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    まり/万里

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    まり/万里

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    マッサージする💄🤐
    致してないけど、ほんのり性的です……

    #アバブ
    abab
    #アバブチャ
    ababucha

    「肩が凝っているのか?」

    バスローブを羽織って出てきたブチャラティは、シャワー後だというのにさっぱりしない顔で肩を回している。

    「あぁ……熱いシャワーを浴びれば少しはマシになると思ったんだがな……」

    渋い顔で答えながら首を左や右に曲げ伸ばしするブチャラティの表情は暗い。難儀な事件が起きて、さらに面倒なことにデスクワークも山ほどあった。チームのリーダーである彼はここ最近、アジトの書斎に籠りきりで、今夜は3日ぶりに家に帰ることができた日なのだ。無理もない。

    「マッサージ、してやろうか?」

    ブチャラティがあまりにも疲弊して見えたので、アバッキオは思わず声をかける。

    「いいのか?……助かる」

    嬉しい提案にブチャラティの顔が綻ぶ。
    その表情を見てアバッキオは立ち上がり、チェストからまだ使っていないバスタオルを取り出してきて、ベッドの上に広げた。

    「そのバスローブを脱いで、ここに横になってくれ」

    随分本格的だな、と呟いてブチャラティがバスローブを床に放り、ぽすんとベッドの上にうつ伏せに寝そべる。床に服を投げるなよ……とアバッキオは苦笑したが、今日のところは仕事熱心な恋人に免じて黙って拾ってやった。

    「どの辺がつらい?」
    「肩と……それから背中や腰も凝ってるかな……」

    まず肩に手を置いてみる。なるほど、確かにガチガチに固まっている。置いた両手の指先にほんの少し力を加えただけで、ブチャラティはくぐもった声を出した。これは結構な重症だな、とアバッキオは内心思う。

    「ちょうど、あんたに使おうと思って買ったものがあったんだ」
    「なんだ?」

    伏せた顔を持ち上げたブチャラティにアバッキオが右手で持って見せたのは、ボディオイルだった。重厚なガラス瓶の中に、ゴールドのラメがふんだんに入ったオイルが閉じ込められており、アバッキオが少し手首を揺らすと水面のようにゆらゆらと黄金色が揺れて美しい。

    「綺麗だな。……これを俺に?」
    「アンタ、シャワー浴びた後ボディクリームまったく塗らねぇから買ってみた」

    ちょうどよかったな、と言いながらアバッキオが蓋を開け瓶を傾ける。とろみのあるテクスチャのオイルがアバッキオの手のひらに溜まる。

    「肩から始めるぜ」

    ブチャラティの腰を跨ぎ、伏せた彼に馬乗りの体勢になったアバッキオが、オイルをブチャラティの肩に広げ指先に力を込める。手のひらで包むようにしながら肌の奥をこねるように指で押していくとブチャラティが小さく声を上げた。

    「あぁっ……いい……」

    腕の付け根から首まで、ブチャラティの反応を見ながら痛くはない気持ちいい程度の強さを探り、力を込めていく。その間も何度かボディオイルを足し、彼の肌を摩擦で傷つけてしまわないように注意しながら、柔らかく揉む。ブチャラティの肌の下の筋肉にきちんと刺激が加わるように、アバッキオは丹念に手を動かした。

    こわばっていた肩から緊張が抜けてきた頃合いで、アバッキオは今度は背中にもオイルを塗り広げる。ブチャラティの均整のとれた美しい背中に黄金の艶が広がる。
    ブチャラティの少し日に焼けた肌にのせた微細なラメは、ベッドサイドランプの光と彼の微かな息遣いで角度を変えるたびにツヤツヤと煌めき、彼の小麦色の肌の美しさを底上げし、ただでさえ美しい後ろ姿をさらに輝かせている。その様はまるで太陽に照らされた夏の砂浜のようだった。

    背中をマッサージする手を緩めることはできないので、アバッキオは心のうちでガッツポーズをした。

    (買ってよかった……ッ!)

    コスメカウンターに立ち寄った際に目にして、これをブチャラティの肌の上にのせたらどんなに映えるだろうと考えて思わず買ってしまったものだが大正解だった。見た目の美しさもさることながら、軽やかでしっとりとして滑りもよい。
    ……いい買い物をした。

    「んっ……このオイル、いいな……香りもいい……」
    「……! そうだな」

    思考を見透かされたかのような投げかけにアバッキオは少しぶっきらぼうに返答した。うつ伏せになったブチャラティの表情は見えないが、脱力した体から彼の疲れが取れてきているのがわかる。
    指の腹で押すようにしながら背中から腰にかけてを揉みほぐすとブチャラティがはぁ……とため息を漏らす。

    「気持ちいい…… アバッキオ、上手だな」

    色情ののった蕩けるような声。ほんの少し振り向いてこちらを向いた瞳と目が合う。先ほどまでの憂いは消え、ブチャラティの表情は柔らかい。日中に見せる鋭いまなざしは鳴りをひそめ、ブチャラティの青い瞳はただとろんとした甘さでアバッキオを見つめていた。

    「マッサージありがとう、アバッキオ」

    ずいぶん良くなった、と言いながらブチャラティが体をよじり背を向けていた体勢を変える。アバッキオは裸のブチャラティと至近距離で向きあう状態になった。

    「……だが、まだちょっと物足りないな」

    ブチャラティは視線を外さぬままアバッキオの右手を掴み、ラメがついたままのアバッキオの指先を唇に引き寄せ柔く喰んだ。その扇状的な姿に、アバッキオは息をするのも忘れてブチャラティを見つめる。

    「まだ……ここも、ここも、ここも……マッサージしてもらってねぇし……」

    唇で咥えた指先をそっと放し、ブチャラティは決して視線は外さぬまま、掴んだ右手で首の表面をなぞらせ下に向かわせる。アバッキオの右手はふっくらとした胸の突起をかすめ、しなやかな曲線を描くくびれのラインを緩慢になぞった後、ブチャラティの太ももにたどり着く。
    腰をわずかに持ち上げたブチャラティは、尻のあわいにアバッキオを誘う。アバッキオの右手は太ももの内側をなぞり、指先にブチャラティの秘所が触れた。ふにゅりと窄まった感触にアバッキオはハッとする。

    ───準備しておいたんだ
    ブチャラティがアバッキオにそっと伝える。
    2人しかいない部屋の中で秘密の告白のように小声で耳打ちされ、そんな蠱惑的な仕草にアバッキオはたやすく劣情を煽られる。熱を分け合うように瞳がかち合い、瞬きすらも惜しいというように見つめ合う。
    口火を切ったのは、ブチャラティだった。

    「ここの奥も……マッサージしてくれるんだろ?」

    口の端を歪めて、ふふ……と誘うように笑うブチャラティにアバッキオはたまらずキスをする。
    舌を絡めながら、アバッキオはブチャラティの肌にまたオイルを塗り広げた。今度は彼の緊張をほぐすためではなく、欲望を煽る意図を持って───

    シーツの上でふたつの影がひとつになる。
    鼻をくすぐるバニラとサンダルウッドの官能的な甘い香り。ブチャラティの全身が艶めくころには、アバッキオの肌も同じようにゴールドの煌めきで包まれていた。
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