吐き出した花を見て、真っ先に思い浮かんだのは綺麗な黄色い髪の女の子じゃなく、螺旋を浮かべ何処までも真っ直ぐに先を見つめるおっかないあの人だった。
「いい加減にしろ。お前がその呪いに罹って既にふた月経った。花吐き病の余命は魔力量に左右されるが長くても三ヶ月。…本来、一線魔道師程度の魔力量しかないお前はそろそろ限界の筈だ。もういつ花に殺されてもおかしくない」
「……言いません」
「言え、ドット」
だって、言ったって。あんたはきっと応えてくれないじゃないか。そしたら、自分のせいで呪解出来なかったって。そんなこと思ってほしくない。言ったら、オーターさんにオレを見殺しにして下さいって言ってる様なもんだ。恋心との無理心中。タチの悪い自殺。そんなもんにこれ以上オーターさんを巻き込みたくなんてない。
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