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    han_hanmo

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    いずみさんがぬうくんを取りたくてウジウジする小話

     暇を持て余して歩いている時、「彼」を見つけた。
    「…うそ。もう期間終わってたんじゃないの?」
     黄金色に近いふわふわ毛並みの髪、大きくぱっちりと開かれた瞳は綺麗な緑色。彼のチャームポイントと言われている青い縁取りの眼鏡によって、彼の綺麗な二重がほんの少し遮られている。
    「相変わらずこの眼鏡、チョ〜邪魔なんだけどぉ…」
     こんな野暮ったい眼鏡なんて捨てて、ゆうくんの綺麗な顔をもっと出せば良いのに、と思うが、あの綺麗な顔を巡る、数々の大人たちの"たくらみ"のせいで、ゆうくんの心が砕けてしまったことを俺は知っている。俺はこの性格だからそうなることはなかったけど、だからこそ守ってあげるべきだったのだと今でも思っている。一度はモデル業から離れた遊木真くんも、今は少しずつ復帰しているようだ。いつかまた、二人で撮影に入る日が来るのだろうかと思うと、楽しみで仕方がない。が、ゆうくんの本業は俺と同じアイドルであり、彼はTrickstarの一員だ。今、俺が立っている目の前にはクレーンゲームがある。中に横たわっている"ぬいぐるみ"があるのだが、なんとTrickstarのユニット衣装を身につけている。以前から考えていた。俺は生身のゆうくんがこの世で一番愛しいけど、彼を模したぬいぐるみがあるなら、一度は手にしてみたいと。もちろん、何度でも繰り返すが、俺が一番好きなのは生身のゆうくんには変わりない。たくさんの愛らしいゆうくんのぬいぐるみに囲まれたって、俺の心は満たされない。なにやら後ろの方でこそこそと噂をしている声の方を睨みつける。まだ昼の日中だというのに、女子高生だ。俺が睨みつけていると「え、なにあの人こっわ…」「あそこにあるトリスタぬい、ガン見してるw」などとよくもまあそんなに人のことをジロジロと観察してコメントをするものだ。女子高生たちがコソコソと話す会話が聞こえて尚更イライラして舌打ちをする。しかし、ここで問題を起こすわけにはいかない。瀬名泉はフィレンツェに帰っている、という建前で日本に滞在しているのだから。イライラを抑えるように目を閉じて一度深呼吸する。まあ深呼吸したからといって収まる怒りではないのだが、気を取り直してクレーンゲームの中で横たわったゆうくんのぬいぐるみを見つめる。春ごろに期間限定で発売されて、丁度その頃はまだフィレンツェに住み始めた頃だったため手に入れることができなかった。上を見ると期間延長!と手で書かれたであろう安っぽい紙が貼られている。俺のゆうくんの目の前にこんなペラッペラな紙を貼ってんじゃないよ、と思いながらベリッと勢いよく剥がしてクシャクシャにしてバッグに突っ込み、入れ替わりで財布を取り出す。小銭を確認して、500円をクレーンゲームに入れる。500円でチャレンジできる回数は6回。本来であれば5回だが、おまけで1回多くなっている。これから大切な"fotografia"がある…そんな心持ちでクレーンの行先を決める、怒りの勢いで折れてしまいそうな頼りない小さなレバーを掴んで、可愛らしい『ぬうくん』の救助に挑んだ。
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    han_hanmo

    MOURNING深夜のお遊びで考えた学園パロ
    (泉と真、アイドルの面影はなし)
    (……暑い…)
     天高く上っている太陽の光が頭上から降り注ぐ。
     ジリジリと頭から焼かれていく感覚に、全身が燃え尽くされていくようだ。暑さによって、思考ごとドロドロに溶かされてゆく。陽の光を銀の癖毛がギラギラと反射している。少年の体がぐらりと傾きかけたとき、少年から遠く離れた前方から、銀髪の少年の名前を大きく呼ぶ声が聞こえる。
    『いずみおにぃ〜ちゃあ〜ん!』
     少年がその声にハッとして、手放しかけた意識を無理やり浮上させる。視界がボヤけている上に、やや暗くなってきているが、弟のように可愛がっている彼に弱さを見せるわけにはいかない、と一度深く深呼吸をして嫌な冷や汗を拭った。
    『はぁっはぁ…っ!ふぅ…ふぅ…!』
     遠くから急いで走ってきただろう少年が、その小さい肺で大きく息を吸ったり吐いたりしながら、さらさらの亜麻色の髪を揺らす。彼の髪は真夏の太陽に照らされて黄金色に輝いている。顔をあげた少年は、ほんの少し青い顔色をしている銀髪の少年とは異なり、健康的な肌色でほんのりと赤く色づいていている。銀髪の少年の様子を確認するかのように、大きな瞳が瞬く。綺麗な新緑色の瞳だ。銀髪の少年に向けて、にかり 2531

    han_hanmo

    TIREDいずみさんがぬうくんを取りたくてウジウジする小話 暇を持て余して歩いている時、「彼」を見つけた。
    「…うそ。もう期間終わってたんじゃないの?」
     黄金色に近いふわふわ毛並みの髪、大きくぱっちりと開かれた瞳は綺麗な緑色。彼のチャームポイントと言われている青い縁取りの眼鏡によって、彼の綺麗な二重がほんの少し遮られている。
    「相変わらずこの眼鏡、チョ〜邪魔なんだけどぉ…」
     こんな野暮ったい眼鏡なんて捨てて、ゆうくんの綺麗な顔をもっと出せば良いのに、と思うが、あの綺麗な顔を巡る、数々の大人たちの"たくらみ"のせいで、ゆうくんの心が砕けてしまったことを俺は知っている。俺はこの性格だからそうなることはなかったけど、だからこそ守ってあげるべきだったのだと今でも思っている。一度はモデル業から離れた遊木真くんも、今は少しずつ復帰しているようだ。いつかまた、二人で撮影に入る日が来るのだろうかと思うと、楽しみで仕方がない。が、ゆうくんの本業は俺と同じアイドルであり、彼はTrickstarの一員だ。今、俺が立っている目の前にはクレーンゲームがある。中に横たわっている"ぬいぐるみ"があるのだが、なんとTrickstarのユニット衣装を身につけている。以前か 1280