カケルがゲッチュできなかった世界の話『序章』
14年前サルによる世界征服は完了した
世界中の都市はサルに占領され人間の姿は一切存在しなくなった
全てのサルたちを治めるのは白い猿「スペクター」
彼は「カケル」と名付けたAIに毎日昔に話したような会話を永遠に続ける
『サルの王国』
サルたちの中で城内を自由に行動できる者がいた
彼は唯一人間の姿で残されスペクターの側近であった
その彼にも入ることが許されない部屋が存在する
時折部屋の中でスペクターが誰かと話しているような声が聞こえる
その言葉を彼だけが理解できた
彼にとってその話し相手を察することは容易であった
しばらく経って部屋から出てきたスペクターは崇高なる支配者の顔ではなくどこか懐かしく楽しそうな表情のようだった
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