き込まれていた。
    あんなことを考えていたせいで、顔が分かりやすく紅潮しているのがわかった。

    「わり……ちょっと、かんがえごと、してただけだ」
    「桜さん、あんたは悩み過ぎると体調を崩す時があるんですから、困ったことがあったらオレやクラスの誰かに相談してくださいよ? ほら、今も顔真っ赤じゃないですか……」
    「お前のことを考えているのにお前に相談なんてできるわけねぇだろ……」と心の中で思ったが、楡井は自分の額に手を当てながら反対側の手をオレの額に当ててくる。

    「……!?」
    「熱は……ないみたいですけど……本当に大丈夫ッスか?」
    多分、今顔がいつもより真っ赤になっている気がするーー本当になんなんだよ、これ。

    オレ、どうしちまったんだ?


    第二週
    お題:【ふわふわ】

    最近、楡井に話しかけられたり笑顔を向けられたりすると、なんだか心がふわふわと宙に浮かぶような妙な感覚に陥るし、他人と仲良く話していると胸がギュッと苦しくなる……。
    なんだか、自分が自分でなくなっていくような違和感を感じて……なんだか、怖くなったーー。


    「……はぁ」
    気晴らしに、屋上に来たのはいいが……こんなことを誰に相談すればいいのか、全く検討がつかなかった。

    「あら、桜じゃない、どうしたのため息なんてついて?」
    屋上には先約がいたようだ。
    「……椿野、ちょっと相談したいことがある」
    なりふり構ってられなかったオレは、椿野にそう話を持ちかけた。

    「あら、なにかしら?」
    「最近……知り合いに話しかけられたり笑いかけられたりして心がふわふわと宙に浮かぶような妙な感覚に陥ったり、そいつが他人と仲良くしてるのをみてすげぇモヤモヤしたり……なんだかオレがオレじゃなくなってく感じがして、怖ぇんだ。
    こんなのクラスのヤツらには言えなくて、どうするか……悩んでん、だよ」

    オレがそう言えば、突然ぶるぶると椿野が震え始める。
    「お、おい……どうし「桜ッ!!」
    すると、突然椿野がオレの肩をガシリと強い力で掴む。
    「いつっ!」
    「あ、ご……ごめんなさいね。 ちょっと、興奮しちゃって」
    そう言って、椿野はオレの肩から手を離す。

    「桜、それは恋よ! 間違いないわ!!」
    「は、はぁ……!?」
    椿野の突然の“恋をしている”発言に、オレの恋愛センサーと呼ばれるものが反応する。

    色恋の話に強い椿野が言っているのだ、きっと、間違いない。


    このふわふわもモヤモヤも、全てが恋のせいだというのならーー。

    「オレはアイツのことが、好きーーってことなのか?」

    これが、オレが初めて楡井への恋心に気付いた時、だった。


    第三週①
    お題:【雨音】

    時は六月ーー季節は梅雨に入り、毎日のように雨が降っている。

    ザアザアと降り続ける雨。
    こんな時にも、学校があるのだから面倒だと、教室の外を見ながらオレは物思いにふけっていた。

    『桜……それは、恋よ! 間違いないわ!!』
    椿野との会話で分かったことがある。
    オレは、楡井のことが好きなのだ。

    楡井は……最近オレよりも蘇枋と一緒に居ることが増えた。
    わかっている、蘇枋は楡井の師匠だから……一緒に修行するのは当たり前だ。

    でも、ケンカならオレも教えられるのに楡井は蘇枋を頼った、それが羨ましくて仕方なかった。

    そのことを考えるだけで胸の辺りがモヤついて、自分が本当に嫌になる。
    オレはあの“風鈴の伝説”と言われた男と戦わなければいけないかもしれないのに、こんなことで、悩んでなんていられないのに。

    「桜さん、どうしたんですか?」
    オレの様子に気付いたらしい楡井が、そう話しかけてくる。
    「なんでも、ねぇ……気にすんな」
    そう言ってオレは机に突っ伏した。

    ドッドッっと心臓が煩い。

    緊張しているのか分からないが、最近……楡井と上手く、喋れない。
    だから、いつもよりつきはなした言い方になってしまった。
    駄目だって……分かっているのにーー。

    どうやらーー雨音でも、このオレの高鳴る鼓動はかき消してくれないらしい。




    第三週 ②
    お題:【内緒話】

    桜はとある出来事で楡井のことが好きだということを自覚してから、妙に楡井のことを意識をしてしまうことが増えてしまった。
    「はぁ……」
    こんなの自分らしくはない、とは桜自身もそうは思っているのだが、どうしても2人で会話をするとなると妙に緊張をしてしまい上手く楡井と話すことが出来ない。
    そんな悩みを吐き出せずに、深いため息をついた。

    「……こんなん、誰に話せばいいんだよ。惚れてる奴の目の前にすると上手く話せないなんて話」
    心の中に妙な蟠りが残る。
    桜は、自分以外誰も居ない放課後の教室机に突っ伏しながら、この現状をどうにかしたいと考えていた。

    「ねぇ、桜君……オレで良かったら、相談に乗ろっか?」
    その時、突然後ろから声をかけられ振り返る、そこには今居るはずのない蘇枋が立っていた。
    「おまっ、な……なんで!?」
    「忘れ物があったから取りに戻ってきたんだ、そしたら桜君の大きな独り言が聞こえて、ね」
    「なっ……!?」
    なんということだろうか。
    つまり……蘇枋に「自分が好きな奴がいる」ということがバレてしまったのだ、その事実に桜の顔がブワッと紅潮する。
    「んー、にれ君も桜君のことは好きだとは思うんだけど今は憧れや尊敬を軸にした敬愛である可能性は高いと思うんだよね……」
    確かに、楡井の桜に対する態度は“好き”というよりも“憧れ”が前面に出ている、というのは桜自身も感じていた。

    「ん……?」
    先程の蘇枋の言葉に桜は不意に違和感を感じる。
    桜は先程から楡井の名前を一切口にはしてはいない、しかし……蘇枋は桜の好きな人間が楡井のことであるとさも分かっているような話し方をしているのだ。
    「おい、蘇枋! な、なんで……オレが好きな奴が楡井ってテイになってんだよ……!?」
    「あれ……違ったのかい?」
    そういう蘇枋は微笑みながら桜に問う。
    「ち、違くは……ねーけど、なんで分かったんだよ……」
    「多分こういうことはあまり言うべきではないとは思うんだけど、傍から見れば桜君がにれ君のこと好きだっていうのは……わかりやすいと思うよ」
    だって、桜が楡井のことを見ている時の顔はまるで恋をしています、と言っている
    「……そんなに分かりやすいのか、オレ」
    「それに……最近、なんだかいつもよりも桜君が空回っている気がしたから心配だったんだよね」
    まるで、自分の考えを見透かされているような蘇枋の言葉に桜は困惑する。
    「な……なんで、そんなことまでわかんだよっ!?」
    「君のことを近くで見てきたから、なのかな? だから、桜君のその想いが成就出来るようにオレも手伝いたいと思ったんだ」
    桜と楡井の傍に居たからこそ、蘇枋は不器用な桜の恋路を応援したいという思いに駆られたのだ。

    「なら、オレはどうすればいいと思う?」
    「さっき『にれ君と2人きりだと上手く話せない 』って言ってたこと、だよね?」
    「お、おう……アイツを前にするとなんだかわからねぇけど言葉が出なくなっちまうんだよ、よくわかんねぇけど」
    桜の言うその行動は、自分が相手に好意を持っていることを悟られたくないという所謂“好き避け”という行為似ているように蘇枋は感じられた、それならばやることは簡単だ。
    「……2人きりの時に桜君が話すことが難しいなら逆ににれ君の話を聞いてあげるだけでもいいんじゃないかな?」
    「そんなんで、いいのか?」
    蘇枋の言葉に、桜はそんな簡単なことで自分の悩みが解決するとは思えず困惑した表情を浮かべていた。
    「騙されたと思って実行してみてよ、ね?」
    「お、おう……」
    桜はすこし怪訝そうな顔をしながらも頷いた。

    次の日、楡井の他愛ない話に耳を傾けながら頷く桜の姿を見かけた蘇枋は2人を温かい目で見つめていた。

    「いやぁ、でも……桜ちゃんがにれちゃんへの恋心を自覚して緊張して話せなくなるとは思わなかったよ」
    蘇枋の隣で桐生はそう言いながら苦笑いを浮かべていた。
    「そして、桜君の行動を桜君に嫌われてしまったと勘違いしたにれ君に「オレ、知らない間に桜さんに悪いことしちゃったんでしょうか?」って相談をされて、桜君も悩んでいたみたいだから、ちょっと……ね?」
    「はぁ……本当、すおちゃんって桜ちゃんとにれちゃんのこと、大好きだよね……」
    そう桐生が言えば、蘇枋は「当たり前だよ、オレは2人の友人なんだからね」と言いながら2人のやりとりを見守っていた。







    第四週 (初公開)
    お題:【背中】【心に秘めた愛】

    棪堂さんとの戦いで精神的にも肉体的にも傷付き……それでも、自分よりも強いことが分かっている棪堂さんに立ち向かっていく桜さんのそんな後ろ姿に、オレは心配しつつも強く惹かれてしまっていた。

    彼のことを守りたい、ずっと彼のそばに居たいーー愛おしいと思う。
    これはきっと、友達では抱かない感情だと思う。
    でも、オレがずっと抱いていたこの思いは桜さんへの友情や憧れだけでは無かったことを、今更ながらーー自覚した。


    桜さんは、オレのことをどう思っているのだろう?
    友達……一番最初の舎弟……?

    それともーー。



    「おい、楡井……どうしたんだ?」

    まこち町防衛戦……別名国崩大火が収束し、数日後のことだ。
    その防衛戦まこち町の被害は大変なことになっており、風鈴の皆はその後片付けをしている最中であり、オレは桜さんと一緒にその手伝いをしていた。

    「なっ、なんでもありませんよ」
    「……本当か?」

    そう、不安そうに顔を覗き込まれれば……なんだか恥ずかしくなって目を逸らしてしまった。

    「わ、わりぃ……」
    「あの、こちらもすみません……でした」

    なんだか、桜さんは勘違いをしてしまったらしい、オレも慌てて謝罪をした。




    きっと、この想いは伝えてはいけない。
    伝えてしまったら、きっと今までの桜さんとの関係が崩れてしまう。

    だからこの想いはオレの心の中に留めておくべきなのだ。
    きっと、桜さんがオレのことを好きだなんてことはーー有り得ないはずだから。
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