九尾の日和と人の子ジュンと白虎の燐音ここ数日、日和の様子がおかしい。
いや、おかしいといっても自生しているハーブから作ったお茶はよく飲むし、たくさん採れた木の実でつくったパイも、どこに入るのかと疑問に思うほどには食べるので病の類ではない。ただ、ジュンの話を殆ど聞いていなかったり・・・というのは都合が悪いといつもだが、ぼーっとする時間が長かったり、かと思えばウザいくらいに騒いでいたりする。
何かあったんだろうなと想像はつくものの、もう何年も日和の選び与えるものだけを世界だと思っていたジュンにはその"なにか"についての想像が及ばない。
不安だ。時折「お仕事だね」と出掛けてしまう日和にはきっと自分の知らない日和の世界がある。そこで何かあったのか?と思わなくもないが、以前、会合とやらで嫌なことがあったらしい日には家が壊れるのではないかと思うほどの騒音をたてながら怒り、最終的には「悪い日和」とジュンの腹回りでめそめそ泣いていたのでたぶんちがう。怒りも泣きもしていないから。
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