いつか赤葦side
「はぁ、。赤葦さんって毎日こんな野生動物みたいな人たちと自主練してるんですか」
自主練終わりで荷物を片している時だった。
ポロっとこぼれた野生動物がおかしくて、笑ってしまいそうだ。
「毎日ってわけじゃぁないよ。木兎さんは、部活がない日も誘ってくるけどね」
「うわぁ、マジですか」
「マジだよ」
心底いやそうな顔をしてくる月島が面白くてつい笑ってしまう。まぁでも去年の夏合宿で木兎さんと黒尾さんに挟まれたときは俺だってあんな顔してたかもしれない。
「でも、月島だっていやだったら来てないでしょ。前みたいに断ることだってできるじゃん」
「ま、まぁ、そうなんですけど」
「何か来たい理由があるんだ?」
「う、」
ためらってるということは、やっぱり何かあるはず。どうせあの、野生動物?な主将たちに言ってもわかってくれないだろうから言ってない、とかそういったところだろう。
「こ、ここだけの話ですからね」
「もちろん」
「僕、好きなんですよ、黒尾さんのことが」
「っ、ま、マジで?」
「あ…。」
月島もそうだったの⁈
そう思ったがゆえに発した言葉のせいか、どんどん顔が青白くなっていくのがわかる。
『同性のことが好きなんて気持ち悪い』みたいなことを思っているとかそういった誤解を与えてしまっているかもしれない。
「えっと、ごめん。なんか、誤解与えてる気がする。ここだけの話だよ、、俺も木兎さん好き」
「ま、マジですか⁈」
「ちょっ、月島⁈ し~ 」
「あ、ごめんなさい」
いやまぁ、こっち側だって驚いたんだけどさ、めっちゃ驚くね。
確かに、こんな近くに同性が好きな人がいるとか、俺も思わなかったけどさ。
「え、気持ちって伝えるつもりあります?」
「ないよ」
「そう、ですよね」
ここだけははっきり言える。
木兎さんのこと大好きだし、いや、だからこそ、自分のものになってほしくない。
自分の恋人になってほしいとそう思わないわけでもないが、こんなにかっこいいエースは世界に羽ばたいていくのがいいのではないか、そう思う。
「でも、月島は、伝えてみてもいいんじゃないの」
「え…、赤葦さんは伝えないのに僕には伝えた方がいいっていうのは…、何かあるんですね?」
「月島は鋭いなぁ~」
「で、その理由は何ですか?」
ん~、これは、言った方がいいのだろうか…?
隠していたい気持ちはやまやまなんだけどさ、
月島の圧がすごいんだよね…、
「僕が独占するのは違うんだよ。あくまで、木兎さんはみんなのエースでヒーローだから」
「…、でもそれを言っている時点で赤葦さんは独占する気なんてないんでしょう?」
「えっ…」
「付き合うっていうのは独占するってことじゃないと僕は思います。仮に赤葦さんが木兎さんと付き合ったとして、木兎さんのこと部活からやめさせたりとかします?」
「絶対しない」
「それが即答できるなら、大丈夫だと僕は思いますよ?
あ、偉そうなこと言ってすみません」
月島のいうことは、正しすぎる。
この気持ちを言葉にしたときに相手との関係が壊れるのも嫌なのだが、それだけじゃなかった俺の心が整理されていくのを感じる
きっと、木兎さんなら言うんだろう
『当たって砕けろ』
って。
「…月島、」
「はい?」
「ありがとう」
「…!いえ、」
僕もいつか、
彼に気持ちを伝えられたら、な