辺りに敵が居ないか確認し、シュル……とシレンは巻物の紐を解く。ごくりと固唾を呑み、文字に目を通し、いざ!
…………。
「オイシレン、どうだった…………あっ」
ひょいっと顔を出したコッパの目には、項垂れている相棒の姿。
どうやら博打に負けたらしい。しかもこれで三回連続である。今回元々そんなに持っていなかったとはいえ、やはり無一文は悲しいものだ。これじゃ店で買い物も出来ない。
「シレン……お前、持ってねえなあ」
からかいにも呆れにも取れる発言に、シレンは八つ当たりのように相棒の頬を引っ張るのだった。
「いででで! 止めろってシレン! 悪かったってば!」
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