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    kikhimeqmoq

    はらす

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    kikhimeqmoq

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    マヨとイガ。中二と中一とか。付き合っている。左右なし。
    練習がない日に二人でミサイルの散歩をしていたら可愛いなと思って、キスをする話を書いた。

    #マヨ
    mayo

    月が綺麗ですねいつもの場所でミサイルは足を止めた。立ち止まったまま、辺りの草を鼻で弄るミサイルのリードをいつも通りに木にくくる。
    リードは手放したが、反対側の手は離さない。手を繋いだまま、ふたりで土手を降りていく。自分がよろけると、真夜さんが二の腕を掴んで支えてくれた。正直なところ、掴まれた箇所が少しだけ痛かったのだけど、これはこの人が焦って手を差し出したからだと分かっている。咄嗟の判断で手加減できる人ではないところが好きだなと思ったが、黙っていた。伝えたら、二人とも照れ隠しで走り出してスカイツリーまで行ってしまう気がする。
    手を繋ぎ直し、橋の下まで歩いた。わざわざ手を繋ぎ直したのはちょっと恥ずかしかったかな、とか、ミサイルがこの場所で待たされることが分かっているのって結構恥ずかしいな、とか思いながらいつもの場所にたどり着いた。
    座っても大丈夫なブロックがあるから、散歩の途中でここに立ち寄る。座ってもいいんだけど、今日は立ったまま背に腕を回した。そう、座ってもいいからとか、つい神様に言い訳しちゃうけど、橋の下なら抱き合っても何をしても、バレないからここにくるのに。なんで言い訳したくなるんだろう。誰にも言わない二人の秘密だから、神様にしか分からないのに。
    「んっっふふっ」
    カツっという歯がぶつかる音がして、真夜さんが笑った。唇はくっついているから、口端から音が漏れてくすぐったい。自分も笑いそうになって、今度は唇を噛みそうになった。あっぶない……。
    人目を避けたこの場所でキスするようになってはや一月。キス自体はもっと前からしているのに、オレたちは一向に上達しない。上手いキスが何かはここで説明できないけれど、ムードとか作るもんじゃないのかな。少なくとも歯を歯をぶつけたりしないはず。たぶん、がっつきすぎなんだと思う。どちらが、とかじゃなくてお互いに。
    「んっ……ふ……」
    ぴったりと唇を合わせると、どちらともなく鼻から甘ったるい息が漏れた。背中に添えられていた彼の腕が静かに動き、オレの頭をそっと支えた。キスの時はこうしていつも頭を支えてくれる。大きくて硬い手が好きだった。ちょっとだけ、この人が握るボールの気持ちになれる。
    ちゅる……。
    ゆっくりと彼の舌が入ってきた。迎え入れてねっとり絡めて、ってするらしい。けど、実はよく分からない。だって、自分の中に入ってきた真夜さんの一部と自分の一部を重ね合わせるだけでいっぱいいっぱいになる。緊張も、気持ちも、体の方も。
    真夜さんは、あたたかくて、ぬるっとしていて、柔らかかった。柔らかいって気持ちいいんだなって感じると、すごくドキドキして、それ以上なにも考えられなくなる。どきどきどきどき、自分の鼓動がうるさくなって、頭を支える真夜さんの手が熱くなって、時間も上下も分からなくなったところで、真夜さんは頭から手を離す。同時に唇も離れる。唇に感じる、すうっとした空気で頭が冷える。落ち着くのが、さみしいような、安心なような、不思議な気分。
    終わった時に、真夜さんが手の甲で唇を拭く仕草が好きだった。気取ったりしないで、いつも自然なままでいるのが好きなんだなって思えるから。
    今日はいつもより真夜さんの顔がよく見える。自分がじろじろ眺めすぎなのかと思ったけれど、よく見たら辺り一帯が明るく、河原の草と石までよく見えた。月が出ているとこんなに明るいものなんだ。
    太陽とは違う光の下で見る真夜さんの顔は少しだけ白く、目は黒でも茶色でもなく月夜の夜空のような紺色だった。こういう時に「月が綺麗ですね」と言ったら、この人はなんて言うんだろう?
    「月、すごいな」
    真夜さんは何気なく呟いた。ずれたことを考えていたオレは急に現実に引き戻される。
    「え?あ?はい?」
    「見えないのか?」
    「見えます見えます見えます」
    月みたいに綺麗な人が見えますとは言えなくて、代わりにそっと彼の手を握った。きゅっと握り返された圧に気持ちが上がる。やっぱり好きだな。
    「帰るか」
    彼は俺のひたいに軽く口を寄せ、土手に向かって手を引いた。チュッという音はしなかったけど、すごく柔らかかった気がした。

    さあ、ミサイルのところに戻らないと。


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    kikhimeqmoq

    DONE桐智 2025/09/29

    大学生。付き合っていない桐智が付き合いだす。学校は違いますが、ふたりとも野球をしています。ふたりで花火を見に行って、付き合い始める話。前半が桐島視点で、後半が智将視点です。
    来年もまだこの手を握っているんだろうか東京に来る前からずっと気になっていた男がいる。上手いだけではなく、曲者で、状況の隅から隅まで考えて野球をするやつだ。一緒に野球をしたら面白いやろうな。記録映像で感じた直感はその後も裏切られず、高校の練習試合でも、甲子園をかけた試合でも変わらなかった。変わらないどころか強まるばかりだ。だのに、そいつとは結局、大学生の今に至るまで同じチームになることはなかった。
    選手としての関心はいつしか個人としての関心となり、先輩後輩なので友達というのは変なのだけど、なんらかのツレになりたい気持ちが抑えられず、結果的に暇があれば連絡をして外に連れ出すようになった。野球関係なく繋がりたいといっても、結局は野球馬鹿二人がやることといえば野球くらいしかなく、出かける先といえば観戦観戦バッセン筋トレ分析会となるのが殆どだった。ついでに飯を食って帰るのが定番だ。まあなんだ。他のことをしようとしたって、例えば、そう、水族館に行くって考えてみたところで俺だってうまくイメージできないんだから今のままでいいんだろう。イルカを見た要がどんな顔でなんと言うのか興味がないわけではないのだけれど。
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    kikhimeqmoq

    DONE桐智 2025/09/08
    付き合っている大人の桐智。大人の桐智の大人の下ネタ。
    ほろよい、玩具、目を逸らす甘くもなく辛くもなくほどよい刺激の液体がスパイシーな香りを振り撒きながら喉を駆け抜けていく。三杯目としてはちょうどいい軽さだ。ほろ酔いの気まぐれでカウンターの上にある塔のオブジェを指先で弄った。このバーに要くんと来るのは五回目になるが、窓際ではなくバーテンダーのいる内側の席に座るのは初めてだ。間接照明しかない暗い店内で、隣の要くんだけがようやく分かる。黄色っぽいダウンライトに照らされ、いつもは白い要くんの頬も優しいクリーム色に染まっていた。なんか、美味しそうやな。パンケーキのみたいに柔らかく甘い気がする。本当は、硬く塩辛いことをよく知っているのに。
    カウンターのヘリには小さな塔のオブジェが並んでいる。東京タワー、エッフェル塔、スカイツリー、自由の女神、太陽の塔……。シャーペンより少し小ぶりで、丸みを帯びた形にデフォルメされ、お洒落というより可愛らしさを演出している。大人びた店内に優しいアクセントを添えていた。「かわええやん?」と要くんに言うともなく呟き、スカイツリーの先端をつついていた。
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