いかせてない設定たち
人魚はいるけど超絶レアで、密猟者とかいるから人魚は人間を嫌ってる。
人間の方も人魚が存在することはしってるけど実際目にしたことのある人はほとんど居ない。
けど過去に交流のあった人間たちの証言から何となくの情報はある。
三ツ谷は昔見た人魚が忘れられなくて研究者になった。
大寿と出会って存在を公表するのは危険だと思い誰にも言っていない。
大寿はシャチベースの人魚なので性器の作りが人間とほぼ同じ。ただ両性具有り。
スリットに収めてるから両方小さい。
人魚は繁殖期でない限り孕まない。
人魚の繁殖期は50年単位で魚やベースとなるイキモノとは異なる。あまり知られていない。
人魚は陸上でも鱗が乾かない限り活動できる。鱗が乾くと普通に怪我状態。時間が経てば治る。刃物で切り落とされたりしたら無理。
大寿はいつもの浅瀬で三ツ谷を待っていた。
今日は遅いなと、尾びれを揺らしてちゃぽんと一輪の波を立てる。人魚の尾びれと気づいたのだろう。わらわらと小魚が集まってきた。子供だろうか。きゃらこゃらと大寿の鱗に戯れる小魚を眺めながら、三ツ谷が来たら海に落として脅かしてやろうなんて考える。人魚の研究者の癖に確かカナヅチだとか言っていた。きっと間抜けな顔をして俺に抱きついてくる。でも今日は何だか三ツ谷の熱い体温を抱きしめたい気分だ。あのノロマめ。早く来いよ。
突然、首筋に鋭いなにかが刺さった。振り向くより前に体から力が抜けていく。
大寿の体が水に沈む前に誰かに腕を掴まれてそのまま陸へと引き上げられた。
「引きずるな。鱗が傷つく」
「すみません」
「凄い。ほんとに人魚だ」
「誰か真ん中持て」
「はい」
靄がかっていく視界の縁で、大嫌いな密猟者と同じ靴を履いた白衣達を見た。
──────
目を覚ますと大寿は硬い板の上にいた。口には猿轡。上半身、尾びれはベルトのようなもので固定されている。鱗には乾かないようにする為かベトベトした何かが塗られていた。
顔を動かすと周りは白衣をきた男達に取り囲まれていて、そこに三ツ谷の顔はなかった。
何をされるのか検討はつかない。それでも良くない状況だというのは分かる。
「……はシャチ…」「それは…だ…」「ほにゅうるい」「…せい…」「…りょうせい…ますね…」
頭上で交わされる会話が上手く聞き取れない。
まだはっきりしない頭で、せめて何をされるか把握しようと大寿は白衣達の動向を睨みつける。
手袋をした男がヌメリのある液体を大寿の腹の下、鱗の少ないところに垂らした。
そこに2人の男が加わってそれを塗り広げるようにして大寿の柔らかい尾びれをまさぐりだす。
「ーーーーっ!!!」
その手が何を探しているのか理解した大寿が目一杯身を捻った。だか、それは拘束具を軋ませるだけで終わる。
「教授。ありました。」
「っ!!」
1人の男が大寿のスリット─性器を探り当てる。自分でもあまり触ることの無いそこを無遠慮に撫でられ、嫌悪感が振り切れた。
バキッと音を立てて尾びれのベルトが外れる。大寿は周りの男達を追い払うように左右に大きく振り回した。しかしそれも腰に打たれた注射によって止められてしまう。
力の入らなくなった尾びれを3人がかりで持ち上げられ、新たなベルトで固定される。
いっそ感覚ごと消えてくれれば良かったのに、都合のいい薬を打たれて尾びれは大寿の意思では動かせないのに触覚だけ残っているようだった。またあのヌメヌメした液体をかけられる。1人の男によって大寿の秘められていた女性器にあたる部分は左右に開いて中を晒された。
おおお。と研究者たちから歓声があがる。誰一人として見たことがなかった人魚の体が暴かれたからだ。人と同じような形状をしたそこは大寿の怯えを反映したように液も垂らさず震えていた。
教授と呼ばれた男が近くにペニスがあるはずだ、そちらを先に刺激しろと指示をだし、近くの白衣がスリットの上部から指を入れた。
「んンンっ!」
入ってきた人間の指は太く、大寿の中はいっぱいになって外へとペニスを逃がす。
「!」
無理やりに近いペニスの呈出は軽い痛みを伴った。ペニスをさらけ出され秘部を開かれた状態でバシャバシャとフラッシュがたかれる。強い光が目に痛くて大寿の目から涙か零れた。それさえも、人魚の涙だ、研究対象だと興奮した白衣に採取されてしまったが。
優しく拭ってくれた三ツ谷のことを思い出してまた泣きそうになる。
白衣達はまず男性器から調べるなんて言って、大寿のペニスの愛撫を始めた。
「、っんっンっ」
そこを他人に触られたことの無い大寿は初めての予測できない刺激に振り回される。裏を辿られたかと思うと尿道口をぐりぐりされたり、一旦放置されるかと思いきや冷たい液体をを追加されたり。他人に触られるなんて気持ち悪いのに悲しいかな大寿の気持ちとは裏腹にペニスは与えられた快楽に溺れていく。
「1度射精させよう」
誰かがそう言って、ペニスに触れる動きが早くなる。
「っ、…!…ッ……、っ」
腹の底に溜まった熱が大寿の意志とは別にせり上がって、止められない。
「っ、!っ、!、…ぅぅ…」
白衣達の用意したパレットの上に吐き出してしまった。
白衣たちは喜んで顕微鏡だなんだと騒がしい。
惨めだ、消えてしまいたい。三ツ谷に会いたい。いつもみたいに優しく抱きしめて欲しい。海に帰りたい。
「さて、次だ」
「んぅうう゛っ!!!」
突然女性器に冷たい何かを突き立てられ大寿は現実へと戻される。
金属の筒の様な何かは大寿の慎ましい秘部をこじ開けた。
「んんッ!ん!ぅぅ」
痛みに大寿が大きく唸る。だが、白衣達はまたバシャとカメラで撮るだけで痛みについてはなにもしてくれなかった。
「見た目は人間とほぼ同じようですね」
「だが1度射精させたおかげか最初よりは濡れているな」
もっと奥まで見れるだろう。と教授が言い、白衣達が何か細いものを持ち出した。
「ッ!!!!!」
つんつんと細い金属の棒で啄かれたそこは、愛した人にしか触れることを許さない場所。つまりは子宮口だった。
恐怖と痛みと絶望で大寿は背を仰け反らせた。だが、肩を抑え込まれ何事も無かったように触診はつづけられる。
「…ッ!…゛!!…゛!!っ」
「おおきく収縮しますね」
「そうだな。中にもいれるか」
最悪な言葉が聞こえてきた。
大寿はもう奥歯を噛み締めるしかなかった。
秘部をこじ開けていた筒が抜かれる。だが、無理やり開かれたそこはもうピッタリと閉じることは出来なかった。
白衣の中の中肉中背の若い男が大寿の乗せられた台に乗り上がり、前をくつろげた。グロテスクな肉は赤黒く、これから何をされるかなんて分かりきっていて、大寿はただ目を瞑って三ツ谷のことを思い出していた。
「っ、、、…。」
男が手袋もなしに大寿のなかに指を入れた。そして指を開いてローションを追加するとぐぷぐぷと粘ついた音をたてながら肉を解す。
気持ち悪い。気持ち悪い。でていってくれ。
どれだけ三ツ谷を思い浮かべようと、聞こえてくる声も触る手つきも優しくない。似もしない。研究対象を触る手つきだ。大寿の気持ちなんて頭にない。
暗闇の中、三ツ谷では無い事実を突きつけられるのが辛くて大寿は目を開いた。男の指が大寿から出ていき、醜い切先が大寿の入口へと近ずいてくる。ピタリと肌に触れるそれが気色悪くて仕方なかった。
「…ん、、…ぅうう…」
あつく醜いものが体の中に入ってくる。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。痛い痛い痛いいたい。めりめりと音がした。くるしい。気持ちが悪い。
人間の熱すぎる肉が大寿の中を割り開く。熱い、痛い。やめろ。
「…゛、、……」
「…あぁいいっ」
醜い人間が大寿の上で歓喜の声を出す。人魚の、人間より冷たい体温と人魚の柔らかさと処女らしく引き締まった肉はそう味わえない、所謂名器だった。
「……、…っ…っ」
早く終わってしまえ。
大寿はそれしか考えなかった。中を暴れ回る醜い肉の脈動だとか自身を覆う男の息遣いだとか、全て、感じたくなかった。
「前もいじってやった方がいいのでは?」
誰かが余計なことをいった。
跨る男が大寿のペニスへと手を伸ばし、上下に扱いた。
「っ、!っ…っ、」
無視出来ない刺激に声が漏れた。一緒に気持ちよくなろう、なんて、勘違いした男が大寿に囁く。余計なお世話だ。こんな気持ち悪いこと早く終わらせてくれ。大寿はなにも感じたくないのに。
「っ、んつ、んっ」
体が揺さぶられ吐き出す息にリズムがつく。ペニスへの刺激に体がふるえ、連動するように中を締め付ける。それを勘違い男が「良い」なんて言葉にするのが堪らなく吐き気がした。
「っ、…んん…っん」
「は、っは、そろそろ、でますっ」
男の息が早くなる。中のものが1層大きくなって、また、呼吸がしづらくなった。あ、中に出される。それに気づいた時、どうしようもなく涙が溢れた。
三ツ谷、みつや、みつやみつや
「っは、っーーー」
「゛んん゛ッーー」
腹の中に熱過ぎる液体がぶちまけられる。
しにたい。
そう思った時には、大寿の意識は飛んでいた。
──────
「…た…、…くん。たいじゅくん。」
暖かい。
聞きたかった声が聞こえる。
……水の中だ。
大寿はゆっくりと目を開けた。見慣れない景色。どこかの施設だろうか。三ツ谷の呼ぶ声が聞こえて、水を蹴ろうとして、尾びれに響いた痛みにあれが夢ではないことを知らされた。
あぁ、三ツ谷。だきしめてくれ。そうすれば、なにかまだおれは綺麗になれる気がする。
痛む鰭を無視して大寿は水面へとあがった。
「大寿くん!」
「…みつや」
大寿が見えた瞬間に濡れるのも構わず三ツ谷が抱きついてきた。三ツ谷の服のいろが変わっていく。それに、なんだか凄く安心して、大寿も三ツ谷に腕を回した。
「大寿くん。ごめん。ごめん。」
繰り返し謝る三ツ谷に、何をされたか知っているのだなと、少し失望する。
「みつや、もっと、つよく」
言わずとも、三ツ谷が痛いくらいに抱きしめてくれた。触れた肌が熱い。腕の巻つけられた肋が痛い。これで全て塗り替えれたらよかったのに。
「なぁ、キスしてくれよ」
大寿がそう言うと三ツ谷は目を見開いた。あんなことがあったから、もう、全て嫌がると思っていたのだろう。
瞼を伏せた大寿にそっと唇を寄せた。冷たく濡れたそこを三ツ谷の熱い舌が舐め、大寿が口を開いて受け入れた。熱い舌と冷たい舌が絡み合う。体温を分け合うように何度も角度を変えた。大寿の顔が赤くなり、茹だる前に三ツ谷が顔を離した。どちらの温度ともならなかった銀糸が水面に落ちていく。
心地いい。ぬるま湯のような、大寿には少し高いはずの温度も三ツ谷と分け合ったと思えば極上だった。
「大寿くん。海に帰ろう。」
「…できるのか?」
「うん。大寿くんのことを書いた研究書も全部燃やした。昨日のことを知ってるやつはちゃんといなくなったから。」
「そう、か、」
お前が知っているなら意味が無い。それは口にはださなかった。
「おまえは、?」
「三ツ谷はそばに居てくれるか?」
「…」
三ツ谷は頭を振った。
「内陸にいくよ。もう、人魚は居ないって発表しなきゃ」