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    あかり

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    あかり

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    ※カブミスとライシル※

    ##カブミス
    ##ライシル

    長命種真剣マジ恋バナの会 最初は怖かったの。
     あんなことがあったし、いきなりいろいろ言われてパニックになって、お腹は痛かったし、それに、あの人のことも殺してしまったのだったし……。
     でも最近はね、よく話すようになったの。
     きっかけがあったといえばそうだし……同じような悩みを抱えているんじゃないかって。
     え? それは秘密! 今日もふたりでお茶しにいくの。
     あ!私が見てないからってまたよくわからないものを口にしないこと! わかった?!
     それじゃ、いってきます。

    「それでね、ライオスったらもう少し体を大事にしてって言っても、またよくわからないものを食べちゃうんだから。動く機会が減ったから最近太ってきたし……」
    「うん」
    「長生きしてくれるっていったのに……死因がお腹を壊したなんて、後世には語り継げない話だと思わない?」
     マルシルはため息とともに今にもこぼれそうな涙を目に浮かべている。彼女は王と恋仲なのだ。
     ミスルンはマルシルがまだほんの子どもで恋愛経験もなく、王であるライオスが人心の機微に聡くないこともわかっていた。
     ましてハーフエルフである彼女は長寿でトールマンであるライオスとの恋は、はたから見ても難しいように思えた。
     それは同じように短命種と恋愛をしている自分にも言えることではあるのだが。
    「カブルーは? どんな恋人? 言ったことを守ってくれる?」
    「私の世話を文句も言わずする。優しい。よく笑う。約束も守る」
    「そうなんだ……仕事でも真面目だもんね。よくライオスのこと助けてくれてるし」
    「王は国の発展のために自ら食の安全性について探求しているんだろう。民を思ってのことならば咎めるのは哀れだ」
    「違う! 絶対! 自分が魔物料理食べたいだけだもん!……民のためは、少しはあると思うけど……でも心配だし怖くなるの」
    「ならば毒見役をつけることだ。少なくとも中央ではそうしている」
    「でも……毒見役の人のお腹が悪くなっちゃったら大変じゃない」
    「王とその他では命の価値が違う。王と歩兵では価値が違うのはわかるな。死のリスクを負うのは価値が下のものであるべきだ」
    「…………」
    「納得できないならそれもいい。お前は中央のエルフとは違う。身分制に慣れていないようだ」
    「うん……」
     しばし二人の間に沈黙が流れた。マルシルはクッキーを口にしてぱりぱりと食べたあと、紅茶を一気に飲み干して意を決したように口を開いた。
    「あっ、あの、すこし、聞きたいことがあるの!」
    「なんだ。言ってみろ」
    「……その、愛しあう行為があるじゃない……? あ、愛の営みっていうか……その、そういう行為はどんなものかまだわからなくて、いずれはって考えてはいるんだよ?!でも、まだ心の準備もできていなくて……」
    「性行為についてか。トールマンのセックスは激しい。エルフとは比べ物にならない。ケモノだ」
    「け、ケモノ……?!」
    「生殖能力に特化した発達した大きな性器でとても激しく交わる。性的好奇心も高く頻度も多い」
    「え?!え?!」
    「ライオス王は背が高いから性器も発達しているだろう。エルフの子宮であれば突き破られる可能性がある」
    「えーーー! で、でもわたしお母さんがエルフでお父さんはトールマンで……お母さんは元気だし……」
    「ならばお前は突き破られない程度の激しい性行為の末に生まれたということだ」
    「そんな……ぁっ……う、ぐす、うう……」
    「なぜ泣く」
    「だって、そんなの、怖いし……ちょっとショックだし……でも、受け止めたい気持ちもあるし……」
    「性的快楽の高さは強い。とても気持ちがいい」
    「えっ!そうなんだ……そうなんだ……」
    「だが私たちがしているのは子をなす行為ではない。私たちは同性だから。性的行為は愛情行為のあらわれだ。体を重ねることにより深まる」
    「……そう。そうなの」
    「子をなさずとも触れるという行為自体に意味がある。お前とて抱かれはせずとも性的意味合いを伴わないふれあいくらいはするだろう」
    「う、うん」
    「性的行為は嫌ならば拒めばいい。無理強いする男でもあるまい。ただトールマンの時の流れは我々とは違う。決断するのなら早めにするのがいいだろう」
    「そうね……そう」
    「今日はこのあたりで切り上げることとしよう」
    「あ、うん! ありがとうございます、ミスルンさん。また恋バナしましょうね」
    「相談事があれば呼べ。他に用がなければ赴く」
    「うん!」

    「マルシル、ちょっといいですか」
    「…………け、けもの……」
    「どうしたんです?」
    「なんでもないけど、なんでもないけど……!カブルーはこの杖の範囲からさきは近寄ったらだめ!」
    (なにかしたかな俺)

    「ミスルンさん、最近マルシルと仲がいいんですってね。どんな話をされているんですか?」
    「ふつうのはなしだ。先日トールマンとの性行為について聞かれたので答えた」
    「あ、あー……事細かく? 子細に?」
    「トールマンの性行為はエルフのものと違い非常に動物的で繁殖に特化した大きな男性器を持ち回数も多く性的快楽を伴うという話をした」
    「……そんなに動物的ですか。というかがッつきすぎですか」
    「エルフと比べればという話だ。それに気持ちがいいともいった」
    「いや、それは、嬉しいんですけど……!」
     カブルーは脳内で頭を抱えた。
     マルシルからのケモノ扱いはしばらくまぬがれそうにない。

     ミスルンさんとお茶にいってくるね。
     そんなに頻繁でもないでしょ?
     だって恋の話ができるお友達なんて、そんなにいないし……。
     あ! 今のはなしね! なし! 
     えっと、その、愛してるわ……ライオス。
     あなたとこうすると、わたしすっぽり隠れちゃうね。え? なにかあったらマントの裏に隠れていてって? ふふ、うん。そうだね。考えておく。でもなにかあったら、わたしも戦うよ。顧問魔術師だし、パーティーの仲間だもん。
     え? 泣きたいとき、とか? 疲れて休みたいときとか? うん、そうだね。そのときは、すこし借りるね。
     もう少しこのままね……。うん……。
     あのね、かえってきたら、したいことがあるの……。
     い、今は言えない!帰ってきたら……心の準備ができたら……っ! だから! 待ってて!
     わたしがいない間に変なもの食べたりしちゃだめだからね! 約束して! 隠れて食べてもわかるんだからね!
     それじゃあ、いってきます。
     今日もあなたが健やかでありますように。
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